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react a time  作者: 廿楽 亜久
第2幕
10/18

09

昼にリリィが来ると聞いていたマイクは、イヴが残るべきだとイヴの分の昼を買ってくると言い出した。普段ならイヴも断るのだが、今回ばかりはマイクの方が正しいことを言っていた。治療の話に関して、イヴがいなければ始まらない。少しだけ申し訳なさそうに、頼んだ。


「なら俺も残っておこう」

「おい!!お前は来いよ!」

「イヴは優柔不断なところがあるからな、俺が助言するべきこともあるだろ」

「…ヴェル。お前、荷物持ちたくないだけだろ」

「半々といったところだな」

「いいからお前は手伝え!!」


結局、毎度の通り購買にくればリリィが困ったように立っていた。


「あれ?先輩?」

「あ、マイク君…ごめんね!本当はすぐに行きたかったんだけど…」


すでに戦場と化している購買。割り込みにくかったのだろう。こういう場面で、マイクはすぐに代わりを申し出る。リリィも困ったようにしたが、イヴのところへ早く行きたいことは本当なので、頼むことにしたようだ。

教室に戻れば、リリィは先程俺に言ったことをそのままイヴに伝えた。


「どうかな…?」

「えっと…」

「私の持論なんだけどね。能力のきっかけになる出来事って、印象深く残ってるものだと思うの。だから、鮮明なイメージのある部分からそれらしいものを探そうと思うんだけど…それでも、見ることにはなるんだけど…」


イヴは俺の方を見る。


「イヴに何か秘密にしたいような過去があるとは思えないが」

「え!?あ、あるよ!?少しくらい…!」

「例えば?」

「え、えーっと…」


視線をさまよわせるイヴに、マイクまでニヤニヤと笑い出してからかい出した。


「思いつかないんすか?」

「そ、そんなことは…」

「それを言ったら、秘密じゃないと思うよ?」


リリィがやっと収拾をつけた。イヴも今のことがあってか、リリィの提案には頷いていた。


「じゃあ、放課後いつもの教室で」

「わかりました」


そういって、話がまとまった時だ。担任が部屋に入ってきた。


「リリィもいたのか…」

「え…あ、はい」

「イヴ。放課後、第3会議室に来なさい。リリィも後で連絡が行くはずだ」


それだけ言って、また教室を出ていこうとする担任にリリィは、慌てて立ち上がり追いかけた。教室をでる直前で、一度イヴに振り返ると


「明日の朝、また来るから」


そういって、教室を出ていった。

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