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ウィフルの国のミドリさま!  作者: 業平アキラ
第一章 うぃ、ウィフル?
7/8

第七話 VIPは…その1

   +++VIPは…その1+++

 VIPは…王子の家族になっちゃった?!





「ぷはーっ」


あー、クメル茶っていうの本当おいしいよ。

心がほんのりとぽかぽか温かくなる感じがして、宙にほわわんと浮けそうだよ。

私、さっきまで何かファンタジーな話聞いた様な…いやいや〜、気のせいだよねー。うんうん。


「落ち着いたかな?」


はっ!このキラキラほんわかたれ目のイケメンフェイスはモティ王子?!


「貴様、さっきまで混乱していた事を忘れていたな」


それにキラッキラのイケメンフェイス、ピースケさん!

左右からキラキラって眩しいけど…目が良いもの見て幸せ信号を送って来るよ。


「おい、聞いているのか」

「聞いてるし忘れてないよ〜」


ピースケさんってば仲良しポイント気付かぬうちにまた上げたのね。

でもちょっと惜しいんだなこれが。

ミドリさんはその斜め上を行って、混乱を忘れていたのでなく現実逃避をしていたよ!ふふん♪


「なぜそこで得意げな顔をするんだ…」


そう言えばあの絶叫の後、真っ白になってたらモティ王子が気を利かせてくれて、ピースケさん以外は席を外すようにてくれたんだよね。

私ってば固まってたから一言も発しなかったけど、おじいちゃんが名残惜しそうにしてくれてた気がするよ。

で、ピースケさんが何気なくお茶を手に乗っけてくれてぷはーっとね。

鳥頭なんて言われてるミドリさんでも一応このくらいは覚えているのだよ。

とりあえずモティ王子に言わなきゃならない事が!


「モティ王子」

「はい」

「えっと、…変です!」

「何がかな?」


うーんと、えーっと。

うまく言葉に出来ないけどとりあえず全部が全部、変てこりんだよ!

どうして王子もピースケさんもおかしいとか思わないのかね?!

ピュアなのかい?

ピースケさんからはそんな香りしないよ。今は着替えちゃったから大丈夫だけど、私のケロケロ臭のメモリーしか無いんだけどな。

ミドリさんの心が汚れているだけなのかい?!

んー。でもコレだけは譲れないよ!


「”ミドリ様”ってやっぱり人違いじゃ…?」


どう考えても、私ってばただの高校生だしさ。

石に彫られてた文字はぜーんぜん読めなかったけど、日本って島国だし、地図で見ると端っこの方にあるし、きっとこの国から遠いだけだとミドリさんは推理したよ。

それから名前はミドリだけど、ミドリ様っていう人じゃないと思うんだよね!


「んー、その可能性は低いよ」

「なんでさらっと言い切れちゃうんですか?」


ミドリさんは優しいイケメンであろうとも疑いの眼差しビームを放っちゃうよ。

証拠が無ければ犯人だって推理から逃げられるのだ!

即答してきたからには理由が必要だよ、モティ王子。


「そうだね…。まずは膝かな」

「膝?」


王子が手のひらで示したのは私の膝さん。

まさか、私の膝がちょっと穏やかな人面っぽいって話かい?

前に陽菜ちゃんに発見されてからだんだんそれらしく見えて来ちゃってるんだけどさ。

出会って早々で見破ったとはモティ王子、さては膝フェチかね?


「さっきの老師が君の服装が変わっていると言ったの覚えてるかな?」


”我々の国ではその様な衣は存在せん。”


「あー、そう言えば言われたかもです」


そういえばおじいちゃんの中で私、不審者っぽい立ち位置に居たんだったよ。


「ウィフルでは膝が見える程の服装を女性はしないんだよ」

「え、なんでですか?」


可愛いし、長いよりは動きやすいし夏は涼しいよ。

ミドリさんの制服は膝上二センチくらいだから結構大人しい方だと思うんだけどな。


「……それはね…」


はれ?モティ王子何だか言いづらそう。


「膝は結婚相手に見せるものだからだ」


ん?


「結婚相手?」


ピースケさんってもしかしなくても意外と古風でピュアな発想する人?

まぁ、でも…顔に合ってて…おもしろいよ。ぷぷぷ…。


「貴様、よからぬ事を思っているだろう。残念ながら私個人の意見ではなく文化だぞ」

「…ありゃ、そうなの?」


ピースケさん、ついに私の思ってることまで…さすがお友達だよ。

ミドリさんは嬉しくて顔が緩んじゃうじゃん。


「ちなみに結婚相手以外に見せるのは、体を売る仕事を生業とする者だけだ」


なるほどー。それで王子が言いづらそうだったんだね。


「モティ王子、お隣の国とかは短いのないんですか?」

「うん。残念だけど近隣諸国でもウィフルと似た様な文化があるんだ。それからこれは僕個人の意見だけどね、幼い頃から諸国へ出向いた僕でもミドリ様のような服装は見たことが無いよ」

「ほー。日本だと私普通なんですけどね」

「うん。だから君が異なる世界からやって来たのは間違いないよ」


はぅ!?違う世界からなんてミドリさん思ってないよ。

ピースケさんもモティ王子も、顔がヨーロピアン寄りだから外国だってのはなんとなくわかるけど、それも微妙に疑ってるんだから!

なんてったって…


「でも、でもでも、言葉はなんで通じてるんですか?!」


ミドリさん最大の謎だよ!!

日本語って言葉の中だと結構むずかしい方だって聞いたことあるしさ。


「さあ、なんでだろうね」


ぅえええ?!ちょ、モティ王子!?

なんでだろって、さらっとなんでだろって返して来た?!


「でも通じないよりは通じた方がこうして思いが伝えられるよ。もし君と僕らの間で言葉が通じなかったら、君のために通訳できる者は間違いなくこの国に居ないと断言出来てしまうよ。何せ世界が違うらしいからね。そう考えれば通じた方が何かと便利だよね。なにより君が面白い人だって分かるし言葉って意外と大切だから双方に意志疎通の面で不便が無いのが一番だよね。ミドリ様、そう思わないかな?」


わわわ。言葉がつらつらいっぱい流れていったよ。

モティ王子きっと頭が良いんだね。首席の真希ちゃんも時々そうやって言葉がいっぱいで私をぐるぐるさせるのと一緒だよ。

それから多分、王子が言ってることは間違ってないってのだけは一応ミドリさんにもわかるよ。


「そうかもですけど、でもでもでも…」


はわわ。頭の中がさっきより、ぐるんぐるんの大混乱で言葉が上手く出てこないよ…。


「これもうまいぞ」

「むぐっ…おいしい♡」


もちもちのカリカリでうまうまだよー♪

ピースケさんってばいきなり口に突っ込んでくるからビックリしたけど、お口が幸せだよー。


「くくっ、さながら親鳥のようだねヘイワード」

「な…冗談はやめてください。それにこんな歳の近い者の親などあり得ないです」

「喩えだよ…っくく」


ありゃりゃ。ピースケさんってば遊ばれているね。

モティ王子ってばめちゃめちゃ肩を上下にフルフルさせて楽しんでるよ。

およ?そういえば私とピースケさんが歳近いって今言ったよね。


「ピースケさんっていくつなの?」

「さあな」


そんなしれっとさらっと流していい話題じゃないよ?!

ミドリさんはものすっごく気になるよ!


「えぇー!教えてよー」


じゃないとピースケさんのパーソナルデータがキラキライケメンってとこ以外は空欄のままだよ。


「くくっ、でも刷り込みはあるかもしれないよ、ヘイワード」


ん?モティ王子ってばなぜに私を見て言うの?


「刷り込み…それは、いやしかし!この者はいささか変わった性格をしていますからあり得ません」


なぬ?!私のこと変わった性格とか言っちゃった?!

そんな風に思っていたのかいピースケさん?!

ミドリさんはビックリだよ!


「ま、それはそのうち分かるはずだよ。ところでお茶のおかわりはいかがかな?ミドリ様」

「は、はい。いただきますです」

「うん」


ポットからもいい匂いがするよー。

ミドリさんはもうクメル茶の虜だよ。


「モンティ王子。侍女の仕事を奪わないでやってください」


ありゃま。そうじゃん、この人王子だよ。

私ってば王子様にお茶注いでもらちゃった…いいの!?


「そうだね。でも今はこの部屋に居ないからいいんじゃないかな」


おお!モティ王子ったら怒られてるのにひらりと躱して言い返してる。

モティ王子的にはお茶注ぎ全然オッケーみたいだね。

王子ってもっと威張るお仕事だと思っていたけど、そうじゃないんだー。


「…グリーンシルにも怒られますよ」

「ははは。じゃ、黙っていておくれ」


でもスーパーセバスチャン的なグリーンシルさんには弱いんだね。メモメモ。

それから、


「ピースケさんはグリーンシルさんとは仲良し…っと」


メモメモ。


「貴様、ついに思考が口から漏れているぞ…。言っておくが私とグリーンシルは別に仲良しではない」

「ぅえ?」


ピースケさん微妙そうな顔してる。

おお、私がケロケロしちゃった時より顔の筋肉がいっぱい動いてるね!

出会って数時間でピースケさんの表情筋初めて見たよ!


「だってグリーンシルさんはピースケさんがお城に来るって分かってたみたいだし、ピースケさんはグリーンシルさんの言いそうなこと分かってるじゃん。それって仲良しのお友達ってことでしょ?」


こういうのツーカーってやつじゃないのかね?


「くくっ…ミドリ様の目にはそう映るんだね」


あれれ?


「違うんですか?モティ王子」


本当のところ、こっそりミドリさんに教えてちょうだい!

ピースケさんのパーソナルデータに書き足すから!


「捉え方は違っていないと思うよ。色々省略すると生まれた頃からの知り合いだったよね?ヘイワード」


おお、幼なじみってやつ?


「確かにそうですが…」

「うん。つまりそんな風に考えたことが無いだけということみたいだよ、ミドリ様」

「そうですか、なるほどー。ピースケさんってば鈍感さんなんだね!」


「…貴様に言われるのは心外だ」

「なぜに?!」


ミドリさんでは不満なのかね?


「まったく…では、そろそろ時間なので私はこれで失礼します」


あ、王子に礼して歩いてく。さっきみたいに”行くぞ”って言ってくれないの?


「ピースケさん行っちゃうの?!」


私をお忘れです!忘れ物じゃなくて忘れ者ですよ!

キラッキラのイケメンピースケさま、女子高生のミドリさんを忘れ者センター(ここ)にお忘れです。

って城内放送かけてもらっちゃうぞ!


「ああ。この後仕事があるからな」


そういえばピースケさんは職業・騎士さんだったね。


「終わったらここに来てくれる?」

「いいや」

「なんで?!私を引き取りに来てくれないの?!」


忘れ者センター(ここ)に置き去り決定?


「引き取りに来るも何もないぞ」

「どうして?私、野宿の経験無いからピースケさん家に泊めて欲しいよ…」


お家にどうやったら帰れるかわかんないし、お金なんて千円くらいしか無いし…。

はっ!ところでウィフルって通貨何?!

ドル、ユーロ、ペソ、フラン?!

円安、円高?!私の千円ってどのくらいの価値になるかな?


「ぶはっ!」


なぜにモティ王子いきなり爆笑?

ミドリさんは真剣なのよっ!


「大丈夫だ」

「なにがさっ!」


ちっとも大丈夫な気がしないよ、ピースケさん。むしろごはんなしの野宿にまっしぐらな予感だよ!


「”ミドリ様”はウィフルにとって要人だ。貴様はこの城で丁重にもてなされることになっている。だから野宿などとは無縁だ」


「え?」


「そうだよ、ミドリ様。今日からこの城が君の家だよ」


「家?こんなすごいお城が?」


モティ王子は笑顔のまま、うんって頷いた。

ちょちょちょ、うんじゃないと思うよ?!

ここお城だよお城!

王子とか将軍とか殿とか皇帝みたいなスーパーな人の夢のワンダーランドってやつだよ?!


「もうすぐ君の部屋の用意が整うと思うよ」

「私こんな凄い所でお世話になっていいの?!モティ王子」


その辺でお茶しようかみたいな口調で気軽に不審者な私を泊めていいわけ?

そりゃ泊めてくれるならとーってもありがたいけど…。


「君は実感が湧かないと思うけど、ヘイワードの言う通りミドリ様は僕らにとってとても重要な存在なんだ。この国に慣れるまではとりあえず城で暮らしてくれるとありがたいんだけど、どうかな?」


ああ、たれ目スマイルすっごい破壊力だよ…。

そんなほんわか笑いながら言われたらミドリさん、判子でもサインでもなんでも押しちゃいそうだよ…。

いっそセールスマンとかモティ王子に向いてるかもだよ…。荒稼ぎ間違いなしだよきっと。


でもせっかくだし、チャンスは掴んどいた方がいいよね!


「ぜひともお願いします!」

「うん。これで僕らは今日から家族だね」


ほ?


「なぜに家族なんですか?モティ王子」


ミドリさんはチンプンカンプンでチチンプイプイだよ。


「だって僕らは同じ屋根の下で暮らすからね」


そっか。モティ王子ももちろん王子だからお城がお家だよね。

んー、広い意味で家族ってことかー。ほうほう。


「なるほどぉー」

「うん。僕の他にも王子と姫が君の新しい家族だよ。困ったことがあったり頼りたいことがあったらいつでも頼っていいからね」


「わぁ!いきなり家族いっぱいだ!」


王子が六人に姫が二人で合わせて八人も!


「今度僕が紹介するから。ミドリ様ならきっと仲良くなれるよ」

「はい!」


わー、楽しみ♪


「いい返事だね。早速だけど家族記念に僕に要望とかあるかな?」


ようぼう?リクエストってことだよね。

んー、至れり尽くせりな感じでこれ以上特に…あ、あったモティ王子にリクエスト。


「言っちゃってもいいんですか?」

「うん。なんでも言ってごらん」


それなら遠慮なく言わせてもらっちゃうよ!


「ミドリ様って言われるのぜーんぜん慣れないんです。だからミドリとか、ミドリちゃんとかミドリさん、ミドちゃんって様付けじゃない呼び方で私のこと呼んで欲しいです」


”ミドリ様”って石の塊に書いてあるの伝説的な人でしょ?

人違い感たっぷりだし、落ち着かないからね。

いっそピースケさんみたく”貴様”とかの方が落ち着くくらいよ。


……ん?モティ王子とピースケさんなぜ笑ってるの?


「そうか、君は欲が無いんだね。ではミドリさんと呼ぶことにするよ」


欲…?よくわかんないけど、ミドリさんって呼んでくれるの嬉しいよ!


「はい!」

「ミドリさん、君もヘイワードに語りかける様に気楽に僕に話してくれていいからね」

「モンティ王子!」


お、ピースケさんの雷が王子に直撃だ。


「ヘイワード、そうカリカリしないで。僕は”ただのモンティ第一王子”だからね」


王子ノーダメージって凄いよ。私なら黒こげのプスプスだよ。


「”ただの”を取ったら普通にあなたは第一王子なのですよ!」

「いいのいいの。そういうことだからね、ミドリさん」

「えっと…本当にいいんですか?」


ピースケさんなんて眉間が火山みたいになってるよ?!


「うん。その方が僕は嬉しいよ」


うーん、王子がいいなら…ま、いっか!


「よろしくね、モティ王子」

「よろしく。僕のことは兄の様に頼ってくれていいからね」


「おお!お兄ちゃんが王子様なんて最強だね!」


ゲームですごい良い盾ゲットした気分だ!


「はー…もう好きにしていてください。では私は失礼します」


「ピースケさん、また明日ねー!」

「さあな」


素っ気ないぞっピースケさん!

ぬぬぬ、こうなったらごり押しじゃ!!


「絶対だからねー!!!」


「………」


あ、こっち振り向かないとか騎士通り越してサムライ並の冷たさだよ!ピースケさん。


「ヘイワード様、騎士団へ行かれるのですか?」


グリーンシルさんだ。扉の向こうにいるから姿は見えないけど声が聞こえる。


「ああ。今日から”ミドリ様”は王子たちの兄弟だそうだ」

「おや、どなたがお決めになったのですか?」

「ミドリ様にお茶を注いで差し上げたモンティ王子がな。では私は行く」


ピースケさんの足音が遠くなっていちゃった…。

ん?なんだこのもやもや。

うーん、お茶飲みすぎたかな?

ま、気のせいだよね!


そんなこと考えてる間にグリーンシルさんが部屋に入って来ていた。


「モンティ王子、後ほどお話差し上げなければならない様ですね」

「ははは…」


あちゃー、グリーンシルさん使ってる言葉は優しいし、笑顔なのに怖いよ。

ほらほら、モティ王子の笑い声がパサパサに乾燥しちゃってるよ。

ピースケさんってば本当にピース感が足りないのね…。


でも、面白いよ。ぷぷぷ♪

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