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ロゼの負担


「こんにちはー……」


「……? ここは第一領域ですよ? 何か問題でも起こったのでしょうか?」


 一応問題は起こってます――と言いたかったが、そうしてしまうと混乱を招いてしまいそうなので、リヒトは無駄な口を閉じておく。


(ロゼ……ヴァンパイアだから昼は眠ってるはずだけど――寝てないな。休む暇もなさそうだし、第一領域だから忙しいのかも)


 そこにいたのは、敵に備えて見回りをしているロゼであった。

 第一領域ということで、他の領域よりも重要性が高い。

 そのプレッシャーに耐えながら、ただでさえ広い領域の守護はかなり負担になっているだろう。


「今、このディストピアの人手不足を調査してるんだけど、思っている以上に深刻みたいで……」


「それはそれは……ご苦労様です。フェイリスとかも大変そうですしね。私なんか楽をしている方なので申し訳ないです……」


「え?」


 ロゼは予想外の答えを返す。

 リヒトが見てきた中で、ロゼは断トツで忙しそうな人物だった。

 寝る暇も惜しんで見回りをしている時点で、トップに躍り出てもおかしくないほどだ。


「えっと、ロゼはこの領域の他に何個担当してるんだ?」


「七個ですけど……」


「七個!?」


 リヒトは驚きを隠せない。

 間違いなく一番負担が大きいのはロゼである。

 しかし、ロゼはそれを認識していないようだ。

 真面目さと謙虚さが、悪い形で出てしまっていた。


「それは……何とかしないと」


「――で、でも、私はヴァンパイアなので気になさらなくても大丈夫ですよっ! 体力だって、人一倍ありますからっ!」


 ロゼは、屈託のない笑顔でリヒトに微笑みかける。

 この数回の会話で、ロゼの性格は何となく読み取れた。


 超が付くほどお人好しであるヴァンパイアに、このディストピアは支えられていると言っても過言ではない。


「まぁ、これ以上仕事を増やすってなると、厳しいんですけどね……えへへ」



(単純に人手が足りないなら、人手を増やすしかないな……でも、並の存在じゃ務まらなさそうだし)


「――そうだ!」


「ど、どうしたんですか……?」


 リヒトはとある存在を思い出す。



 ディストピアを更に強固にするためにも、人手を増やすのは必要不可欠だ。

 当然、一人一人集めるとしたら、かなり時間がかかってしまう作業である。


 しかし、そんな作業を嘲笑うかのような存在が一人だけいた。


 冒険者として生きていたなら、必ず知っているであろう存在。


 リヒトの頭の中にいたのは、伝説のネクロマンサーだった。



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