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3・おすすめの本

「咲穂、いる?」


昼休み。

おしゃべりをしていた紅やユリ、渚と猛のクラスに、ひょこっと顔を出して、その女の子は言った。

カーキ色の髪の毛、2つ結びにしていて、大きな丸メガネをかけている。


「え、咲穂?うーん、わかんないなー」

「あなた、名前は?あとで伝えておくわ、咲穂に」


ユリが答えると、その女の子は嬉しそうに笑った。

「ありがとう!私は――――――」

綾夏あやかちゃん!どうしたの?」

後ろから、咲穂がやってきて、そう声をかけた。

「あ!ちょうどいいところにキターッ!」

「あ、咲穂、これね、すっごく面白い本なんだけど!」


綾夏と呼ばれた女の子は、一冊の本を咲穂に差し出した。どうやら、咲穂の入っている、文芸部の友達みたい。



咲穂が受け取って、こっちの方へ向かってくると、紅は興味津々でその本を覗き込んだ。


「ねえ、それ、なんて本なの?きになるーー!」

タイトルは、「魔女の魔法は驚き」。

紅はそのタイトルを見て、思わず固まってしまった。


「・・・どうしたの?紅?」

ユリに声をかけられて、ハッとする紅。

「いや、なんでもないよ!」

「・・・そう?それなら、いいのだけれど」

ユリは紅から視線をそらして、本をガン見している。


「・・・・・それにしてもさー、猛、お前、女子とばっかいて、いいわけ?」

渚は突然、そう切り出して、いきなりそう言われた猛は、「え?」といった。

「別に、わざわざ、隣のクラスまでいって男子といたいってほどでもないしなー」

「でも、1組と3組の男子は仲良くなって、わざわざ会いに行ってるらしいよ。猛くんは、女子といて、恥ずかしいとか、思わないの?」

咲穂が言うと、猛はんーと考えた。

「まあ、このメンツでいても楽しいから、いんじゃね?」


そう、この学校は、とにかくめちゃくちゃ男子が少ない。一クラスに一人、二人いればそれは奇跡のようなもの。女子もそこまで多いわけではなくて、一クラスに10人くらいだ。


「楽しい・・・ね。まあ私だったら、間違いなく一人でいるのを選ぶわね。わざわざ隣のクラスまで行くのはめんどくさいけれど、かといって女子と一緒にいたらハーレムだってほかの男子から恨まれそうだもの」

「何新しい選択肢作っとんねん。・・・うちだったら、男子に会いに行く。異性に囲まれてるのは、男子に囲まれるのは慣れとるけど、その反対は味わったことないから怖そうやし・・・」

サッカー部のマネージャーをしている渚は、男に囲まれるのは慣れている。


「咲穂は?」

「私?私は・・・」




そんな会話をしているのを、紅はあまり聞いていなかった。

魔女についての本・・・そのことだけ、頭の中でぐるぐる回っていた。

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