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初産

作者: 日下部良介

娘が入院した。


よほど、お腹の中が居心地いいのか予定日は過ぎているのに一向に出てくる気配がない。

そろそろ出て来て貰おうと、昨日、入院した。


妻から連絡があったのは今日の午後。

仕事を早めに切り上げて、病院へ向かった。

この歳で産婦人科医院に行くのはちょっと恥ずかしいものがある。


受付で娘の名を告げる。

「お父様ですね」

若い看護師が微笑む。

「もちろんです」

そこへ妻が迎えに来てくれた。

「パパこっち」

娘はまだ、分娩室で休んでいるという。

そこへ妻と一緒に入って行く。

娘は元気そうだ。既に側には産まれたばかりの子が居る。

ワゴンの中でスヤスヤ寝ている。


「そろそろ、お部屋の方に戻りましょうか」

様子を見に来た看護師に促され、移動することに。

「赤ちゃんも一緒に連れて行って下さいね」

「えっ? いいんですか」

「はい。皆さんが居られる間は側で見ていていいですよ。皆さんがお帰りになるときはナースステーションでお預かりしますから。お母さんも今夜はゆっくり休んで下さいね」

妻がワゴンを押して先に行く。ボクも後からついて行く。

部屋に着くと娘はベットに横になった。

「パパ、これからはあまり飲み過ぎないでよね。いつまでも元気でいて貰わないと、子守をお願いできないから」


そんな事を言われると、自然と顔がほころんでくる。

娘はいつの間にか寝息を立てていた。陣痛が始まった昨夜からほとんど寝ていないのだと妻が言った。


二人の我が子、そして、最初の孫である長男の子。これで4人目の子育てか…。

子育てが大変なのは身に染みている。けれど、その大変さが嬉しくもある。

明日は娘の好物のカステラを買って、再び見舞いに来るとしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 周りの皆を幸せな気持ちにしてくれる赤ちゃんは、まさに天使ですね。 娘さんの言う事をよく聞いて元気でいないといけませんね! カステラを買う日下部さんと、それを嬉しそうに受け取る娘さんの顔が目に…
[一言] ぼくにもそんな日がくるんですかねー。 子育てが大変だけど嬉しいのはその通りだと思います。
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