第56話:勧誘理由
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トミオ
レベル:51
クラス:シーフ(40)
HP:211
MP:143
STR(筋力):39+8
AGI(速さ): 63 +40
VIT(体力): 18
DEX(器用):50 +25
MNA(魔力):30
LUC(幸運):46+19
装備:
右手:チェーンスライサー(攻+36 ※鎖分銅に拘束機能あり【シーフ専用】)
左手:ラインバックラー(防+12)※装備しながら二刀流可能
体:ハードコートクロース(防+26)
頭:頭巾(防+8)
アクセ1:盗賊の証(DEX+1)
アクセ2:あかがねの腕輪(防+2)
AP装備:なし
クラススキル:ファストアタック、スティルアタック、疾駆斬
ユニークスキル:鎖鎌マスタリー、ピタッとフック、ダイナミックバインド
汎用スキル:駆け足(10)、伐採(1)、疾走(2)、アクロバット(7)
所持アイテム:
【追憶】の鎖鎌+6(攻+24 ※鎖分銅に拘束機能あり【シーフ専用】)
先触れのシーフクロース+3(防+18 AGI+1)
聖水 5個
HP回復ポーション(上級)33個
MP回復ポーション(中級)25個
アウェイクン・シンボル 5個
メディカルポーション(毒) 3個
メディカルポーション(麻痺) 3個
リターン・ジェム 5個
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店を巡った結果、装備が更新された。
世話になった【追憶】の鎖鎌とも遂にお別れだ。何かに使えるかもしれないから、大事にとっておこう。
チェーンスライサーは横文字になっただけで、ちょっと持ち手や刃の形状が違う鎖鎌。特殊な効果はない。店売りに過剰な期待はしていない。単純に数値面で変更した。
イベントでレベルも若干上がった。ネットの情報だと、ここらからレベルアップが緩やかになるそうだ。
そろそろ新しいスキルを覚えたりしそうだけれど、その兆候はない。
ともあれ、準備はしてみた。いってみよう。
◯◯◯
モリス・ルクスの遥か北、海岸を越えて東にいくと平たい山のような地形が見えてくる。
テーブルマウンテン。地球上だとギアナ高地なんかで見られる地形だ。
フェアリーガーデンはこの地形の一画に存在する。
瑠璃さん達との集合場所は麓の石碑。復活ポイントだ。
俺が到着すると、既に二人ともその場にいた。人がそこそこいるからか、近くの木陰に座っている。
服装は変わらない、オリフさんは何かのクラフトで時間潰し。瑠璃さんは……どこか、遠くを見ている。
「すみません。遅くなりました」
近づいて挨拶すると、瑠璃さんが一瞬震えた後、すぐに笑顔になった。
「あ、こんにちは~」
「おつかれ」
普通に挨拶が帰ってきた。何だったんだろう。
「瑠璃さん、遠くを見ていたけど何かあるんですか?」
「寝てました~」
「……凄い技を持ってますね」
フルダイブ型VRは夢を見ているようなものだ。普通なら、プレイ中に寝ると本当に睡眠に入ってしまう。
その場合、脳波を見て判断したシステムによって強制ログアウトされることになる。
しかし、世の中には一定数、VRダイブ中に寝る技術を持つ人がいると聞いたことがある。
うたた寝のような、絶妙な状態をキープすることでログアウトを防げるそうだ。
意外と休んだ感覚があるらしいとは聞くけれど。使い手には初めて会った。
「それできる人初めて見ました。休憩になるんですか?」
「うーん。気分的にはスッキリしますね~」
「動きはいつもより良くなるよね。さて、さっそく説明をしようか」
「はい。フェアリーガーデンのクエストですよね」
オリフさんが簡単に説明をしてくれた。
クエスト、フェアリーガーデンへの道。
テーブルマウンテンから落ちてきた妖精を助け、頂上まで届けると村に招待してもらえるという内容だ。
そこで、お礼にサポートキャラ、『フェアリー』を貰えるという流れらしい。
シンプルかつ、実入りが大きい。イベントを乗り越えたプレイヤーの多くが、とりあえず挑戦しているそうだ。実際、石碑の周りに俺達以外の人も多い。
もちろん、ゴシックPは全く関わっていない。その点でも安心して挑めるクエストである。
「たしか、難易度はそれほど高くないんですよね?」
「サポートキャラ獲得用だからね。さくっとできる」
「ですよ~。その上、トミオさんがいれば楽々攻略です!」
むん、と胸を張る瑠璃さん。相変わらずでかい。何がとは言わないが。
「俺が関係してるんですか?」
「はい! ピタッとフックでこの山を駆け上がるんです!」
目の前の崖というか絶壁を指差して宣言された。
テーブルマウンテンは、ほぼ垂直の崖みたいな土台の上に、広大な平地がある。
登れるのは側面に作られたつづら折りの細い長い登山道のみ。
崖自体は登る気も起きない代物だ。それなりに手をかけたり休憩できそうな箇所はあるけれど。
つまり、瑠璃さんは俺のスキルでクエストで発生する登山をスキップできるかも、と踏んだわけだ。
横を見ると、オリフさんが申し訳無さそうな顔をしていた。
「オレは止めたよ……」
「多分、対策されてますよね……」
上を見上げると、でかい鳥みたいのが飛んでるの見える。
ピタッとフックとはいえ、垂直に百メートル以上ある崖を登るのも大変だろう。他にも色々仕掛けられてそうだし……。
「うっ。二人して……。ちょっとずつ登ればいけるかもしれないじゃないですか~」
俺達の雰囲気に気付いた瑠璃さんが抗議の声をあげた。
ちょっとずつか、登山道の近くをショートカットする手ならいけるだろうか。いやでも、崖を一直線に登ろうとするプレイヤーくらい想定してるよなぁ。
もう一度瑠璃さんの方を見ると、期待に満ちた目でこちらを見ていた。
多分この人は、属性的にフィーカに近い。なんとなく、そう思った。
「試してみて駄目だったら、普通に攻略しましょうか」
「それがいいね」
ホッとした様子でオリフさんが言う。いつもこんな感じで思いつきに付き合ってるんだろう。
「やりました~。どっちにしろ、前衛がいないと困るって話してたんですよ~」
「ソロで攻略するよりは楽だよ、トミオ君」
「ですね。俺もちょうど、火力不足で困ってたんで助かります」
攻撃役と防御役の二人、それに囮役の俺が加わってバランスがいい。話としては乗らない理由はない。
クエストを受けるべく移動を始めるうちに、何となくフィーカがいないことが気になった。瑠璃さん達とは仲が良かったはずだけど。
「そういえば、フィーカには声をかけなかったんですか?」
「フィーカちゃんは最近忙しいみたいですからね~。廃の人達と一緒になんかしてます」
「平和な日々だよ」
そうか。あいつも忙しいしな。新要素の配信素材でも集めているんだろう。
とりあえず、早速クエストを始めるべく、テーブルマウンテンの登山口に向かうのだった。




