叱責
「……国王様。最近魔王たちの動きが活発になっているようです。エルフの国と繋がることにも失敗しましたし、ラトタ国もあの後連絡はありません」
「……そうか」
不満げに漏れる国王の声。
他国との関係が思うようにいってないのにも関わらず、東西南北の魔王たちの動きはどんどん活発になっている。
それどころか、謎のダンジョンによって冒険者たちは大きな被害を被っていた。
ガイトを初めとした優秀な冒険者は、誰一人ダンジョンから帰ってくることはない。
おおよそ最悪とも言える展開だ。
戦力を失ってしまっただけでなく、自国の冒険者たちからのイメージも悪くなっている。
共に戦ったラトタ国と話し合おうともしたが、都合が合わず断られる日々が続いた。
呪われているのではないかとさえ思える状況。
どうにか現状を打破するためにも、何か策を練らなければならない。
「ラトタ国と連絡は?」
「それが、ラトタ国の女王は当分時間が取れないと告げられました……妙に余裕があるようで、我々には理解できません……」
「……うむぅ」
一体何が起きているのか。
多数の冒険者を失ったのは、ラトタ国も同じであるはずだ。
むしろ、冒険者を重視しているのはラトタ国の方だったはず。
普通なら率先して話し合おうとするべきである。
女王の考えていることが全く理解できない。
「まさかここまで死者が出るとは……蘇生できる者がいればダメージは少なかったかもしれませんが――」
「――馬鹿なことを言うな! 生命を操る能力など危険すぎる。人間だけでなく、様々な種族を巻き込んで戦争が起きる可能性だってあるのだぞ。あいつはあの時処刑しておいて正解だったはずだ」
「す、すみません!」
国王は怒りの感情をあらわにして部下を叱責する。
確かに死者を蘇生させる能力があれば、今回のダメージは少なかったかもしれない。
しかし、その能力が原因で引き起こす戦争の方が何倍もダメージは大きいだろう。
死者蘇生の能力を隠そうとしても、他国にバレるのは時間の問題だ。
ならば、その争いの芽を摘むという意味でも、国王の対応に間違いはなかった。
「……はぁ、こんなことを話していても現状は変わらない。どうするべきか……」
「やはり人間よりも力を持った種族の力を借りるしかないのでしょうか……」
「話が通じるような種族がいればいいのだが……選べる立場でもないのかもしれん。一応調べておいてくれ」
「か、かしこまりました」
魔王まで動き出した今、人間の間だけで解決できるほど簡単な問題ではないらしい。
魔王に対抗するあらゆる種族。
それらが結託するべき時代がきたのだ。
共通の敵が現れたのであれば話は早い。
人間たちの安全を守るために、一歩だけ踏み出したのだった。




