第二話 「ふ」から始まる出来事1
+++”ふ”から始まる出来事1+++
不運癖
時は放課後の学校に戻るんだけどね_____
「あぁぁぁ……」
ぱ、パーが…。心のドア全開な、この無抵抗印の手のひらが、Vサインにやられたっ…。
勝利のしるしって言うだけはあるようだね君たち…。
「ははは!ミドリ、あんたやっぱり運が無いね!」
「よ、不運癖!」
「これで13連敗。記録更新しちゃったね」
そうなのです。これでゴミ捨てジャンケン奇跡の13連敗…。
元々そんなに強くないとは言ってもこんなことそうそう起こるもんじゃないよ。
ミラクル通り越して負の引力しか感じられない。
まったくもって私の悪い癖だ。
不運癖なんてネーミングを目の前にいる三人の友達に付けられたくらいだしね。
もう本当ついてない。
「あー、どうもどうも…って嬉しくないわい!友達ならどうにかしてよぉぉ〜」
「無理」
「無理だね」
「無理だと思うよ」
「即答?!」
陽菜ちゃん、真希ちゃん、由衣子ちゃんひどい…。
三つ子らしい声のハモりはなかなかのものだけど、くれるなら優しい言葉がよかったよ。
ミドリに愛を…。
「でもミドリちゃんホントこの一月酷いよねー」
「やっぱり?」
だよね、だよね!これっておかしいよね!
由衣子ちゃんだけだよ、私を一応心配してくれるの。
「やっぱりじゃないって。どう考えてもおかいいよ」
「そうだね。このジャンケンで十三回、鳥にフン落とされたのが七回、電車のドアに面白可笑しく挟まれたのが二回、それから犬に追いかけられて一キロ走り回ったんだっけ?」
……よく私の小さな悲しい出来事を覚えてるね真希ちゃん…。
だてに学年主席を張ってるわけじゃないのね。
でもニヤニヤしてるのが気になるよ?
私の悲しい出来事を楽しんでいるでしょ?
「ミドリあんた何したの?」
「何したって、悪い事は何もしてない!」
私、信号だって守ってるし電車の席はお年寄りに譲る至って善良な人間のつもりだよ、陽菜ちゃん。
この一年一緒に過ごしていて私の良さは伝わらなかったのかい?
んー、泣けちゃうぞい!
「でもさ、何か思い当たることとか無いの?」
「思い当たること?…んー」
こんな負の引力を引き起こすくらいのすっごい何か…?
んあっ!
「この間なんとなく行った神社でおみくじ引いたら大大大吉でた!」
「大大大吉?!なにそれキモい!」
かはっ、陽菜ちゃんストレート過ぎて大ダメージものだよっ…。
「正月でもないのにわざわざ神社行って引いたわけ?」
もっともなご意見で。占いを信じない真希ちゃんはおみくじも嫌いだったのね。
心のメモに書きたしとくね。メモメモ。
「いやーぁ、なんか引きたくなってさ」
「今持ってる?」
「うん。ほら」
スクールバックの一番外側のポケットから取り出してみんなに見せた。
本当に大大大吉だってそんな驚かなくてもいいじゃん。
私も引いたときは驚いたけどさ。
「確かに良いやつ引いたら反動起きそうだよね」
「陽菜ちゃんさっきから不吉なもの扱い?!」
「私も逆に怖いかも…あ。ここ見て」
由衣子ちゃんの指した先にみんなで注目した。
[争事 負けるが勝ち。逆転の力に変わる]
ん?負けるが勝ちって…
「負けて正解ってこと?」
「そうじゃないかな」
「逆転の力って何だろ?」
陽菜ちゃんの疑問に答えたのは真希ちゃんだった。
「逆転って事の成り行きなどがそれまでとは反対になることって意味だよ」
おぉ、さすが。
「あ、その言葉ここにもあるよ」
またまた由衣子ちゃんがくじの一文を指し示す。
[旅行 逆転の力が遠くへ誘う。良き旅にならん]
「「「これって…」」」
「え?なになに?どういうこと?!」
三人が言葉をシンクロさせて顔を合わせて何か分かった様な表情をするけど、私にはさっぱり。
「つまり争い事で負けに負けてチャージした力が…」
「遠くへ行くパワーに…」
「なるってことじゃない?」
ゆっくりと言葉リレーしながら教えてくれた途端、三人は吹き出した。
「ミドリあんたどんだけチャージしてんのよ。ははは!」
「今なら地球一周できそうだよね。ふふふ」
「いっそ宇宙へ行けそうじゃない?わはは!」
う、宇宙…?
「え?!宇宙は困るよ酸素無いじゃん!」
私、海とか川とか息できない所は苦手なんだから。
「冗談」
「冗談に決まってる」
「冗談だよ」
あぁ、こんな言葉までハモり…。
「あくまで私たちの読み方だからこのおみくじの神主さんにでも詳しい事聞いたら分かるんじゃない?」
おお!神主さんか。その手があったね!
よし、ついでにこの不運癖直してもらおっと。
「そっか!聞いてくる!」
「また明日」
「また明日なー」
「明日ねー」
まさかこの冗談で話していた事が本当になるなんて、微塵も思っていなかった。
大大大吉おみくじパワー、きっとこの時発動準備万端だったんだ…。
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