14.エチカ、作戦変更!
俺たちが選んだ通路の先に、あんまり見たくないものがあった。
壁をくりぬいたスペースに陳列された頭蓋骨だ。
「気持ち悪い通路なのだわ……」
「ああ……この先にゴブリンシャーマンがいるのは確定っぽいね」
ゴブリンシャーマンは、ゴブリンの変異種だ。
魔法職の『呪術師』と同じような力を使える。
攻撃魔法はもちろんのこと、こちらの能力を低下させる呪術を使ってくる。爪で引っかかれると病気にかかることもあるし、厄介な相手だ。
ちゃんとサイズ調整したノームさんが前を歩いてくれている。
普通のゴブリンが相手なら敵じゃないけど、シャーマンが相手となると工夫が必要だ。
「エチカ。前衛のゴブリンはノームさんに任せて、弓でシャーマンを倒そう。普通のゴブリンとそんなに耐久力は変わらないはずだから」
「わかったのだわ」
エチカは本当に素直な子で助かる。
アレスは何を言っても聞いてくれなかったしなぁ。
さらに慎重に先に進んでいくと、奥行きのある部屋に出た。
最奥には骨と石で組んだ玉座がある。
そこには頭蓋骨を兜のように被り、手に骨の杖を携えたゴブリンが行儀の悪い恰好で腰かけている。
両脇にはホブゴブリンがそれぞれ一匹ずつ控えていた。
「普通のゴブリンよりおっきいのがいるのだわ。それと、真ん中のがシャーマン?」
エチカの言う通り玉座のゴブリンはシャーマンのように見えるが……俺はわずかな違和感を覚えた。
「……違う」
体型が普通のゴブリンよりも、ふくよかだ。
そう、エチカみたいにちょっと蠱惑的なボディラインをしていて……。
「あいつはメスだ……ってことは只のシャーマンじゃない」
その正体に思い至った瞬間、背筋に電流が走る。
「ゴブリンハグ。希少種モンスターだ……!」
見るのは初めてだけど、本で読んだことがある。
あいつが持ってるレアスキルは確か……!
「エチカ、作戦変更! 真ん中のゴブリンは絶対に射っちゃ駄目! ホブゴブリンを攻撃してノームさんを援護してあげて!」
「へっ!? わ、わかったのだわ!」
俺たちはゴブリンたちから見て正面の通路から飛び出した。
当然のように気づいたゴブリンハグとホブゴブリンが吠える。
ゴブリンハグが玉座から立ち上がり、ホブゴブリン二匹がこちらに向かってきた。
俺とノームさんは前に出て、ホブゴブリンを足止めするように移動する。
エチカの射線は確保しつつ、絶対に後ろには行かせないように!




