4・紅と猛だけの秘密!
(あの本―――――・・・魔女について書いてあるんだよね?)
紅はあの本を目にしてから、ずっと考えていた。
(そうだよね、みんなは人間で、紅だけ魔女。紅、みんなとは違うんだよなぁ)
「・・・に。紅!」
「ふ、ふえっ!?」
ビックリして顔を上げると、そこに立っていたのは猛だった。
「猛!?」
「はー。何回呼んでも気づかないから、あせっただろ。バカ」
猛は顔を赤くして、そっぽを向いた。
「ていうか、なんで猛こんなところいるの?紅、人があんまいないところに移動してきたのに」
「だからだろ。紅が人通りのないとこ行くなんて、ただ事じゃねーし」
「え?そうかな?別に紅だって、そういうところ行くときあるよ?」
「んな事ね―よ!小さいころから紅は、悩みごと抱えると人のいないとこ行く」
猛はさらに顔を赤くした。
「・・・悩んでるって、分かったの?」
「そりゃ、わかるよ。ずっと一緒だったし・・・、だから・・・心配、したんだよ」
猛は「あー、もう俺、何言ってんだろ」と制服の袖で自分の顔を隠した。
「・・・心配してくれたんだ、ありがと、猛」
「・・・・んんっ。で、何を悩んでたんだ?」
咳払いをして気持ちを切り替えると、猛は尋ねた。
「・・・言わなきゃだめー?」
「言ってくれたら、俺の協力っていうプレゼントがあるぞ」
「そんなのプレゼントじゃないもん。それに、猛がどうにかできる問題じゃないしーっ」
「じゃあ、クレープおごってやる」
「ほんと!?じゃあ、言う!」
猛は単純すぎる紅に、クックックと笑った。
「どーせ、あの本が原因だろ?」
「えっ」
「あの本が魔女の本だったから、自分が魔女ってことに、何となく壁を感じるのをまた思い出した的な」
「なんでわかっちゃってるの?え?ええ??」
猛は「当たりかよw」といった。
「まー、このままでいいんじゃねーの。魔女だろうが、人間だろうが仲よくできてればそれで友達。壁なんてないだろ」
「・・・そう、かな・・・」
「心配すんな。紅は今、十分に友達いるじゃんか」
「でもね。ユリちゃんもなぎちゃんも咲穂も、みんな人間なんだよ?紅だけ魔女なの。そんなの、なんか、紅自身がいやなの」
「いやってったって、お前が魔女になっちゃったのはどうしようもないしな」
猛がそう言った途端。
「お前ら!もうすぐチャイムなるぞ、早く教室戻れー」
「わ、やべ!紅、行くぞ」
紅と猛は慌てて教室へと走っていった。