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第3話:始まりの地



 門の向こうに出たら、泉の前だった。申し訳程度に整えられたそこには、腰くらいの高さの台座がある。


「……?」


 何かと思って触ってみたら、ウインドウがポップした。


 <復活地点に登録>

 <倉庫へアクセス>

 <マーケット>

 <転送サービス(工事中)>


 どうやら、便利サービスへアクセスするためのものらしい。とりあえず、復活地点の登録を確認してみる。「既に登録済みです」と出た。


「結構賑やかだな……」


 周囲を見回すと、俺と同じ立場の人間が沢山いる。『ビヨンド・ワールド・オンライン』、略してBWOはサービス開始したばかり。最初の村は当然賑やかになる。


 人が多くて落ち着かないので、とりあえず少し移動。建物の影に座り込む。


 現在地はフロントタウン。最初の村らしい。

 門越しに見た時は牧歌的だと思ったが、いざ来てみると、なんか雑多だ。


 ファンタジー世界らしい家が建ち並んでいるけど、資材置き場も多い。さっきの泉の周りも雑に石で囲われている。

 

 色々と確認してみるか。

 そう考えて、ウインドウを次々に中空に呼び出していく。VRはこういう時便利だ。考えただけ自動で動く。


 まずは、自分のステータスを確認。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 トミオ

 レベル:1

 クラス:新米探索者

 HP:15

 MP: 0


 STR(筋力):5

 AGI(速さ): 5

 VIT(体力): 5

 DEX(器用):5

 MNA(魔力): 5

 LUC(幸運):5

 

 装備:

右手:ダガー(攻+2)

左手:なし

  体:探索者の服(防+3)

   頭:なし

 アクセ1:なし

 アクセ2:なし


 クラススキル:なし

 汎用スキル:なし

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 ステが平たいな。BWOはステータスを振り分けられないタイプのゲームだと聞いている。プレイ内容に合わせてステータスが伸びていくそうだ。事前情報で読んだ。

 極端なプレイスタイルを選択できないけど、全く使えないキャラが生まれにくい。そんな方向性だろう。MMOで使えないキャラになると辛いからな。

 クラススキルは今後なにかしらの職業につけば取得可能とのこと。


 汎用スキルはクラフトや料理などのスキルのことらしい。場合によっては睡眠とか食事とか、色々取得できるとか。

 ただ歩いているだけでステータスが伸びたりスキルを取得できる。それを楽しんで欲しい、みたいなことがネットの記事に書いてあったな。


 こういうのはやっていく内に理解していこう。俺はスタートダッシュからガリガリ進める廃プレイヤーじゃないしな。


 まずはゲームを楽しむ。義務感や作業感が出てくると辛い。ゴシックPの用意するイベントでもあれば話は変わるけど。


「うわ、用語辞典も気合入ってるな……」


 世界観を確認するため、その辺の設定を見てみたら大量の情報が出てきてびっくりした。


 <物語>

 神と邪神の戦いが終わった時、一つの世界が終わりかけていた。

 せっかく勝ち取った平和もこのままでは危うい。

 神々は残された力で、新天地「スザンウロス」への扉を開いた。

 別世界への扉の向こうにあったのは、まだ何もわからない新天地。

 貴方達はこの新天地に派遣された「探索者」なのだ。



 ざっくり言うと、こんな感じらしい。

 つまり、ここは名前の通りの最前線というわけだ。


 プレイヤーの行動によって新しい町が見つかったり、地形が変わるとか。そんなことがあるらしい。これも発表時の記事にあった。


 ウインドウの中にある『全体MAP』を呼び出すと、フロントタウンと周辺だけが表示されている。

 俺達プレイヤーの行動でこの世界が広がっていくというわけか。なるほどね。ちょっと楽しみじゃないの。

 

 確認が済んだので、立ち上がって周囲を眺める。それから、軽くスクワットしたり腕を振ったりもする。


 どうやら、今のところ視力も運動能力も普通と変わらないことがわかった。

 ゲームによってはいきなり三メートルくらいジャンプできたりして、びっくりすることがある。この辺の確認は地味に大事なのだ。


 『ゲヘナ・オンライン』サービス終了から五年。色々なゲームを渡り歩き、それなりに経験は積んだ。昔より、VRゲームの腕は上がっているはずだ。

 今回もまた、楽しめるといいな。ついでにゴシック体へのトラウマも払拭したい。


「さて、まずは簡単なクエストでも受けてみましょうかね」


 ウインドウの中には村で受けられるクエストのリストまであった。とりあえず、探索者ギルドという場所で、採取依頼を受けるのが良いらしい。わざわざ『最初の一歩』と銘打たれている。


 こういう親切な誘導を受けるのも、MMOを始めたって気がするな。


 そんな感慨を抱きながら、俺はタウンマップで確認した探索者ギルドに向かうのだった。


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