表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

8・いやな予感の的中

走って、走って、走った。

紅はとにかく走って、あの場から離れようとした。


すると―――――――――――


「きゃあ!?」

「う、うわっ!?」


どーん!すごい音がして、

「は・・・晴田さん・・・!?」

「う、うぇ!?ご、ごめんなさい先生!!ちゃ、ちゃんと前見てなくて、紅、じゃなくて私、いや、あの―――――」

ぶつかったのが先生だと分かった紅は、慌てて謝り倒した。


ところが・・・

「晴田さん!探してたのよ!!」

「え、え?」

「いますぐ外出て、病院へ行くわよ!先生も行くから!」

「外?病院!?」

「え、えぇ・・・とにかく、早くして!今すぐよ!!」


先生が教師専用昇降口の方へかけていって、紅も慌てて自分の靴箱へと向かった。

すごく嫌な予感がして・・・



「・・・紅?」

上の階の窓から、紅を見つけて、猛は不思議そうに首を傾げた。





「先生、あの、なんで病院なんていくんですか?」

「あ、え、その話、するの忘れてたわね!」

「え、はい・・それで、なんで―――――――」


「お父さんが倒れたって」


先生の言葉に、紅は目を見張った。

「・・・え?」

「そう・・・なの。急に家で激しくせき込んで倒れちゃったらしくて、お隣の人が気づいてくれたみたい。それで・・・あまり、よくはないみたいよ・・・」

「・・・ウソですよね」


紅は小さく首を振った。

「う、ウソですよそんなの、紅、この目で見るまで信じない・・・それに、だって、昨日まで元気だったのに・・・」


紅は顔を真っ青にして、一人でそううなずいて、自分を安心させた。



「こちらの病室です」

「お父さん!!」


紅は叫んで、ガラッと病室のドアを開けた。


お父さんは眠っていた。隣で、医者と看護師がしくしく泣いている。


「・・・・・・・・・ねえ、お父さん、起きてよ」

紅はお父さんに歩み寄った。

「お父さん、起きて。ほら、紅、ここにいるんだよ。昨日のご飯おいしかったんだよ。またあの料理作ってよ」

お父さんはもちろん、何も言わない。

「まだ一緒に遊ぼうよ。お父さんがいなかったら・・・えと、ほら、お小遣いもらえないし。誕プレだってクリプレだってもらえなくなっちゃう」

紅は早口になりながら言った。

「娘さん・・・お父さんは、もう」

「紅、死ぬなんて許さないから・・・天国でお母さんが言ってるじゃん!紅を置いてきちゃダメだって!お母さん、絶対言ってるよ!!」

紅は叫んだ。

「娘さん・・・」


「死ぬなんて・・・紅、死ぬなんて許さない!!!許さないから!!!お父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」


紅は病室で叫び、大泣きした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ