1.俺のバフ抜きで大丈夫なのかな?
書籍化&コミカライズします!
ウェブと合わせて、よろしくお願いします!
ちなみに書籍は途中から話が分岐します。
だいたい同じように思えてまったく異なる展開になります。
「荷物持ち! お前は今日限りでクビだ!」
勇者が宿の個室に乗り込んできたと思ったら、突然そんなことを言い出した。
「……えっと。なんで?」
「なんでもなにも、お前はサボってばかりいるだろう!」
「荷物運びとか雑用とかやってるけど……」
「ふざけるな。オレたちは魔王を倒すための旅をしているんだぞ。戦いに参加しないでボーッとしてるならサボリ同然だ!」
確かに勇者の言う通り、俺は戦いには直接参加していない。
「それは……困ったなぁ」
そもそも俺は勇者パーティに志願したわけじゃない。
古い友人に「どうしても」と頼まれたから仕方なく加わったのだ。
ここでクビにされると、彼のメンツを潰してしまう気が……。
「聞いてると思うけど、俺はいるだけでいいって話でパーティに入ったよね……?」
「ああ、確かにそう聞いてる。お前はパーティにいるだけで役に立つってな。だけど、実際はどうだ? 戦闘時には応援してるだけで、何もしてない!」
「一応、必要な場面ではアイテム使ったりしてるけど……?」
さすがに応援だけでは申し訳ない。
そう思ったから、後衛にポーションを振りかけたり、危ない場面では攻撃からかばったりしていた。
だから『聖女』と『魔女』のふたりとは、それなりに仲良くなれたんだけど。
「はっ、言い訳ばかりしやがって。お前よりもよっぽど役に立つ人材をさっきスカウトしたんだ。アイテム係なんてもういらないさ」
そうか……別の人材も確保済み。
そこまで言われては仕方がない。
「わかった。そういう事なら俺はパーティを抜けるよ」
「ようやくわかったか、タダ飯食らいめ。ああ、それと荷物は置いて行けよ。全部オレたちの戦利品なんだからな。この個室も宿に言ってキャンセルさせてもらったから、荷物をまとめてとっとと出て行ってくれ」
アイテム目録の引継ぎもしなくていいらしい。
勇者からは何かと嫌がらせを受けていたけど、ここまで毛嫌いされているとは思わなかったな。
「そうか……じゃあ、俺は別の宿を取りに行くから。他のみんなは寝てるだろうし、よろしく言っておいて」
「はっ、こんな夜中に空いてる部屋があるかよ」
確かに難しいかもしれないけど、一軒一軒回ればなんとかなる……と思いたい。
手持ちでも宿代はギリギリ足りるかな。ポーションを自腹切ってパーティに供出してたのが仇になった。
まあ、勇者の双肩には世界の命運がかかっているし。
これぐらいは寄付だと思っておこう。
「半年ぐらいの旅だったけど、世話になったよアレス。頑張って魔王を倒して世界を救ってね」
「お前に言われるまでもねえよ! じゃあな!」
こうして俺は勇者パーティを追放された。
宿から出た俺は、独りつぶやく。
「……うーん、俺の《全自動支援》抜きで大丈夫なのかな? まあ、平気だよね。勇者パーティなんだし」
終盤のざまぁ部分まで書いてありますのでエタりません。
ヒロインの殺害、NTR要素も一切ありません。
安心してお読みください。




