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俺の『全自動支援(フルオートバフ)』で仲間たちが世界最強 ~そこにいるだけ無自覚無双~  作者: epina
第一章 再出発

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12.それ、早く教えて欲しかったのだわ

 洞窟をもう少し進むと、さっきのゴブリンたちが休んでいたと思しき広い空間に出た。

 ゴブリンに整理整頓の習慣はないので、雑多に物が散乱している。


「何か宝とか見つかりそう?」

「特にこれといって何もないね。ほとんどガラクタだ」


 ワクワク顔だったエチカが俺の返事にガッカリしてる。

 なんだか申し訳ない。


「それより見て。ここは俺たちが来た方も含めて四つも通路が繋がってる。足跡もすごく多い。他の部屋に出入りするのに、必ずここを通らなくちゃいけないのかも」

「それってつまり、ここはゴブリンが偶然通りがかる可能性が一番高いってことよね?」

「でも、近くに気配はない。ゴブリンはもう半分もいないのかもね」


 俺たちは既にゴブリンを七匹狩っている。

 あと三~四匹でちょうど平均的な群れの数だ。

 これ以上数が増える場合は強力な変異種ゴブリンが率いているか、別の強いモンスターがゴブリンたちを支配している場合だけだ。


 エチカが笑顔で手を叩いた。


「だったら、ここにノームの友達を置いておくのはどうかしら? きっと、みんなやっつけてくれるのだわ」

「う~ん……精霊って確か一度に一体しか出せないよね? 先に進まないならともかく、できれば一緒に前衛をやってもらいたいかな」


 討伐報酬のためにも奥に進んでゴブリンを狩りたい。

 前衛が俺だけだと心もとないので、できればノームさんに手伝ってもらいたいし。


「じゃあ、今度は大きく出てきてもらうのだわ!」

「あっ、待って――」


 俺の制止は間に合わなかった。

 エチカが精霊語で何か言うと、地面からズズーッとさっきと同じ姿のノームさんが出てくる。

 ただし、大きさが段違いのノームさんが。


「え……ええええっ!?」


 エチカが驚いてるけど、無理もない。

 出てきたノームさんのサイズは洞窟の天井ギリギリだ。

 そして、通路の天井はもっと低い。


「……このサイズだと通路を通れないね。《精霊召喚》のクールタイムが終わるまでしばらくかかるし、さっきのエチカの案で行こうか。しばらくは待ち伏せで」

「ご、ごめんなさい~~っ! こんなに大きくするつもりはなかったのだわ!」


 自分のミスだと勘違いして平謝りするエチカに、俺はとても申し訳ない気持ちになった。


「ごめん。本当に気にしないで。それ多分、俺のせいだから……」


 俺が謝ると、エチカは翠緑色の目をぱちくりさせた。


「どういうこと?」

「うーん……エチカは俺のランクも知っちゃってるし、教えていいかな。ノームさんが大きくなり過ぎたのは俺のユニークスキルのせいなんだ。《全自動支援(フルオートバフ)》っていうんだけど、俺の仲間全員の能力を自動的に向上させる効果がある」

「んん? つまり……?」

「エチカの能力が上がって、いつもの感覚で召喚するよりも強い精霊が()べたってこと」


 《全自動支援(フルオートバフ)》には厄介な弱点がある。

 支援対象の仲間が能力の向上を自覚しづらいのだ。


 動体視力が上がっているのに敵の動きが遅いだけだと感じたり。

 普段通りの力で大きなダメージを与えているのに手応えは変わらなかったり。


 魔法もそう。

 例えば魔法職が【火炎弾(ファイアボルト)】を使っても、変わっているのは威力だけ。見た目はそのままだ。

 今回の《精霊召喚》はエチカが『大きさ』に魔力を割いたから、わかりやすかったけど。


「えっ。じゃあ、あたしの矢でゴブリンが一撃で倒せてたのは……あいつらが弱かったからじゃなくて……」

「ゴブリンは元々弱いけど、攻撃力が低めな短弓(ショートボウ)で一撃で倒せるってことはさすがにないかな。戦闘職の弓使いならわからないけど」


 精霊使いのエチカは、あくまで魔法職だ。

 エルフだから生まれつき弓の扱いが(うま)いけど、戦闘職ってわけじゃない。


「そういえばシルフの友達もやけに強かったのだわ……」

「召喚精霊も俺のスキルでパワーアップするからね」


 俺の説明を聞いたエチカが、がっくりと肩を落とした。


「それ、早く教えてほしかったのだわ……」

「ごめんね。エチカが喜んでたから言いづらくて」


 基本的にいつもと同じメンバーとしか組まなかったし、スキルの効果はきちんと説明してたからトラブルは少なかったんだけど。

 そういえば、俺を勇者パーティに投入した友人は「お前と別れた後の戦闘では敵が急激に強くなったように感じた」って言ってたっけ。

 今更ながら、勇者パーティのみんながちょっと心配になってきたな。


「むーん。あたし、冒険者に向いてるって思ったのに……」

「うん、それは間違ってないと思う。エチカはちゃんと魔法職としての経験を積めば、いい冒険者になれるよ」


 無責任に聞こえてしまうかもしれないけど、いい仲間に巡り合えればエチカは冒険者として充分やっていけると思う。

 ちょっとそそっかしいところはあるけど、仲間とフォローし合える範囲だ。


 だけど、俺の言葉をお世辞と受け取ったのか、少しムッとした様子のエチカがジッと目を覗き込んでくる。


「そういうスラッドはなんの冒険職なのよ?」

「うっ、それは……」


 冒険職。

 『戦闘職』『魔法職』『信仰職』『盗賊職』『例外職』の五つに分類される、才能ある者だけがなれる職業のことだ。

 俺たちが『冒険者』と呼ばれている理由でもある……のだが。


「俺は冒険職じゃないよ」

「へ? まさか一般職なの?」


 一般職はその名のとおり、冒険者に分類されない職業のことだ。

 『農民』とか『商人』とか、この世界に住んでる人のほとんどが何かの一般職だ。

 冒険職と違って、才能がなくてもなれる。

 街を警備している衛兵なんかは戦闘職じゃなくて『兵士』っていう一般職だったりする。


 でも。


「それも違うよ。実は無職なんだ」

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【悲報】生殺与奪の権を竜に握られた人類、竜国の使者を「田舎者」呼ばわりしてしまう ~俺は学院生活を楽しみたいだけだから気にしないけど、俺を溺愛する竜王族の姉は黙ってないかもしれません〜
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