表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
react a time  作者: 廿楽 亜久
幕間
7/18

another story

気の根元に座り、俺は待つ。それが間に合うことを。

いや、間に合うのは当たり前か。


なんてことのない。いつもの結末だ。

愚かな人間は、愚かな行為に気づく。

それは、全てが手遅れになった後に。

だが、まぁ…人間全てが愚かというわけではない。


そら、来たぞ。青い顔をした。

手遅れになる前に気づいてしまった気の毒な女が。


「…気づいてたの…?貴方は」


泣きそうな顔で、俺に質問した。


「最後のその時まで、イヴを救おうとしたお前の気持ちは、きっとこの箱庭にいる誰よりも強かったんだろうな」

「答えて!!」


だからこそ、手遅れになる前に気がついた。


「俺はこの説明を何度するのだろうな…」


ため息混じりに、俺は質問を返す。


「俺の能力を知っているか?」

「え…?確か、五感を共有する能力よね?」

「いや、それは表面的な能力だ」

「どういうこと?」

「俺の能力は、自分の脳と他の人間の脳を共有させることができる」


それに目を見開き、質問は止まる。


「だからこそ、毎回すぐに知ってしまう…」

「…なら、どうしてそれで彼女を守ろうとしないの」

「どうやって止めろと言うんだ?誰が信じる?イヴのことを」

「っそれは、そう、だけど…言わなきゃ始まらない!!」


そう。俺が言わない理由はたった一つだ。


「言ってしまえば、世界は変わる。俺は、この平和な世界が好きだ。だから、言わなかった」


どう転がろうとも、変わるのは明白だ。だからこそ、俺は現状維持を望んだ。


「イヴが直に箱庭から出ていく。そうすれば、ここは崩れて消える」

「!!」

「リリィ。お前が、本当にイヴのことを心配してくれたからこそ、一つだけ選択肢ができた」


リリィの能力は記憶を掘り起こすだけじゃない。

もう1つ、これは大きく作用するおかげで、自身にもかかるし、一生で1度しか恐らく使えないだろう。


「どうする?」


我ながらひどいものだと思う。

リリィの返答はいつだって…


「やるわよ…過去に戻って、イヴを助けられるまで…そうしなきゃ、ここは…」


全くいい人だよ。リリィは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ