表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の『全自動支援(フルオートバフ)』で仲間たちが世界最強 ~そこにいるだけ無自覚無双~  作者: epina
第四章 勇者裁判

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/121

52.断じて許さぬ

「さて。勇者アレスに関する陳情(ちんじょう)が余のもとに届いておるわけだが」


 文官たちが山のような書類を運んできた。

 なんというか凄まじい量だ。


「ここに用意したものはすべて、勇者アレス自身が内容を認めたものだ。疑惑や否定しているものは除いている」


 ひえっ、あれで全部じゃないんだ……。


「シーチャ・エルフェミルよ。前へ」

「は、はい」


 シーチャが緊張した面持ちで証言台に立った。

 小人族(ティンク)だと背が足りないので踏み台が用意される。


「そなたは《超記憶》のレアスキルを持っているな」

「……っ!」


 シーチャが小さく息を呑む。


「……はい、おっしゃるとおりです」


 はえー、知らなかった。

 シーチャが俺とアレスのやりとりを再現したのはレアスキルの効果だったんだね。

 シーチャはスキルの話を避けてたから、クラススキルとコモンスキルしかないのかと思ってた。


「勇者は魔王を倒せる聖剣を扱える唯一の例外職。ある程度の目こぼしはすると、余はそなたらに申したな?」

「はい、この耳でしかと聞きました」

「こうも言った。まずは勇者アレスが真に勇者に相応しいか試すとも」

「はい、間違いありません」


 ああ、確かに言ってた気がする。

 いかにも定形句って感じで、アレスはもちろんみんな聞き流してたと思うけど。


「だが、アレスは勇者の職にあぐらをかき、己を正すでもなく好き勝手に振る舞った。その中には到底見過ごせぬ罪もある。シーチャよ。そなたは余すところなくアレスの所業を見てきたな。それらを嘘偽りなく再現できるか?」

「……ご所望とあらば」

「裁判での偽証は罪となる。法廷魔術師の【嘘暴き(アンチライ)】を受け入れ、アレスの所業を証言すると誓うか?」


 そうか……《超記憶》と【嘘暴き(アンチライ)】が組み合わされば、これ以上ない強力な証言になるんだ。


「誓います」

「よろしい」


 法廷魔術師により【嘘暴き(アンチライ)】がかけられた。

 これでシーチャが嘘を吐いたら法廷魔術師に伝わる。


 しかし、アレスは余裕の表情だ。

 どんな罪を暴かれたところで、結局世界を救えるのが自分だけだとわかっているからだろう。


「アレスの所業については後ほど別室にて記録に協力するように」


 あれ?

 今やるんじゃないのか。

 じゃあ、何のためにシーチャに【嘘暴き(アンチライ)】を?


「シーチャ・エルフェミル。余の問いに偽りなく答えよ」

「は、はい……」


 シーチャはだいぶ表情を強ばらせている。

 勇者の資格を問われているのはアレスのはずなのに、まるで彼女自身が罪人であるかのようだ。


「《超記憶》はそなた自身のスキルか?」


 王が当たり前のことを訊いた。


「そ、それは……!」


 なのに、シーチャは激しく動揺している。


「余の国で、この件は罪に問われぬ。安心して申せ」


 既に答えを知っているのか、王は優しい声でシーチャを促した。


「ち……違います。《超記憶》はもともとボクのスキルではありません」


 裁判所内がわずかにざわつく。

 王が手をあげると、すぐに静まった。


「では、そのスキルはどのように入手した?」

「他人から盗みました」

如何様(いかよう)にだ?」

「ボクのユニークスキル……《才盗(さいと)り》の効果によってです」


 他人のスキルを盗めるユニークスキル……!

 シーチャ、そんな強力な切り札を持ってたんだ!

 ああ、そうか……王の企みがようやくわかったぞ!


「よくぞ正直に答えてくれた。これが最後だ。そなたのスキルでアレスの持つレアスキル……《勇者の資質》を奪うことは可能……()()か?」

「ボ、ボクの《才盗り》はもう……!」

「可能かどうかのみで良い! 答えよ」

「…………可能です」

「余の問いは以上だ。つらいことを思い出させて、すまなかったな。下がるがよい」


 シーチャがハッとした顔で王を見上げた。

 王がうなずくと、シーチャはぺこりと頭を下げてから被告席に戻ってくる。


「さて、次は……」

「ま、待ってくれぇ! オレに弁明の機会をくれぇ!!」


 アレスがいきなり立ち上がって叫んだ。

 【強制沈黙(サイレンス)】の効果はすでに切れていたようだ。

 

 アレスに先ほどまでの余裕はない。

 全身から脂汗を流し、目を血走らせている。


 これまでアレスはレアスキル《勇者の資質》に守られていた。

 だが、それが剥奪可能である事が明かされてしまった。

 アレス唯一の拠り所が崩れたのだ。


「本来なら退廷を命じるところだが、よかろう。証言台にのぼれ」


 ぜえぜえと息を切らせながら勢い良く証言台に飛び乗るアレス。


「オレは心を入れ替える! だから、頼む! オレから勇者を奪うことだけはやめてくれ! 頼むよぉ……」

「余は、人は三度までならやり直せると考えている」

「へへ、だったら……!」

「そこの書類の山が三枚に見えるか?」


 王の冷徹な視線を受けて、アレスが固まった。


「貴様はやり過ぎた。余が与えうる最高の仲間、最良の環境、最大の機会をゴミのように打ち捨てた!」

「お、王様ぁ……どうか、許して……」

「全部が全部もう遅い。断じて許さぬ」


 アレスがへなへなと脱力して、証言台の上から崩れ落ちた。


「貴様には追って沙汰を出す。地下牢で残りの人生でも数えておくがいい。この者を引っ立てぃ!」


 数人の兵士に引き起こされると、アレスが暴れ出した。


「畜生がぁぁっ! オレはっ、世界のために戦ったんだぞぉぉっ!! それがこの仕打ちかよ! あんまりだぁぁぁぁっ!!」


 王が指示するまでもなく法廷魔術師の【強制睡眠(スリープ)】が飛ぶと、アレスは大人しくなった。


「予定より長くなったな。食事休憩も兼ねて三時間ほど休廷とする」


 王はまるで何事もなかったかのように言うと、裁判所に来てから初めて木槌を叩いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


面白かったけど感想はハードルが高いという方にお願いです!

↑の☆☆☆☆☆評価欄↑を

★★★★★にしていただけるとそれだけで作者への応援となります!


もちろん、ブックマークしていただけるだけでも嬉しいです! ありがとうございます!



↓こちらは連載開始の新作です!



【悲報】生殺与奪の権を竜に握られた人類、竜国の使者を「田舎者」呼ばわりしてしまう ~俺は学院生活を楽しみたいだけだから気にしないけど、俺を溺愛する竜王族の姉は黙ってないかもしれません〜
― 新着の感想 ―
[一言] アレスくんがとってもゲスくて素敵(笑) 断罪時に倒すべき魔王の名前、国王の名前、教団の神の名前 最後にアレスの両親の名前を言わせてみても良いですね カミロ国王に「これでは野生のゴブリンと変わ…
[良い点] 最高じゃないっすか。 なかなかこんな最高気持ちいいざまぁ、見かけないっすよ。
[一言] 超記憶の元持ち主が悪人もしくは、この能力を棄てたがっていたのなら良かったけど、どうかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ