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俺の『全自動支援(フルオートバフ)』で仲間たちが世界最強 ~そこにいるだけ無自覚無双~  作者: epina
第六章 死霊術師とハイオーク

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86.これから末永くよろしくお願いいたします

「ゲェーッ! マジでハイオークがいたんですかーっ!!?」


 あれから一週間後。

 王都に帰還した俺たちから報酬部位を受け取ったセレネイアさんが絶叫した。

 冒険者ギルドに木霊する受付嬢の叫び声に、冒険者たちからの注目が自然と集まる。


「あ、すみません、大声出して。というか変異種一匹で済んだとよかった思うべきですよね……三十匹も狩れば一匹ぐらいいてもおかしくは――」

「そんなことより、もっと大事な報告があるのよ。現場で魔王軍の死霊術師がオークの死体を片っ端からアンデッドにしていたの」


 ディシアの話を聞いたセレネイアさんが目をぱちくりさせる。


「へ? それって、どういうことですか?」

「これがその証拠ね~」


 シーチャが死霊術師から掠め取った杖と本をカウンターに置いた。


「うっ、なんですか? この異様な雰囲気のアイテムは」

「死霊術師が使ってた装備品。ボクが《鑑定》しといたけど、スラッドの見立て通りアーティファクトだったよ。なんなら鑑定書いる~? 今なら無料で書いとくけど」

「えっと、一応ギルドのほうでもやらさせていただきますので、少々お待ちいただけますか……?」


 セレネイアさんが杖と本を持って、あたふたと引っ込んでいく。

 

「きっと高く売れるわよね!」


 エチカが、ぱっと笑顔を咲かせた。


「どうだろう。アーティファクトだったら一品ものだし値段なんてつけられないんじゃないかな」


 俺も何度か昔の仲間といっしょにアーティファクトを提出したことがあるけど、大抵は「これを売るなんてとんでもない!」って言われてしまった。

 その割にパーティメンバーのみんなは、何故かご機嫌だったけど。

 どうやら今回も例に漏れないようで、シーチャが首を横に振った。


「いいのいいの。ボクも売るのが目的じゃないから」

「えっ……シーチャが金目的じゃないなんて、明日は雨が降るのです」


 驚愕に目を見開いたレメリに肩を竦めてみせるシーチャ。


「こういうのは貸しにしといたほうが絶対に後でトクするんだよ」


 その予言が当たったのか、セレネイアさんが大慌てで戻ってきた。


「ギルドマスターが至急お会いになりたいそうです! ちょっと皆さん応接室の方まで来ていただけますか!?」




 ◇ ◇ ◇




「お待ちしておりましたよ、皆さん!」


 応接室では、一人の人物が俺たちを待ち受けていた。

 スーツ姿の立派そうな紳士だ。

 というかこの人、どこかで会ったことあるような……?


「いやあ! それにしてもお久しぶりですね、スラッドさん!」

「えっと、どこかで……?」


 どうやらこのハイテンションなギルドマスターさんは俺のことを知っているらしい。

 申し訳ないことにすぐには思い出せなかった。


「ほら、半年ほど前に! ガンザの件で謝罪をさせていただいた……」

「ガンザさん……えっ、あのときのギルドマスターさんじゃないですか! なんで王都に!?」


 完全に思い出した。

 この人は、セレネイアさんと同じ街にいたギルドマスターさんだ。


「実は私、正式にはあの街のギルドマスターではなくてですね。少々査察というか、出向をしていたんです。本来はこういうものでして」


 ギルドマスターさんが名刺を渡してきた。

 その肩書を読み上げる。


「冒険者ギルド新大陸統括本部長……?」

「改めて名乗らせていただきます。私の名前はザウエル。新大陸冒険者ギルドの運営に携わる者のひとりです」

「えっ、まさかと思うけど元Aランク冒険者“予見”のザウエル~!?」


 シーチャがびっくりして食いつくと、ザウエルさんは照れたように頭の後ろを掻いた。


「いやはや、昔の称号で呼ばれるのはむず痒いものですな!」

「シーチャ、知ってるの?」

「知ってるも何も旧大陸では超有名な冒険者じゃん! というか、なんでスラッドが知らないのさ!」

「そんなこと言われても……」


 基本的に、昔の仲間の後ろにいただけだったので……。

 冒険に役に立つことだけ必死に勉強してたので……。


「いえいえ、そこはお互い様というもの! 私もあの後、スラッドさんのことをきちんと調べさせていただきましてね。まさか、勇者パーティで荷物持ちをしてらっしゃったとは……お金がないという話も本当だったのですね」


 ハンカチを取り出してよよよ、と涙を拭う素振りを見せるザウエルさん。

 本部長ってことは、すごい偉い人ってことかな?


「ふぅん。そんなお偉いさんが、スラッドとすでに接触してたとはね~。それで? 今回の依頼は一体どういう魂胆だったのさ」


 シーチャが軽く手を挙げて交渉に入る合図を送ってくる。

 どうやら、ここから先は彼女の出番らしい。


「いえ、魂胆なんて何も。ただ単に別の街で発布されていた依頼を私の権限でそれとなーく貼り付けておいただけです」

「えっ、そうだったのー!? だったら今回のランクアップは……」


 不安そうな声をあげるエチカ。

 しかし、ザウエルさんはチチチと指を振った。


「もちろんランクアップはさせていただきますとも。報酬ですからね!」

「ふぅ、よかったのだわ!」


 エチカは安心したみたいだけど、シーチャはまだ納得してないらしい。

 ザウエルさんをさらに追及する。


「よくはないでしょ〜。それって要するにエチカが興味を持ちそうな依頼をボクたちに受けさせようとしてたってことじゃん。なんでそんな回りくどいことをしたのさ」

「いやぁ、ハハハ。なんとなく、そうしたほうがいいと私の《予感》スキルが告げていたのです」


《予感》……確かレアスキルだ。

 詳しい内容までは見えないけど、目的を果たすために何をしておいたほうがいいかわかるんだっけ。

 ザウエルさんの“予見”っていう称号は、そこから来ているのか。


「しかしまさか、こんな大物を釣り上げてくるとは思いませんでしたよ」


 それまで和やかだったザウエルさんの表情が真剣なものに変わった。

 応接間の机の上に置かれていた杖と本に視線を落としながら、厳かに告げる。


「おそらく皆さんが倒した魔族は、死霊師団長ゼルハーニ。魔王軍の大幹部です」

「死霊師団長……」


 ええと、確か勇者パーティを襲撃してきた自称幹部なんかより上の、ものすごい連中じゃなかったっけ。


「師団長……魔王軍におけるユニークスキルの使い手。紛れもない強敵なのです」


 レメリが忌まわしそうに呟いた。

 ディシアも考え込む。


「アレスがいた頃は師団長とは遭遇しなかったわね」

「その割にはそんなに強くなかった気がするのだわ……」


 自分の実力を過小評価しているエチカからすれば、そう感じるのも無理はない……のかな。

 死霊術師は禁忌職とはいえ後衛なんだから、魔法の矢で射抜かれたらたまったものじゃないと思うんだけど。

 ザウエルさんも俺と同じ考えなのか、首を横に振った。


「本人にそれほどの戦闘力はないのですが、情報によるとアンデッドの大軍を率いるユニークスキルを持っていたそうで。もし数を揃えられていたら皆さんでも苦戦を強いられていたことでしょう」


 じゃあ、あの死霊術師……ゼルハーニだっけ。

 アーティファクトとユニークスキルを合わせて、あんなにたくさんのアンデッドを生み出していたんだな。

 いやはや、無事に倒せてよかったなー。


「さて、そういうわけでして……こちらの件はベルクラフト陛下にも報告させていただきます。まだ大量のゾンビやスケルトンが残っているとのことですし、かなり大規模なアンデッド退治の依頼も出さないといけませんからね。もちろん皆さんの口から報告していただいても構いませんが……」

「いや、任せるよ。それよりボクらは討伐報酬の方が気になるんだけど〜?」


 シーチャが本題を切り出す。

 ザウエルさんは、にこやかに説明してくれた。


「師団長には賞金がついております。こちらのアーティファクトと引き換えにはなりますが、よろしいですか?」

「そっか……魔術師ギルドにコネを作る方が有益かと思ってたんだけど、どうしようかな~?」

「そういうことでしたら、私からこちらを持ち込む際に口利きをして差し上げますよ。だって、お金もあったほうがいいでしょう? もちろんハイオークの討伐報酬に関しても通常の三倍で引き取ります」


 ザウエルさんがしゃがみこんでシーチャの身長に合わせてから、手を差し出してくる。


「ちぇっ。こっちに都合が良すぎて、これ以上ゴネようがないじゃんか」

「では商談成立、ということで」


 わざとらしく舌を出しながらシーチャも握手に応じた。


「これから末永くよろしくお願いいたしますよ、皆さん!」


 俺に《予感》スキルはないけど、なんとなくザウエルさんとは長い付き合いになる気がするのだった。

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【悲報】生殺与奪の権を竜に握られた人類、竜国の使者を「田舎者」呼ばわりしてしまう ~俺は学院生活を楽しみたいだけだから気にしないけど、俺を溺愛する竜王族の姉は黙ってないかもしれません〜
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