第十話
遂に本番の日がやってきた。とても楽しみだ。
前回と違って今回は屋内でのライブだ。
お題が決まっているため、披露する曲が被ったり、似たような曲が多いと思う。
聞いている限り、とても似ている曲がすでに多い。
クリスマスということもあり、どうしても"恋人"という存在を意識してしまう。
恋人→好きな人→中村さんと連想ゲームみたいな発想で頭の中に浮かんできた。
多分、この4月から休み以外は大学で顔を合わせていたからだろう。
その思考に驚いていると、いつの間にか順番が回ってきた。
二回目のライブだから、緊張はしていない。
あっという間に5分が経ち歌い終わっていた。
片づけをしていると
「めっっっっっっっっちゃよかったぞ!!!」
「何となくだけど、直人の感情っていうか想いが伝わってきてすげー感動できた!!」
とみんなが口々に褒めてくれてた。とても恥ずかしかった。
照れながらも
「ありがとうございます」
と何とか返事が出来た。
その後のライブは申し訳なかったが、全くと言っていいほど、
集中できなかった。何となく中村さんが好きになっているとは思う。
が、まだ好きになったと認めたくない。
そんなことに頭を使っていると、ライブ終わっていた。
そして、片付けの後にある今回のライブのナンバー1の発表がある。
「みんな、片づけありがと!事前に連絡してた通りに今回のナンバー1を発表する!」
「「おぉぉぉぉ」」
「「待ってました!!!」」
と各々が反応をした。
そんな中、俺はまだ思考が好きであろう人囚われていた。
「皆も予想と当たっていることを願おう。」
ドゥルドゥルドゥルドゥルと再びBGMを使っていた。
皆は、誰にしたんだろうと他人事ように考えていると、
「直人だ!!」
と部長が答えて、拍手をしてくれた。
俺が驚いていると、皆が
「今回は直人に譲ってやるよ。」
「あんなの聞かされたら、直人が一番だって思っちゃったな」
部長が近づいてきて
「どうだ?ナンバーワンの感想は?」
「すげー嬉しいです」
と素直に答えた。




