恋という名の常習犯
人によっては不愉快になる心理描写あり。
キュンキュンしたい人にはおすすめ出来ません。
飛ばすことを強く推奨します。
読んだ後の文句は受け付けません。
台風って、通り去っていくでしょう?
私の恋も、それと同じ。
荒れて荒れて、そして、何事も無かったように過ぎ去っていく。
台風は、なんでもない顔で、全てを滅茶苦茶にして、何も言わずに居なくなる。
来るのも突然だし、逃げる暇もなく、全てを呑み込んでしまう。
勝手に恋して、勝手に冷めて。また誰かを好きになる。
一人を好き続ける事が、どうにも私には向いていなかった。
彼氏が出来ても、前に恋した人に惹かれて。
そして、彼氏と別れたら、またその人に恋をする。
なんて、自分勝手で気持ちが悪いのだろうか。
わかっている。これが異常だってことも、気持ち悪くて、自分勝手だということも、全部わかっている。
でも、辞められないのが人間でしょう?
私は、好きに焦がれて、恋に焦がれるの。
それは、きっと死ぬまで止められないこと。
恋は盲目とよく言うけれど、私にとっては、恋は厄災であり、人生のスパイスなの。
恋して、その人の隣に立ちたくて、自分を磨いて、可愛くなって。
付き合って、他の人に恋をして、別れて、また自分を磨く。
ある種の、悪循環なのだろうけれど、どこで止まればいいのか、私には、もうわからない。
けれど、それもきっと、私という人間のサガ。
ならば、それも武器にしてしまえばいい。
磨いて磨いて、磨ききって、そうすれば。
ーーー終わって、くれるよね?
嵐が去るのを待つように、いつか終わることを待つしかないのだから。
―――――
恋愛にウンザリして、暫く彼氏も、男性と関わることが億劫になっていた。
はっきり言おう。面倒くさくなったのだ。
自分勝手だと笑われるかもしれないけれど、もう慣れてしまった。
自分で自分に呆れるほど、面倒くさい女。
けれど、他の人にバレなければ、いいでしょう?
恋をしたことも、その恋で人を振り回して、傷つけたことも、全部、隠して、誤魔化して、なかった事にしてしまえば。
ーーー最低な私はいないことになる。
最低?屑?言いたければ言えばいい。
一番理解していて、理解していないのは、私なのだから。
……そんなとき、また恋をした。
不意に目が合った彼。
私に興味を持たず、私をただの日常風景のように扱い、私の横を颯爽と歩いて通り過ぎた彼。
そんな彼に、私は惹かれた。
ドクドクと、激しく脈打つ心臓の音が、やけに大きく頭に響く。
目を閉じた。強く、強く祈る。
今度こそ、正しい恋が出来ますように。
今度こそ、正しく人を愛せますように。
私の恋が、愛に変わりますように。
恋は台風みたいに激しくて、過ぎてしまえば静かになる。
私の心を乱して、誰かの心を傷つける。
それでも私は、恋し続ける。
ーーー人を、愛すために
恋も台風も、自分勝手なのだから、許してくれるよね。