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俺の『全自動支援(フルオートバフ)』で仲間たちが世界最強 ~そこにいるだけ無自覚無双~  作者: epina
第一章 再出発

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勇者2.オレ一人じゃ足りないってのか!

 『聖女』と『魔女』が出ていった、すぐ後のことだ。


「まったく、困った女どもだ。なあ、お前もそう思うだろ?」


 勇者アレスは仲間に同意を求めた。

 最後に残っているのはティンク――エルフから派生した耳長の小人種族――の少女だけ。


 彼女は『義賊』だ。

 盗んだアイテムを活用して仲間に多彩な支援を行なう盗賊職。

 人間の子供並みの小さい体でどこにでも侵入できて、暗闇を見通す目を持ち、罠発見や罠解除も得意。

 ダンジョン探索には欠かせない人材である。


 そして唯一、荷物持ち(スラッド)とよく意見が対立しているメンバーだった。


 勇者アレスと『聖女』『魔女』『義賊』……以上四名が勇者パーティの全容である。

 荷物持ちの代わりに入るはずだった人材はどこにもいない。

 スムーズな追放のために勇者アレスが嘘を()いたのだ。


「もぐもぐ……うん、おいしかった。ごちそうさま~」


 騒ぎの間もひとり黙々と朝食を食べていた『義賊』がパンッ、と手を合わせた。


「ふぅ……そろそろ潮時かな~」

「あん? なにがだよ」

「ボクも抜けるね。勇者パーティ」

「はぁっ!?」


 勇者アレスにとって『義賊』の一言は青天(せいてん)霹靂(へきれき)だった。

 まさか、そんなことを言い出すなんて思いもしなかったのだ。


「何言ってやがる! オレのパーティはただの冒険者たちとはワケが違うんだ。世界を救うための旅なんだぞ! そいつから抜けるってことは世界を救う役目を放棄するってことだろうが!」


 『聖女』と『魔女』が抜けると言い出したときの説得用に勇者アレスが用意していたセリフだ。

 しかし、『義賊』は肩をすくめて首を横に振った。


「ボクは最初から世界の命運だとかに興味はないよ~。勇者パーティに入ったのはいろんなダンジョンで宝をゲットできるチャンスがあると思ったからだし、戦力的な不安もないと思ったからなんだ~」


 ぴょん、と椅子から飛び降りて足早に去ろうとする『義賊』。

 勇者アレスが止めようとするが、その手は『義賊』にかすりもしない。


「本気で出ていくつもりかよ!」

「うん、マジのガチ。ていうかボクの荷物はもう運び出しちゃったしね~」


 勇者アレスが唖然とする。

 つまり荷物持ちの離脱をいち早くに察知して、とっくに出ていく準備を整えていたというのだ。


 しかし、勇者アレスにはわからない。

 仮に『義賊』が会話を盗み聞きしていたとして、勇者パーティを抜けるとまで言い出す理由に思い至らない。


 扉の前で『義賊』が振り返った。


「最後の忠告。ずっと言ってきたけど、前衛ができる戦闘職をあとひとり入れた方がいい。あ、ボクが抜けるからふたりだね」

「ふざけんな。オレ一人じゃ足りないってのか!」


 冗談ではない。

 他に戦闘職がいたら()()()が減る。

 自分の活躍が誰かに取られるなんてこと、あってはならない。

 それが勇者アレスの哲学だった。


「まあ、今までは何とかなってたけどね~。これからはそうはいかないと思うよ」

「あ? どういう意味だ」

「いずれわかる。じゃ、バイバイ」


 『義賊』が何の未練もなさそうに手を振って宿の扉をくぐった。


 ――なんでこうなった?

 勇者アレスは自問する。


 ただのアイテム係の雑用が抜けたところで、何も変わらないと思っていた。

 いや、パーティに二人しかいなかった男が片方いなくなれば、他の女どもが自分の魅力に気づいて……なんなら手籠めにできるとさえ夢想していた。


 まだだ、と勇者アレスは首を振る。

 『聖女』と『魔女』は残るはず。『義賊』はともかく、あのふたりは名誉や金で動いているわけじゃない。

 自分が勇者である以上、必ずついてくる。


 勇者アレスは紛れもないクズだが、レアスキルの《勇者の資質》を持っている。

 この世界における勇者とは、伝説の聖剣を装備できて、戦闘職と魔法職のいいとこどりができる例外職……『勇者』になれる者のこと。

 前提となるのが《勇者の資質》だ。人格は一切関係ない。


 この男にパーティメンバーに対する仲間意識はない。

 アレスにとって仲間とは自分を認め、称賛し、言いなりになる手駒のこと。

 それが女性ともなれば淫欲(いんよく)の対象だ。むしろ自分のような優秀な遺伝子を残すことは義務であるとさえ思っている。

 『聖女』と『魔女』の力が弱かったら、とっくに勇者の毒牙にかかっていただろう。


 強姦にも殺人にも一切の罪悪感を抱かないアレスは、これまでにも目についた女性をしょっちゅう犯して、口封じが必要なら殺害も辞さなかった。

 嫁入り前の貴族令嬢を孕ませたことすらある。当然認知もしていない。


 表沙汰にならないよう気を付けてはいるが、仮に発覚したとしても勇者は罪に問われない。

 世界を救えるのはアレスしかいないからだ。

 アレスはこれまでにも『勇者免罪』を大いに活用して、悪行の限りを尽くしてきたのである。


 そのことを、勇者パーティのメンバーはまだ誰も知らない。


(あいつらまで抜けるとか言い出したら、そのときは……どっちもたっぷり喘がせてやるぜ。ぐへへへへへ……)


 『ただの荷物持ち』の離脱から一日もしないうちに、アレスの(たが)は外れつつあるのだった。

勇者がこんなことを言っていますが、大事なことなのでもう一度言います。

この作品は『ヒロインのNTR、殺害要素ゼロ』です。

引き続き堕ちていく勇者を生暖かい目で見守ってください。



※※※



作者からのお願いです。


・面白い!

・続きが読みたい!

・アレス死ね!


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【悲報】生殺与奪の権を竜に握られた人類、竜国の使者を「田舎者」呼ばわりしてしまう ~俺は学院生活を楽しみたいだけだから気にしないけど、俺を溺愛する竜王族の姉は黙ってないかもしれません〜
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い! [気になる点] 続きが読みたい! [一言] アレス死ね! と早速行かれちゃってはつまらないですね
[気になる点] >「ボクも抜けるね。勇者パーティ」 前の2人はまだ抜けたわけじゃないはずだが・・・ どうせ抜けてしまうと判ってるわけか 主人公が優秀だと知ってそうなのに何故対立してたんですかね [一…
[一言] こういう噛ませ犬基本好きなのでアレス死ね!とは思いませんが面白いので星5つけました。 今後も頑張ってください
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