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一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO  作者: みなかみしょう


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55/59

第55話:運営からのお知らせ&火力不足

~運営からのお知らせ~


 いつもご利用ありがとうございます。

 以下のアップデートを行いました。


 ・『ルクス山地』より北方のマップ及びイベントの開放

 ・一部二次クラスの実装

 ・『フェアリー』システムの実装

 ・帰還アイテム「リターン・ジェム」の販売開始

 ・ギルドハウスの建築機能拡張

 ・一部、ファストトラベルの拡張

 ・『錬金術師イザベル』討伐に関連したアップデート


 今後も『ビヨンド・ワールド・オンライン』を宜しくお願い致します。


 ◯◯◯


 VRの世界でも海は綺麗だ。寄せる波が輝く太陽の光を反射して、水平線まで雄大な景色を作り出している。

 砂浜からちょっと離れた丘の上に座り、俺はのんびり景色を眺めていた。


 ここはルクス山地を抜けた先にある海岸だ。特に名前はない。

 錬金術師イザベル討伐後、運営は一気に新要素を開放した。そのうちの一つが、ファストトラベルを使ってのルクス山地北部への移動だ。設定的にはキメラゴドン討伐の時に作った大トンネルを使っている、ということになっている。

 

 おかげで、これまで一部の廃プレイヤーにしか到達できなかった山越えを誰でもできるようになった。同時に、帰還アイテム『リターン・ジェム』が実装されたことも嬉しい。これでいつでも復活ポイントに戻れる。こちらもイザベルの工房にあった技術を解析して出回るようになったらしい。


 イベントを上手く世界観に活かしたアップデート、こういうのはとても嬉しいね。苦労した甲斐があった。他にも色々と気になる要素が増えたもんで、皆とても忙しい。


 そんなわけで、俺はソロで海岸まで来て景色を眺めているのである。


「火力……足りねぇな……」


 ログインした時間の関係か、周りに人がいないので声に出してみた。

 ルクス山地を越えた先はレベル50以上のプレイヤーも苦戦するくらいのバランスだ。モンスターも強くて硬い。

 試しに海岸にいるヤドカリみたいのを殴ったら、思った以上に苦戦して我が身の非力さを実感した。

 攻撃で押し切ることのも大変だった。


 BWOのシーフは二刀流で戦うのがメジャーだ。鎖鎌でそれをやると、肝心の鎖が使えなくなる。そもそも、あんまり火力が高くない。

 キメラゴドン戦の時点でわかってたことだけど、いざ新天地で身を持って味わうと辛いものがある。

 

 手持ちのユニークスキルは強力だけど、攻撃スキルじゃない。

 現状のままだとソロは厳しい。

 そう結論に達した俺は、今後について考えている。


 一番簡単なのは、開放されたばかりの二次クラスにつくことだ。


 上位クラスの実装なんて大きなことを運営がさらっとやったことで、ネット上では騒ぎになっている。

 ルクス山地以降、妙に敵が強かったのは、二次クラス実装を控えていたからなんだろうけど、唐突だ。

 

 調べたところ、今用意されている二次クラスになると、ステータスが大幅に上がるようだ。スキルはシンプルにグレードアップしたものが多いみたいで、トリッキーさはない。

 シーフはハイシーフになれるらしい。そのまんますぎる。


 この二次クラス、ベテランほどまだ様子を見している人も多い。

 運営発表の文言が「一部の二次クラスを実装しました」だからだ。他にも追加がある可能性が高い。


 俺としても、もう少し様子見したい。もしかしたら鎖鎌使いに向いた二次クラスが用意されているかもしれないので。


「次善の案で行くか……」


 二次クラスとは別に、能力値を強化する方法も実装されている。

 妖精システム。『フェアリーガーデンの探索』というクエストをクリアすると手に入るサポートキャラだ。 

 こちらは能力値の補正とサポートスキル、ついでにペット風キャラクターが入手できるという中々興味深いものである。


 二次クラスに比べると、後から追加の要素も少なそうだし、待つ必要はないだろう。

 俺なりの考えはそんな所に落ち着いた。

 とりあえず、妖精さんを捕まえに行くか。

 そう思って立ち上がろうとしたところ、フレンドチャットのウインドウが視界に灯った。


「瑠璃さんから?」


 声をかけてきたのはピコ瑠璃ぃさん。俺相手とは珍しい。


「こんにちは~」


 応答すると、すぐに優しげな間延びした挨拶が聞こえてきた。


「こんにちは。何かあったんですか?」

「いえ~、お暇ならちょっとお手伝いして頂きたいことがありまして~」

「手伝い? 俺が?」

「はい~。フェアリーガーデンへ行くクエストを一緒に攻略できないかな~と思いまして」


 まさに渡りに船。タイミングの良い話が飛び込んできた。


「是非お願いします。参加者は二人ですか?」

「もちろん、オリフさんも一緒ですよ~」


 瑠璃さんとオリフさん、いつも二人でいる安定感のあるコンビ。火力的に防御的にも安心だ。


「あ、あとオリフさんから伝言です。モリス・ルクスに武器屋が増えてるんで、装備の更新まだならしたほうがいいよ~、って言ってます」

「マジですか! 一度戻ってすぐ向かいます!」


 なんてこった、帰還アイテム以外にも色々増えてるのか。でかい要素が多すぎて見落としてた。


 俺は集合場所を確認すると、急いでその場から駆け出した。

 まずは装備の更新だ。

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