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第三の勇者

情報屋から勇者に関する情報が入ってきた。

勇者パーティーが森に入ったようだ。


剣士 人族SSSランク冒険者

戦士 ドワーフ族SSS冒険者

剣闘士 獣人族SS冒険者

忍者 獣人族SSS冒険者

魔法剣士 エルフ族SSS冒険者

魔導師 人族SS冒険者

白魔道士 エルフ族SSS冒険者

白魔道士 人族SS冒険者


(SSランクが三名、SSSランクが五人、そして勇者ロゼリアか……)


「これは手強いな。全員が勇者みたいなものだ。」


アスラは地面に沈む光の陰影を見つめ、考えを巡らせていた。

ゼロも勇者パーティーの情報を目に焼きつける。

空気は張り詰め、木々のざわめきさえ敵の気配を映すかのようだ。


アスラがゼロに言った。


「今回は作戦なしで、三人で思いっきり暴れよう!ルアは後衛だけど、魔法を打ちまくれ!」


「ふむ、それもまた面白い。暴れすぎても文句は言うなよ!」


ゼロは大きく笑い、肩の力を抜いたように見せるが、眼光は鋭い。


「うん!魔法がんばる!出来たら斬るー」


ルアは双剣を握り締め、炎のように燃え上がる決意を瞳に宿した。

三人は互いに目で確認し合い、緊張と期待が胸の奥で渦巻く。

息を殺した森の静寂に、これから起きる戦いの鼓動が低く響いていた。


──数日後


アスラ、ゼロ、ルアは森の出口から手前百メートルで待機していた。


木々の葉擦れが、敵の接近を告げるかのように震える。

三人の心臓は互いに共鳴するように高鳴り、視線は一瞬も離れない。

戦いの予感が、森全体を圧迫していた。


「もし、勇者パーティーの周りに防御結界が張られていたら、その時は俺が結界を切るから、その後に攻撃を始めてくれ。」


二人は親指を立てる。


「あ、やっぱり最初の一手だけ作戦立てていい?」


アスラはいい手を思いついた。


「ちょっとだけだぞ!」


ゼロが舌を出す。


勇者パーティーが近づいてくる気配がする。

ゼロの情報では約八キロほどらしい。

大きな魔力が集まっているのがはっきりわかる。


アスラの手汗が吹き出してくる。

いつもなく緊張している。それに呼応して、胸が苦しくなる。頼むからもう少し持ってくれ。


──残り二キロ


ルアが道の真ん中で一人で立っている。


双剣を握り、腰を落として不規則に足を揺らしながら構えるその姿は、まるで戦場を支配する炎のように妖しく揺らめいていた。


髪が風に揺れ、瞳の奥には敵を誘い込むかのような冷たく光る覚悟が宿る。

双剣の先からは小さな火花が散り、時折空中に弧を描くように光る。


ルアの身のこなしは、戦うというよりも、まるで舞踏を踊るかのように優雅でありながらも不穏だ。


一歩踏み出すたび、森の静寂が微かにざわめき、敵の気配を巧みに誘うかのように空気が揺れる。


先頭の兵士二人は馬車を止め、ルアに近づこうとする。

だがルアの動きは瞬間的で、双剣が炎の軌跡を描きながら舞う。


兵士二人は無情にも二十回程切り刻まれ、絶命した。

その騒動に、勇者ロゼリアが目を見開く。


「敵襲だ!」


馬車から勇者パーティーが降りてきた。

アスラとゼロはその瞬間を待っていた。

森から飛び出し、馬車の後ろに着地し、標的を見定める。


アスラが目的のエルフの白魔導士を見つけた。

ゼロももう一人の人族の白魔導士に狙いを定める。


十メートルの距離を瞬時に詰め、アスラは首をはねた!


ゼロも魔剣を握り、袈裟斬りで切断した。


ルアの魔法が勇者一行の中心に狙いを定める。

天地を揺るがす火属性の究極魔法。


炎龍が咆哮と共に顕現し、衝撃波と灼熱の炎が戦場を焦土に変える。

炎の帝王たる破壊魔法だ。


第十階梯魔法

── 炎帝轟砕アグニス・カタクラズム


大地が裂け、地面から炎の龍が飛び出す。それも一体ではなく数百体。


龍たちは勇者パーティーを圧倒する勢いで襲い掛かる。

しかし勇者ロゼリア、剣士、戦士、剣闘士は剣で炎の龍を切り払う。


そのたびに火花と煙が舞い上がり、空気が熱気で揺らぐ。


アスラは周囲を鋭く見渡すと、ルアが魔導師に狙いを定め、双剣に第十階梯魔法を宿していた。


一瞬の隙もなく魔導師を切り刻むその動きは風のように速く、目で追うことさえ困難だ。


炎と剣光が交錯し、戦場は恐怖と混乱に包まれた。


「ルアはやっぱり凄いな、あれは俺より強くなりそうだ」


アスラは嬉しそうだ。


勇者ロゼリアが再度叫ぶ!


「みんな一旦落ち着いて。これは奇襲だ!体制を立てなおす!」


勇者パーティーは落ち着きを取り戻し、戦場の中心で臨戦体制に入った。


前衛

剣士、戦士、剣闘士


後衛

忍者、勇者、魔法剣士


アスラとゼロは前衛を制圧する準備を整え、緊張と戦意が三人の間に流れ込む。

森の木々は戦場の熱気で震え、息を呑む間もなく、戦いは次の局面へと突入する。


――――


ルアは後方に下がり、静かに魔法を起動し始めた。

双剣の刃先が微かに震え、空気が微かに歪む。


彼女の周囲に漂う魔力の粒子が、まるで小さな星屑のように揺らめき、森の静寂を異質なものに変える。


第十階梯魔法

── 氷獄封葬フロストゴク・パージ


冷気が瞬間的に戦場を覆い、森の木々の葉は凍り付き、踏みしめる地面も霜に覆われる。


氷の牢獄が目にも留まらぬ速さで形成され、敵を閉じ込めた瞬間、粉砕の衝撃が炸裂した。凍てついた破片が光を反射し、戦場は鋭い白の光に満たされる。


その直後、勇者ロゼリアが全てを解放する。


──《全知全能》解放!!

黄金の光が勇者を包み、周囲の空気が震えた。


──《神聖魔法》解放!!

白光がその姿を覆い、勇者の存在感は神々しさを帯びる。


──《五聖剣技》解放!!


そして!

第十階梯神聖魔法

── 天光爆裂セレスティア・ブラスト


天界の光が極限まで凝縮され、放たれた瞬間、周囲は白銀の閃光に飲まれた。衝撃は地面を揺らし、空気を焼き尽くす。


魔物も建造物も無差別に破壊される光の奔流。戦場はまさに天地の裂け目となった。


──その瞬間、アスラは神速で忍者の背後を取り、口を塞ぎ首を刎ねた。

刃が通った瞬間、微かな破裂音と共に静寂が破られる。


反対側ではゼロが魔法剣士と刃を交えた。


鋼がぶつかり合う金属音が森に響き、剣を叩き込むゼロの動作は、静と動の間で鋭く研ぎ澄まされる。


ゼロの左手の爪が鋭く伸び、魔法剣士の首を一閃で切断する瞬間、空気が裂けるような音が耳を打った。


この時点で、戦況は四対三。

勇者、剣士、戦士、剣闘士――残るはこの四名。


アスラは静かに勇者との一対一を申し出た。

勇者ロゼリアは頷き、戦いは決闘の形へ。

その間、ゼロとルアは残る敵を徹底的に封じ込める。


勇者ロゼリアが一歩踏み出した瞬間、前衛の剣士、戦士、剣闘士も同時に動く。


森全体が緊張に包まれ、葉擦れや枝の揺れまでが戦況を告げる音のように感じられる。


勇者ロゼリアの剣が、アスラの頭部を狙う。

しかしアスラは軽く体をずらし、片手で二撃、三撃、四撃――全てを受け流す。


刹那の間に繰り出される光の線――それはまさに天を裂く斬撃の嵐だった。


勇者ロゼリアが剣技を発動する。


五聖剣技十線

──天剣迅雷アークブレード・ヴェロシティ


光を纏った刃が高速で敵を貫く。


アスラはその軌道を目で追い、寸分のずれも逃さず、体をわずかに傾けて斬撃を弾く。


斬撃は空を切り、次の超斬撃が即座に飛来する。アスラは何度も弾き、反撃の余地を与えない。


二回目の攻撃が襲いかかる。


五聖剣技十線

── 聖光連斬ホーリーライト・レイン


光を纏った連続斬撃が、まるで銀の雨のように降り注ぐ。


アスラは受け止め、斬り落とし、地面に落ちる影一つ残さない。


しかし、勇者ロゼリアは諦めない。

高く舞い上がり、全身に力を漲らせる。


五聖剣技・奥義

── 天翔斬撃スカイランサー・スラッシュ


上空から急降下し、音速を超えた刃がアスラに襲いかかる。


アスラは冷静に切筋を見極め、真っ向切りで斬撃を受け止めつつ、剣をそのまま斬ると、勇者の腹に剣突き立て、優しく殺した。


――――


その間もゼロとルアは戦闘を続ける。

ルアを軸に、ゼロが完璧な補佐に回る。


戦士と剣士は連携し、ゼロを襲う斬撃を連打。

剣が空気を切り裂き、森全体に鋭い衝撃が走る。


ゼロは爪を鋭く伸ばし、剣を弾き飛ばし、跳躍しながら反撃を叩き込む。


背後から迫る戦士の一撃。巨大な剣が振り下ろされるが、ゼロは体勢を崩さずに垂直跳躍。

そのまま真下の二人に──ブレスを叩き込む。


──龍炎息ドラゴンブレス


剣士と戦士は炎に包まれ、悲鳴と共に吹き飛ばされる。

ゼロは着地と同時に軸を変え、二人の胴を豪快に薙ぎ払った。

火花が飛び散り、焦げた土の匂いが戦場に立ち込める。


ルアは剣闘士の重い一撃を受け流し、体を翻すたび光が散る。

その瞬間、魔法を起動。


第五階梯魔法

──フィジカルブースト(身体強化)

──アクセルドライブ(スピードアップ)

──マインズアイ(心眼)


力が全身に満ち、動きが倍速になる。

剣闘士の狂乱する斬撃を軽々と弾き返し、流れるように距離を詰める。


そして双剣に第十階梯魔法──炎帝轟砕アグニス・カタクラズムを宿す。


剣闘士は狂ったように斬撃を連打するも、すべて弾かれ、空気を切る音だけが残る。


ルアが一閃、炎を纏ったクロス斬りを放つと、剣闘士の胸に鮮やかな刻印が刻まれ、血潮と共に地面に崩れ落ちた。


戦場に静寂が訪れ、煙と焦げた香りが残る。その中に、次の戦いへの緊張が微かに震えていた。


そして、空は圧がかかったようにひび割れた。


――――


三人は自宅に戻っていた。


アスラの隣にいるゼロは相変わらず飄々としているが、ルアの表情には明らかな疲労が浮かんでいた。体の奥底まで力を振り絞った後の重みが、全身にまとわりついている。


アスラはそんなルアを見て、自然と笑みがこぼれた。


「今日のルアは凄かったよ!鬼気迫るものがあった!」


ルアは疲労で少し顔を歪めながらも、目を輝かせて答える。


「わたし、無我夢中で……でも、訓練通りやってみたら四人倒したよ!」


その言葉に、疲れ切った顔の中にも笑顔がにじむ。やり遂げた達成感と、戦い抜いた高揚感が入り混じった表情だった。


ゼロがゆっくりと立ち上がり、落ち着いた声で言う。


「明日からまた訓練だから、今日はゆっくり寝るように」


ルアは頷きながら、少しフラフラと部屋に向かう。ゼロは彼女の背を見送りながらも、どこか楽しげに微笑んでいる。


リビングに残ったアスラは、窓の外の夜空を眺めながら考え込んでいた。

ゼロは傍に座り、ゆったりと酒を流し込む。


「ついに三人の勇者を殺ったな。女神アテナが次にどう出るか楽しみだ。」


アスラは軽く笑いながら、酒を口に運ぶ。


「ああ三人殺った。何かあるとしたら次だ。恐らく次の勇者召喚で、世界の状況が一変するはずだ」


ゼロが言葉を重ねる。


「例えば、勇者以外のものを召喚する……とか?」


アスラは考えを巡らせる。


「その可能性は高いと思う。これは前から想定していたことだけど、いつか“闘神”が降臨してくるかもしれない。ちなみに女神アテナも戦いの神だ」


アスラは笑みを浮かべながら、杯の酒を見つめる。


「アスラ、言っておく。神々との戦いになれば、俺は本来の姿で全力で戦うぞ!」


ゼロの瞳には確かな覚悟が宿っていた。

アスラは肩をすくめ、含み笑いを浮かべる。


「ゼロ、巨大な体は大きな力を生むけど、逆に狙われやすく、集中的に攻撃を受けやすくもなる。

これもずっと考えていたことだけど、体格を三メートルくらいに抑えて、その体に龍王の龍魔力を圧縮して収める……なんて出来ないよね?」


ゼロは一瞬、真剣な目でアスラを見るが、すぐに笑みをこぼす。


「で、出来るにきまっておる!」


「できるようになったら教えてな」


アスラはゼロの肩を軽く叩いた。


「そうそう、そろそろルアに龍技を教えるつもりだ」


ゼロの目が嬉しそうに輝く。


「おお!いいじゃないか!二刀流の龍姫って二つ名が似合いそうだ」


アスラも自然と笑顔になる。


「最初は、龍鎧壁ドラゴニックガードを教えるつもりだ。あの子に足りないのは防御だからな。プラス防御魔法を貼っておけば、完璧だ」


ゼロの表情は意外なほど柔らかく、だがその目には厳しさも宿っていた。やはりルアだから、彼の優しさはより深いものになるのだろう。


第四の勇者が現れるのは、まだ三ヶ月後のこと。

アスラとゼロは、ルアを日々厳しくも丁寧に訓練させ続けた。


――――


ある日、ゼロはルアに龍技の訓練をつけていた。


「わかるか?自分の皮膚を感じて、それを龍のように硬くしていくイメージを作る。皮膚に神経と龍魔力を集中させろ」


ゼロが鋭い指摘をする。


「う、うん!集中大事……そして龍魔力を流す」


ルアは必死に龍魔力を制御する。


ゼロの声は厳しく、言葉一つ一つに圧がある。


ルアは息を整え、集中する。手のひらから指先、腕、肩、全身の皮膚に意識を張り巡らせ、龍魔力を体の隅々まで送り込む。すると皮膚がまるで鋼のように、赤黒く光り始めた。


ゼロは鋭い眼差しで見守る。


「よし、その感覚だ!」と叫ぶと同時に、木刀を振り下ろした。


「カンっ!」


木刀は、まるで弾かれるかのようにルアの体から弾き返される。

ゼロは息を整え、満足そうに頷く。


「ルア!成功だ!さすがだよ。後は、発動速度を上げることを目標にするんだ」


「うん!わかったよ!これで私も龍の仲間だね!」


ルアは笑顔で力強く頷く。全身に残る熱と疲労を感じながらも、その瞳には新たな決意が宿っていた。

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