7.学校の事件
「おはよーー!」
紅は後ろから猛をドーン!と押してあいさつした。
「いってーなー・・・」
「ごめん、ごめん。で、おはようって言ってよー」
「はいはい。おはよう」
猛は紅をじっと見た。
「・・・何?猛」
「お前、何かあったんだろー」
「え、何かって何?」
「そのなにかはわかんねぇけど・・・」
猛はぼそっと言って、もう一度ちゃんと紅を見た。
「はい。何があった、いいたまえ!」
「・・・・・・・・・・・・・別に、何もないよ」
「おっかしーだろ今の間!なんなんだよ」
「何もないってば!もー猛きらーい!行っちゃうもんね!」
「あ、ちょ、待てお前!」
紅は猛より先にダッダッダっと走って、学校へとかけていった。
靴を脱いで、上履きへと履き替えた。
「みんな、おーは・・・」
「紅!?」
学校中の生徒という生徒が、紅の教室前の廊下の真ん前に集まっていた。
「え、何?なにかあるのー?」
紅がそれを見ようと近づくと、ザッッ、と、みんな離れていった。
「な、何?」
「あら、おはよう、べーにっ♥」
そこへやってきたのは。
綺麗に髪を結んだ女王様、姫香とそのとりまきだった。
「姫香ちゃん?」
「そこには新聞があってねー」と、とりまきが話し出した。
「その新聞に、なんて書いてあるでしょーかー!」
「え・・えーっと、地球外生命体がこの学校に降りてきた!」
紅がふざけて言うと、みんなが「・・・」と沈黙を始めた。
「・・・えぇぇ?」
「そうとも言えるわね。魔女という名の地球外生命体がこの学校にいて、みんなをだまし続けてきたの。ありえないわよね、普通に人間のふりして、過ごしてきてたのよ?ほんとひどい!」
姫香はにやりと笑った。
「ね、魔女の紅」
「・・・・・え?」
「ひどいぞ!」「信じてたのに」「人間じゃないとか、キモイ!」「騙されてたんだようちら!」と、みんなが次々に声を上げた。
「・・・え、ちょ、っまって・・」
「待つわけないわ。ひどいわよ紅?私も傷ついちゃうわ!」
姫香がそう叫んで、みんなのコールがさらに大きくなった。
紅は慌てて、みんなの姿を探した。
ユリはみんなの後ろで、呆然として、立っていて、渚は咲穂にしがみついていた。ショックだったみたいな顔して。そして、猛は―――――
「紅・・・」
・・・どうすんだ、という顔の猛。
紅はみんなのコールが鳴り響くこの場所にいたくなくて、あわてて走り出した。