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俺の『全自動支援(フルオートバフ)』で仲間たちが世界最強 ~そこにいるだけ無自覚無双~  作者: epina
第六章 死霊術師とハイオーク

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82.シーチャはその気になったらどんな強敵にも負けない

 次の日、俺たちは場所を大きく変えて山沿いの雑木林の中を移動していた。


「この先にアンデッドがいるわ。数は六体ね」


 神妙な顔になったディシアが警告を発すると、パーティに緊張が走った。

 聖女のディシアは《常時アンデッド探知》のクラススキルを持っている。

 視界に映っている相手がアンデッドであるかどうかがわかるスキルだけど、見えない相手でも一定の距離まで接近すれば負のオーラを感じ取れるのだ。


「確認してくる」


 シーチャが先行偵察に出かける。

 すると、林の奥に姿が消えると同時にディシアがぽつりとつぶやいた。


「シーチャってすごいわよね……」

「突然どうしたの?」


 首を傾げる俺を見てディシアが憮然とした。


「突然じゃないわよ。本人がいるときは話せないでしょ」


 まあ、それもそうだけど。


「今更言うまでもないかもしれないけど……やっぱり《才盗り》はとんでもないユニークスキルよ」

「まったくもって同意なのです。ユニークスキル以外のスキルを盗めるなんて、とんでもなさすぎるのです」

「本当にすごいのだわ。盗むだけじゃなくて、自分や仲間に盗んだスキルを習得させられるなんて……」


 どうやらレメリとエチカも話したくて仕方なかったらしい。

 しかし、同調されたはずのディシアは首を横に振る。


「それも確かにすごいわ。アレスから《勇者の資質》を盗んだときから薄々感じてたことだけど……昨日のレメリとの実演を見て確信したの。シーチャはその気になったらどんな強敵にも負けないって」

「そこまでです? 確かに私も《怪力》を盗まれたらほとんど動けなかったですけど……」

「どんな強敵にもって、さすがに大袈裟な気がするのだわ」


 レメリとエチカのふたりは、ディシアの話に懐疑的みたいだ。


「そうね、例え話をしましょうか」


 ディシアは少し考え込んでから、エチカに問いかけた。

  

「仮にあなたがシーチャに《精霊の巫女》を盗まれたら、どうなるかしら?」

「シーチャはそんな酷いことしないのだわ!」

「あくまで仮の話よ。《精霊の巫女》を失ったら、どういう状態になると思う?」

「想像もしたくないのだわ。今みたいに友達とちゃんとお話しできなくなっちゃうかも……」

「それだけじゃ済まないわよ。《精霊の巫女》は精霊使いになるための前提スキルも兼ねているわ。つまりエチカは――」

「スラッドみたいな無職になっちゃうのだわ!?」


 エチカが物凄いショックを受けているけど、そこで引き合いに出された俺も割と精神ダメージを負ったよ……?


「そういうことよ。もちろん《精霊召喚》を始めとしたクラススキルもすべて使用不能になるわね。私が《聖女の資質》を盗られたり、レメリが《魔女の資質》を盗まれても同じ状態になるわ」

「クラススキルが全部だなんて、そんなのほとんど無力です。魔法も全部使えないのです……」


 エチカに続いてレメリも愕然としていた。

 確かにディシアの言うとおりかもしれない。

 冒険者はもちろんだけど、魔族だって冒険職で得られるクラススキルに強さのほとんどを依存している。

 そこをすべて封印されてしまえば、どんなに強い冒険者だってただの無職になってしまう。


「もっとも《才盗り》はスラッドみたいなのには通用しないんだけど」

「えっ、俺?」


 いきなり俺のことを取り上げたので思わず声を上げてしまった。


「だって、《才盗り》ではユニークスキルを盗めないし、どうしようもないでしょ?」

「しかも無職よね。封印されるクラススキルもないのだわ」


 当の発言をしたディシアだけじゃなく、エチカからもジト目が向けられてくる。


「そ、そんなことないよ。《挑発》とか《投げ》だってあるし」

「シーチャだってコモンスキルを狙ったりはしないのです」

「それはレメリの言うとおりかもしれないけど……」

「ただいま~」


 シーチャが帰ってくるなり全員が黙り込んだ。


「……えっと。ひょっとして取り込み中だった~?」


 居心地悪そうに頬をかくシーチャに、レメリとエチカが笑顔で近づく。


「シーチャ、お疲れ様です。肩をお揉みするのです」

「あたし、シーチャのこと大好きよ!」

「えっ、みんな急になにさ~!? なんか気持ち悪いなぁ~……」


 ふたりに揉みくちゃにされてシーチャが苦笑している。 


「シーチャが悪人じゃなくて本当によかったわ。神様の采配に感謝しないとね」


 ディシアが笑顔でまとめると、シーチャを除く全員がコクコクと頷くのだった。

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