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汝、無機物を愛せよ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

超現実主義らしき物に興味を持った日のことを覚えてます。

私の趣味に絵画を見るというものがある。ただ数秒間立ち止まると飽きてしまう為に、広く浅く吸い上げて次に回るという芸当を熟す。

私にとって美術鑑賞というのは、絵画を見るというよりも、その場の空気を吸うために訪れていると行っても過言ではない。

だが今回、も少しきちんと向き合おうという事で、連れをと共に回る事にした。これできっと、身勝手な行いはしないであろう。

案の定、彼は一つ一つの絵画を吟味する様に顔を近付けて、細部に至るまで目に焼き付けていた。私も彼を真似て、絵画に顔を近付ける。

昔は写実的な物しか受け入れなかったが、今は割と超現実主義なものも受け入れられる様になってきた。という訳で、今回は超現実主義的な絵画と顔を合わせる。

角張った輪郭の中に、こってりとした塗りで固められた作品。絶対に現実では調和しない世界がそこにあった。ミクロの目で見れば現実的、マクロの目で見れば空想的。その相反する事象が、脳をくるりと掻き回す。見れば見る程にその世界にのめり込んで、聞こえない音まで聞こえて来るようだった。

今のところ私の趣味から外れてしまう絵画に印象派がある。何故受け入れられないか、と聞かれれば、ぼんやりとした輪郭が性にあわないからだと思う。何処までが境目で、何処までがそのものなのか、その曖昧さが気に入らないのだと思う。

改めて顔を近付けて、顔のない人間と相対する。美しいと思う。何も映さない、その無機物性がたまらなく。

「いいね。丸でも四角でも三角でも、なんでも良い。外郭が欲しいんだ。でもそれから外れた物に、私はきっと興味を見出さないのだと思う。曖昧な物が、きっと苦手なんだと思う」

「顔がない物は曖昧なんじゃないのか」

彼は指差しながら、静かにそう囁いた。言われて見ればそうかも知れない。

「でも顔があったら人間味が出てしまうから。人間性というのは、曖昧さの固まりだから」

中学の時には、超現実主義はハマりませんでした。

ハマったのは数年後だった気がします。

美術館番組で『ナイチンゲールに脅かされる二人の子供』を見てから。

作者である、マックス・エルンスト氏の幼少期が元になっているそうで。

自分が飼っていた小鳥が死んだ日に、弟が産まれたんです。

それを見て、小鳥の命と引き換えに弟が誕生した。と取り上げられていました。

『誰が殺した駒鳥さん』という心情になった訳です。

あの時の光景が焼き付いて、興味持つようになりました。


輪郭のはっきりした、こってりとした塗りが好きな子の話。解のあるものが好き。曖昧な物が嫌い。

そんな話でした。

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