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俺の『全自動支援(フルオートバフ)』で仲間たちが世界最強 ~そこにいるだけ無自覚無双~  作者: epina
第六章 死霊術師とハイオーク

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死霊術師1.無限の軍勢を作ってセイウッド王国を滅ぼすと致しましょうか

「うーぅ……どうして僕がこんな目にぃ……」


 セイウッド王国は、オークの支配する旧カルナ王国跡からハイドラ山脈を越えたところに位置している。

 現在のセイウッド王国には神殿の結界があちこちに張り巡らされているため、魔族の転移術では直接侵入できない。だからセイウッド王国に入るには山道を歩くしかないのだ。

 モンスターに襲われることこそないものの、体力がそれほどないゼルハーニにとって山越えは相当に厳しいもので、体力的にすっかり参ってしまっていた。


「へっへっへ……長らくご無沙汰だからなぁ。オーク女は趣味じゃねえし、やっぱり人間の女がいねぇと始まらねえ!」


 ちなみにアレスは気性や頭の悪さが同レベルだったのもあってか、すっかりオークたちのリーダー的な地位におさまっていた。

 正直ゼルハーニには、アレス率いるオークどもがどうしてあんなに元気なのかがわからない。


 アレスの動機は明確だ。

 地上種族の女奴隷はすべてオークが使い潰してしまっていたため、オークの支配領域にはもう人間やエルフがいない。

 だからアレスが女に()()()()には地上種族の領域に行くしかなかった。


「やっぱりオークはどいつもこいつも下品だなぁ。物言わぬ死体が一番なのに……」


 根っからの死体愛好者(ネクロフィリア)であるゼルハーニが不快そうに吐き捨てた。

 もっともアレスが()()()もいけると知れば、少しは話が合ったかもしれないが。


「ところで、この程度の戦力で王都を攻略っていうのはさすがに無理があるんじゃねえのか?」


 アレスの何気ない発言にゼルハーニは心底驚いた。

 そんなことを考える脳みそはないと思っていたからだ。


「まあ、さすがに普通はそう思いますよねぇ?」


 魔王ウーシュムガルからアレスに与えられた戦力はせいぜいオークが二十匹ほど。

 変異種(アンコモン)希少種(レア)も含まれていない、ただの普遍種(コモン)の寄せ集めだ。

 いくら魔王が戦略戦術の類に一切の興味を示さないとはいえ、セイウッド王都攻略には少なすぎるとわかるはず。


 しかし、とあるユニークスキルを持つゼルハーニはその点を問題視していなかった。

 むしろ、自分の力に期待されているのだと誇らしさすら懐いている。


「ま、大丈夫ですよぉー。アレス殿の力があれば敵などいないでしょう」

「お、そうだな? なんだアンタ、陰気そうなツラしてんのに、よくわかってるじゃねえか」


 ゼルハーニが少しおだてただけで、アレスはいい気になって笑い始めた。

 ユニークスキルは魔王軍の中でもお互いに秘密にするのが常識である。

 配下のスキル構成を知っているのは魔王と、その筆頭参謀のみだ。

 もちろんゼルハーニは自分のユニークスキルをアレスに明かすつもりなんて、これっぽっちもなかった。


「おっと。噂をすれば、この先にちょうど良さそうな死体がありますねぇー」

「は? お前、何言って――」


 言いかけたアレスが言葉を失う。

 藪を抜けた先に、本当に死体があったからだ。

 冒険者に討伐されたと思しきオークが六匹。

 《常時死体感知》のクラススキルを持つゼルハーニは、前を歩くアレスよりも先に死体を発見できたのだ。

 

「僕は死霊術師でしてねぇー。こういった死体を戦力化するのは造作もないことです。そして、これまで長年に渡って斥候として送り込まれていたオークは、ゆうに三万を超えます。その意味がおわかりになりますかぁー?」

「なるほど、こいつらをアンデッドにして王都を攻めようってわけか!」


 ハイドラ山脈を越えてオークの大戦力を一気に送り込むことはできないが、少数のオークの斥候を少しずつ送り込んで『死体にしておく』なら話は別だ。

 セイウッド王国はモンスター討伐の遊撃を冒険者にやらせている。

 冒険者の多い新大陸において、これは極めて優れた戦略だ。

 しかし冒険者に討伐されたモンスターは《弔いの祈り》を捧げられた後に放置されていることが多い。

 そして死霊術師は《弔いの祈り》の効果で自然にアンデッド化しなくなっている死体を、無理矢理アンデッドモンスターに変えられる。


 ()()()である死霊術師は、絶対数が少ない。

 さらに彼らが一度に使役できるアンデッドの数には制限があるので軍隊規模のゾンビを率いることなど不可能だ。

 本来なら、弔われたオークの死体は脅威にはなりえない。


 しかし、ゼルハーニのユニークスキルは《死霊の王》。

 これらの力をアイテムでブーストすれば、最大で三万体ものアンデッドモンスターを使役できるのだ。

 どんなに優れた軍略家も、知らないユニークスキルだけは計算に入れられない。


「さあ、無限の軍勢を作ってセイウッド王国を滅ぼすと致しましょうかねぇー……?」


 ゼルハーニの持つ人皮装丁の本のページがひとりでに開くと、うめき声をあげてオークの亡者どもがゆらりと立ち上がった。


「おお、すげえ! なるほどな、この調子で動く死体をどんどん増やしていけばいいわけか!」

「ふふふ。とはいえ、死体を引き連れていると冒険者に見とがめられて作戦がバレるかもしれませんからねぇー。ひとまずこいつらは置いておきましょうか。この調子で死体を片っ端からアンデッドにしてから、最後には一気に招集するのです。きっと壮観な光景でしょうねぇー!」

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【悲報】生殺与奪の権を竜に握られた人類、竜国の使者を「田舎者」呼ばわりしてしまう ~俺は学院生活を楽しみたいだけだから気にしないけど、俺を溺愛する竜王族の姉は黙ってないかもしれません〜
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