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離世

作者: リール

ある日のこと。


私はある人から送られてきた長いメッセージを読んでいた。


以下がその内容である。


...20年も生き続け、私はようやく生きることに向いてないことに気が付きました。


千切れた指もくり貫かれた目玉も折れた歯も再生しない、日を追うごとに劣化してしていく欠陥だらけの体を引きずりながら現世に留まり続けるなんて私には無理です。


それに、今の世の中ではところかまわず喋ったり声を使ったコミュニケーションを取ることが求められています。


友人は会話が出来る人を優先し、店舗で何かしらの注文をする際は、言葉を発して的確に用件を伝えなければなりません。


コンビニでコーヒーを購入することさえ言葉が必要なのです。


喋ることにストレスを感じている。そんな私にとって、今の世の中で生きることはただ苦しくてつらいだけです。


それに、仮面を被って外を歩くことも出来ません。顔なんて見せたくないのに。


容姿が醜いだけならまだしも、インターネットの世界では決して面白くない自虐で満ちています。そんな自虐を見るたびに、私は無意識のうちに悲しみと怒りに包まれて呼吸さえ億劫になるんです。


リアルの世界でもインターネットの世界でも私の居場所はどこにもないんです。


きっと普通の人はこんなことさえ考えないのでしょうが。


もう疲れました。生きることも考えることも。


さよなら。


その文を最後にメッセージは終わった。


このメッセージを送ってきたのは、時折メッセージでやり取りをしている長年の付き合いのある友人だ。


このメッセージを送った後、彼女はアカウントを削除してインターネットの世界から行方をくらました。


彼女が住む人マンションにも電話したり直接赴いてみたが、反応はなかった。


確信はないが、きっと彼女はもうこの世にいないと思う。長年に渡って生きる苦しみを抱え続け、報われないまま過ごしてきたことを、一番近くにいた私はよく知っている。


死は救済だ。


ふいに、過去に言ってた彼女の言葉を思い出した。

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