26.シーチャのことを好きになれそうなのだわ!
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「あー、やっぱり。一撃で仕留めきれてないね~」
シーチャが傷だらけのアーマーバッファローの死骸を見ながら言った。
「アーマーバッファローは硬いモンスターだし、そういうこともあるんじゃないかな?」
「もっと強いアーマーコングは一撃で倒してるのに~?」
「あのときは俺が弱点が眉間だって知ってたから……ああ、でもそういうことか」
おそらくアレスたちはアーマーバッファローの弱点部位が首回りだと知らなかったのだろう。
「ほらね? スラッドが抜けた穴は君自身が思ってるより、ずっと大きいんだよ~」
「むむむ……そうなのかな」
のんびり後ろをついていくアイテム運搬係だったからなぁ。
何かしてた自覚はほどんどない。
モンスターの名前と特徴と弱点を叫んで、せいぜい必要な時にポーションを振りかけたり、後衛に攻撃が飛んできそうなときに《挑発》で気を引いたり。
あとは『魔女』が攻撃を前に立ちすくんでしまったときに覆いかぶさって引き倒したり。
「……言われてみれば、結構いろいろやってた気がしてきた」
「君のどこがサボリ魔なのさ。アレスが前ばっかり見て、後ろを顧みてないだけだよ」
「そうよ、スラッドは物知りなのだわ!」
むう、エチカまで。
「だからと言ってパーティ壊滅は大げさだと思うけど……」
「なら、どうしてアレスたちを追いかけてるのさ?」
「それはもちろん、アレスが無謀なことをしてるから……」
「でしょ~? アレスの戦い方で後衛をふたりも守り切れるわけがないよ。ボクがいてギリギリだったんだから」
敵のかく乱を前衛で担当していたのはシーチャだ。
『聖女』が回復と強化魔法でアレスを支援して、『魔女』が範囲魔法で敵戦力に打撃を与える。
そしてとどめをアレスが持っていくのが、あのパーティのスタイルだった。
シーチャが抜けた以上、別の前衛を加入させるのは当然のことだ。
俺にはアレスが何を考えて三人旅を続けているのか理解できない。
「ふーん……」
俺とシーチャが話しているのを、エチカがまじまじと見ている。
「シーチャって、スラッドと仲がいいのね!」
「えっ、なに言ってるのさ!?」
何気ないエチカの指摘にシーチャがぎょっとした。
「シーチャはとっても楽しそうにスラッドと話しているのだわ」
「ばっ……ばっかじゃないの~!? ボクはスラッドが楽天的過ぎるのを注意してるだけだって!」
「ふぅーん……やっぱりシーチャ、いい人なのね!」
満面の笑みを浮かべるエチカから、シーチャがササッと距離を取る。
そのままぴゅーっと馬のところまで走って行ってしまった。
「ほら、のんびりしてる時間はないんだよ! さっさと行かなきゃでしょ~!」
遠くでぷんすかしているシーチャを見て、エチカが俺の袖をクイクイッと引っ張った。
「ねえねえ、スラッド。あたしシーチャに嫌われるようなこと言った?」
「あー……シーチャは、ああ見えて結構照れ屋というかナイーブなところがあるから。あんまりいじめないであげてね?」
わざと皮肉屋ぶって隠そうとしてるけど、シーチャは本当にいい子だからね。
素直に褒められたりすると、すぐ照れてしまう。
傷病人にお金を配ってるのに気づいて指摘したら、三日ぐらい避けられちゃったし。
「いじめるわけないのだわ? 小人族だから、ちっちゃいエルフの子供が背伸びして頑張ってるみたいに見えるし。あたし、シーチャのことを好きになれそうなのだわ!」
あー、これは……。
どうやらエチカはシーチャが一番苦手なタイプみたいだね。
次回は2話連続で勇者視点です。




