表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

復縁希望のラブレター〜婚約破棄から半年後「僕が浮気したのは神が与えた試練だった」という手紙が届きました〜

作者: 冬月光輝

 やぁ、元気だったかな?

 そんなはずはないよね。だって、君は運命の人と離れ離れになってしまったんだから。

 

 僕も君と同じ気持ちだよ。

 ああ、認める。認めてやるさ。

 僕も寂しいんだ。

 君が僕のもとを去ってから、色々とあったんだけどね。

 そのとき、気付かされた。

 君が誰よりも大事だってことに。

 

 考えてみれば、これは試練だったのかもしれない。

 君との愛の深さを確かめ合うために神が与えた試練。


 あの女は最低だった。

 確かに君よりも若いし、スタイルも良くて、顔もいい。

 完璧な女だと思ったさ。


 だけど、それが神様が仕組んだ罠だったんだな。

 本当に騙されたよ。

 危なかった。

 もう少しで僕は人生で最大の過ちを犯すところだったんだ。


 いや、わかっているよ。

 僕があの女が君に虐められているという嘘をすっかり信じ込んで、君をパーティーで糾弾したことは良くなかったって。


 だけど、あいつはすごく嘘が上手くてね。

 涙を流しながら話すから、信じてしまったんだ。

 はぁ……お人好しって損だよな。

 君も僕が優しい男だってことは知っているだろ?

 まさか、あれが演技だっただなんて……考えもしなかったんだ。


 わかっているよ。

 君もデタラメだと怒っていたよね。

 あのとき、僕は君を信じたかった。

 嘘じゃない。

 

 だけど、僕って怒っている女は苦手なんだよね。

 君も今度からは気を付けてくれたまえよ。

 ヒステリーな女って損するからね。

 冷静に淡々と話し合えば、きっと僕も君を信じてあげられたんじゃないかな。


 ということで!

 お互いに非があるということはわかってくれたと思う。

 これは水に流して、関係を戻してもいいんじゃないかな。

 

 君にはきちんと弁解する義務があった。

 だけど、それを怠ってしまった。

 だから僕はクソみたいな女の虚言を信じ込んでしまった。


 君に過失がなかったとは言わせないよ?


 ママ、いやママは手紙とはいえよくないな。

 王妃陛下も君のことは許してくれるってさ……。

 生意気で教育が必要だけど、跡取りを生むという覚悟があるならば、また僕と婚約してもいいってさ。


 だから、戻っておいでよ。

 知っているよ。

 君が結界魔法で人知れず魔物から国を守ってくれていたってこと。


 今、王都は魔物たちが大量に発生してとんでもない状況なんだ。

 どうか助けてほしい。

 君との思い出がいっぱい詰まったこの王都を、いや……最低でも僕が暮らしている王宮だけでも頼む。


 僕が頼み事を滅多にしないというのは知っているだろ?

 こんなに下手に出てやったんだ。

 早く、帰ってきなさい。

 わかったね!?


 ◆


 なぜまだ帰ってこない?

 パパ……いや国王陛下に怒られて、僕が魔物を狩ることになったよ。

 幸い剣の腕には自信があるから、まぁいいが。


 それでも、君の結界術さえあれば僕が魔物討伐に出かける必要もなかったんだ。


 実は左腕を骨折してね。

 右腕しか使えないんだよ。

 

 君なら治癒魔法で一瞬で治療できるだろ?


 痛いんだよ。全身打撲も多分ある。

 

 助けてくれ。お願いだ。

 このままだと、魔物討伐の果てに死んでしまう。


 ◆


 薄情者!

 なんで来てくれないんだ。

 

 あれから半年、僕は毎日のように魔物と戦っている。

 きりがない。いくらやっつけてもどんどん湧いてでてくる。


 昨日は百体、今日は百五十体討伐した。

 全然減らないどころか、むしろ増えている。


 もう限界だ。頼む。僕が悪かった。


 お願いします。

 どうか助けてくれ。いや助けてください。


 ◆


 もうダメだ。

 国王陛下の命令で魔王討伐隊の隊長になってしまった。

 どうやら、魔王という魔族の支配者が魔物たちをけしかけているらしい。

 わけがわからない。

 王族たる僕が最前線で戦いをせねばならない理由が。

 

 怖い。せめて討伐隊に入ってくれ。

 魔王が恐ろしくて仕方ないんだ。


 ◆


 魔王討伐の旅は険しい。

 仲間たちは次々と戦死してしまい、残り僅かとなってしまった。


 色んなところで君の噂を耳にしたよ。


 各国を回って人助けをしているらしいね。


 この手紙は届いていなかったのか。

 辺境の田舎の屋敷に戻っているとばかり思っていたから勘違いしていたよ。


 また手紙を送るよ。

 いつか里帰りしたとき……僕の手紙を読んでくれると願って。


 ◆


 やぁ、元気かな。

 気付けば、人混みの中で君を探す日々を送る。

 だが、そんな日々も終わりを迎えるかもしれない。

 僕は残された仲間たちと共に明日、魔王城の攻略へと向かう。


 生きて帰ることができる保証はない。

 

 しかし、世界を回って僕は知った。

 魔王によって未来に絶望している人たちの多さを……。


 今さらながら僕は使命感に燃えているのだ。

 魔王を倒し、人々を救う。

 

 考えてみれば、以前の僕は自分勝手で甘ったれで、君に愛想を尽かされても仕方のない人間だった。


 国外に出ても、聖女としての使命を果たしている君はすごい。

 君も知らないどこかで、誰かを救うために奔走していると想像するだけで力が湧いてくる。


 もしも、奇跡が起こったら……また君に会いたい。


 愛している。

 僕は大馬鹿者だ。


 ◆


 奇跡が起きた。

 ついに僕は魔王討伐を成し遂げたんだ。


 ようやく故郷に帰ることができる。

 国王陛下も僕を許してくれた。


 率直にお願いする。

 聖女である君と、もう一度やり直したい。

 

 都合の良いこと言っているとわかっているが、君しか考えられないんだ。


 僕は君以外の人間を伴侶にするつもりはない。

 一生独身も覚悟している。


 戻ってきてくれ。

 待っている。君をいつまでも……。


 ◇


「これが、生涯独身を貫き通した英雄王が聖女へと送り続けたラブレターですか」


「ああ、残念ながら救済の聖女の心は動かせなかったんだがな」


「それは知っていますが、不思議ですよね。魔王討伐までした英雄ですよ。過ちを許してあげてもよろしいのでは?」


「許す、か。お前も覚えておけ、一度“無理”という烙印を押された人間はそう簡単にその評価を覆せないんだ」


「はぁ、そういうものですかねぇ……」



勢いに任せて書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?


もしも少しでも「面白い」と思ってくださいましたら

ブクマ登録と↓↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして評価していただけると大変励みになります!

何卒、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
個人的には「そろそろ許してやったら?」は言った人間をその性別に関係なく「許せないヤツの同類」に入れるに足るセリフですねぇ…… というか、手紙じゃなくて直接頭を下げにこいと
同情の余地はないけど、この手紙が後世に残って皆に読まれると言うのは結構な罰ではある。生前にこうなると知ったら、夜な夜なベッドでのたうち回っていそう。羞恥で
ただのロミオメールではなく、上から目線のでしたか。しかもマザコンきつい。 よくこんなクズが魔王討伐できましたね。獣や魔物の餌食でもなれば良かったのに。……お腹壊しちゃうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ