18.エルフって思ってた以上に生々しい
結論から言うと、加盟店のお店は最高だった。
指名した嬢のサービスも良かったし、大満足。
ちなみに俺がお相手に選んだのはエルフの娘だ。
お店の人に引き合わされたところ……エチカみたいなナイスバディだったので、即決。
源氏名はミティエというらしいので、ミティエさんと呼ぶことにした。
普通のお店と違うのは、事が済んだ後だ。
嬢がパーティの人間関係や悩みの相談に乗ってくれるのである。
パーティの仲間に漏れる心配がないので、かなり際どい話も打ち明けられる。
特典を利用しているから、俺のランクを隠す必要もない。
そういうわけでミティエさんに今日あった出来事を話した。
すると、ベッドの隣で相槌を打ちながら聞いてくれていたミティエさんが真面目な顔でこう言った。
「えっとですね。それ、スラッドさんが考えてるよりずーっとヘヴィな状況だと思いますよ」
「ヘヴィ? どういうことかな」
「エルフが森の名前と氏族名の両方を明かして家族に迎える……っていうのはですね。人間社会で言うところの結婚の申し込みに相当するんですよ」
「結婚!?」
ミティエさん曰く。
エルフ同士は通常、氏族の内部で結婚相手を決める。
しかし、血が濃くなり過ぎないように別の氏族からエルフを受け入れることがある。
そのとき受け入れるエルフに森の名前と氏族名を明かすのが習わしなのだそうだ。
「友達として受け入れるんじゃなくて、家族って言ったんでしょう? その子は若いみたいだから体の付き合いを意識してるかわからないですけど。私には、そういう意味にしか聞こえないですね」
「むむむ……」
人間が相手の場合、氏族名はともかく森の名前までは言わない。
氏族名だけを明かす場合は『異種族でも友人として受け入れる』って意味になる。
森の名前を伝えた場合でも里の森でハーフエルフはあんまり好まれないので、普通はエルフ側が人間に嫁ぐのだとミティエさんは語った。
「な、何かの間違いじゃない? さすがに結婚なんて……」
「はい? 何を寝ぼけたこと言ってるんですか。右も左もわからない若いエルフが見ず知らずの人間に危ないところを助けられた上に……スラッドさんってSSSランク冒険者なんでしょう? そんなシチュ、エルフの乙女なら誰だってときめきますよ。なんなら私の氏族名と森の名前お教えしましょうか? 大歓迎です」
「は、はは……ご冗談を」
「なんなら第二夫人でも」
ミティエさん、目がマジだ。
「あと、これは私の想像なんですけど……きっとその子、森でも精霊しか友達いなかったと思いますよ」
「それはどうして?」
「私がそうだったからです」
ミティエさんによると、自分みたいな体をしているエルフ女性は森だとデブ扱いなんだとか。
エルフの男性はスレンダーなエルフ女性を好む物らしい。
「男に見向きもされず、なまじ才能があったから同性からはやっかみを受けました。話し相手の友達は精霊しかいませんでしたね」
「ミティエさんは精霊使いだった……というか、冒険職なんですか」
「それはもう。現役だった頃はレアスキルもなしにCランクまでいったんですよ? まあ、いろいろあったせいで借金ができちゃって、今じゃこのお店で働いてますけど。あ、スラッドさんだったらいつでも身請けしてくれていいですからね。めっちゃ尽くしますよ」
「俺、お金持ってないから難しいかも……」
「あははっ、冗談ばっかり!」
本当なんですけどー……。
「あ、そうだ。もしも彼女が耳にキスしてきたら、それってオッケーサインですよ。で、スラッドさんが彼女の耳にキスを返したら、その子はまぐわいの合意が取れたとみなすと思います」
「エ、エルフって思ってた以上に生々しい……」
「どうするにせよ、その子を大事にしてあげてくださいね」
ミティエさんにエチカの名前は伝えてない。
それがお店のルールだから。
だけど、境遇が似ているからなのか、ミティエさんはエチカと自分を重ねているみたいだ。
「エルフの女は情深いですけど、自分を裏切った男を絶対に許さないですから」
「ナチュラルに脅さないでもらえますか……?」
ミティエさん怖い。
だけど、不思議と嫌な感じはしない。
妖しい笑みを見ているとゾクゾクしてくる。
また指名してしまいそう。
「あ、ちなみにオプションでパーティメンバーに変身してお相手するってサービスもありますけど、どうします?」
「俺を悪の道に誘うのもやめてください」




