第五話 イケメンのお仕事
「ピースケさん、ピースケさん」
「なんだ」
「ここって街だよね?」
あれからちょっとしたら森を抜けて、とーっても賑やかな所に来ています。
お店がいっぱいあってあちこちからおいしそうな匂いがするねー。くんくん。
私的にはこの場所、建物の上にぶらんとしてるサーカスっぽい三角のカラフルな布がイケてると思うんだ。
「ああ。ウィフルの都”タビ”の商人の街サールだ。それから奥に見えるのが城」
「へー。ここ楽しそうだね」
あー、あのお肉おいしそうだよ肉汁が…。
あっちの果物、なんか見た事ない形だけどすっごくおいしそーだよ。
「寄り道などしないぞ」
私の心の声を読んだのかい?!ピースケさん。
「えー?さっき川に寄ったのも寄り道だからもう一回くらいいいじゃん!」
「あれはどう考えても必要な寄り道だっただろうが」
「でもでもさ」
「ヘイワード様!」
お!前方のぽっちゃりした元気の良さそうなおばちゃんがこっちに声をかけてる。
でも…ヘイワード様って誰だ?
「トーナさん、こんにちは」
「この前注文貰ったヤツ出来たから今度取りに来てくださいな。旦那が改心の出来だって言ってたわよ」
「わかりました、それは楽しみです。今週中には取りに来ますので」
ああ!ピースケさんがヘイワード様ってやつだったね。
最初に一回聞いたけど、もう私の中でピースケさんはピースケさんだからなー。
「ピースケさん、何注文したの?」
できれば服とかだったりしたら私のケロケロの失態が薄れるんだけど…
「あら!その変わった召し物のお嬢さんはヘイワード様の恋人かい?」
なぬ?!おばちゃん、恋人とな?!
「ち、違いますよ!トーナさん」
そうそ。ピースケさんとは出会って一時間くらいだよ。
カップ麺みたいにあちちになるには無理があるよ。
「人気の騎士様のスクープかと思ったのに残念ねー」
おばちゃん芸能リポーターっぽいね。
「井戸端会議のネタに私を使う気だったんですね?」
「やだよ、ヘイワード様ったら。その子を乗せて街を駆けてきたんでしょう?きっともう街中の噂にくらいなってますよ」
「なっ…」
おお!ピースケさん絶句!!
おばちゃん強者!
「ハハハ!街中の若い娘たちが悲鳴を上げてバタバタと倒れる前に、私が真相を流しておくから安心してくださいな。じゃ、ご来店お待ちしていますよ」
言いたい事言い切ったおばちゃんは笑いながら街の中の人ごみへとけ込んで行った。
ありゃ?ピースケさん絶句したまま、まだ固まってる。
「ピースケさん?おーい、ピースケさん」
「…行くぞ」
お、戻ってきたね。お帰りー。
「はーい」
いやー、あのおばちゃん凄かったなー。
それにしてもピースケさんってば街中の女の子にモテッモテ♡なんだねー。ふふふ。
さすがイケメン。
街の男の人観察したけどピースケさんの顔面偏差値とーっても高いもんね。
きっと…
街娘1:キャー、ヘイワード様よ♡
街娘2:今日もイケメンねー♡…あら?一緒に誰か乗ってるわ。
街娘1:キャー!?私たちの騎士様が〜っ!!
的な会話が繰り広げられているんだよきっと。くふふふー。
……ん?
「ピースケさん」
「なんだ」
「ピースケさんって”騎士様”なの?」
「ああ、そうだ」
「それってお仕事で?」
趣味とかじゃなくて?
コスプレだったらさぞかし綺麗なんだろうね。うんうん。
「仕事以外に何がある」
……わー、この目見た事あるよー。
ニホンとチキュウが分からないって時と同じだぁ。
本気なんだね。
「ふぁ、ファンタジー………」




