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react a time  作者: 廿楽 亜久
第2幕
17/18

16

会議室では、既に会議が始められ、やはりというかなんというか、リリィは色々包み隠さず文句を言われいた。俺は、それをドア越しに聞きながら、息を整える。


『それで、本題に入ろうか?なにやら、重要なことだそうだが』

『はい。イヴのことなのですが、まず――』


リリィの説明を遮るようにドアをノックした。そして、返答は聞かず入った。


「君は?」

「イヴと同じクラスの学園順位665位のヴェルです」

「ヴェ、ヴェル君?なんで…」

「実は、イヴの能力が判明したため、今回の追放の件なかったことにしてもらいたく、ここに来ました」

「え…」


リリィが驚いて近づいてきて、周りに聞こえないように耳打ちをしてきた。


「能力って?」

「知るか。だが、少し心当たりがある」

「心当たり?」

「あぁ」

「話があるなら、ちゃんと言いなさい」

「失礼しました!」

「失礼ついでにもう1つ、少々五感を貸してもらおう」


その場にいた全員が目を見開く。そして、誰かが反応するよりも早く、能力を発動させる。


「しばしの間、目と耳を拝借」


見せるものは、簡単なもの。2人の男子生徒の能力を使っているところ。そして、イヴにビンタをされた後の能力を使ったところ。そこで、数人が息をのんだ。

そこで、能力をやめれば、学年1位が俺のことを見定めるように見ていた。これは、バレたな。

まぁ、いいか。五感だろうが、脳だろうが、そう変わりはないだろう。


「今のは?」

「イヴが干渉したせいで、能力が入れ替わった可能性があります」

「つまり、能力を入れ替える能力…ということ?」

「入れ替えるのか、剥奪するのかはわからないところだがな」

「…そう。で、検証は?」


俺の能力については一旦置いておいてくれるらしい。


「まだ。ただイヴを呼び出している。これから検証しに行ってみるか?」

「…」


めんどくさそうな管理者と理事。


「無論、俺は検証に立ち会う。だから、ここから出たくないなら俺の能力で検証を見ることはできるが、どうします?」


そういえば、1位以外はついてくる気もないらしい。


「じゃあ、その2人にも検証に付き合ってもらうかしらね。放送で至急呼び出して」

「は、はい!」


慌てて出ていった奴の後について、俺とリリィも部屋を出た。

部屋を出たところで、1位にはニヤリと笑いながら能力について言われた。


「どうして、能力を偽ってた?」

「あ…」


リリィが変な声をだしていた。そして、仲がいいのか、俺のかわりに説明をしていた。


「それがね!ヴェル君、偽ってたわけじゃなくて、聞かれなかっただけだ。なんて言ってるんだよ?」

「なら、仕方ないな。言う必要がないと、お前が判断したんだからな」

「えぇ!?それでいいの?」

「あぁ。別に665位が自分で判断した結果が、どれだけ世間的に間違っていようが、普通ならあぁ…さすが落ちこぼれの1人。くらいで済む話だし」

「…それって褒めてないよね」

「それはいい言いわけだな。今度から使わせてもらう」

「ははっ!そうでしょ?」


どうやら、リリィだけは納得がいっていないようだ。だが、木の下にいたイヴとマイク、それに走ってきた2人に手を振っていた。


「あ、あの…私は」

「君の能力の確証を得るための検証をさせたもらう」

「え…?でも、私」


マイクが俺の横に来て耳打ちしてくる。


「どういうことだよ?てか、なんであいつらいるんだよ?」

「簡単にいえば実験体だな」

「実験体?」

「まぁ、聞いてろ」


そういえば、マイクは文句ありげな顔でイヴの方を見た。


「というわけで、君がこの2人の能力を入れ替えた可能性がある。やり方が分からないなら…まぁ、同じことを繰り返すしかないが、出来れば怪我人が出ない方向で頼みたい」


案外あいつはずぼらな性格なのか、最悪あの時と同じようにビンタしていいといったぞ。ビンタされた方が引きつった顔になった。

とはいえ、学園1位は偉大だ。文句を言えるはずもない。もちろん、イヴもだ。


「…わかりました」



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