13・学級委員ですから
「・・・え?」
「な・・・何よ?そのカッコ・・・」
「まあ、あなたの質問には答えることにするわ。私は・・・私も、魔女よ」
「は?」
猛が間抜けな声を上げて、姫香も「はぁ!?」と声を上げた。
「あんたが魔女・・・?え?ちょ・・・い、今はどうでもいいでしょ!引っ込んでなさいよ!」
「どうでもよくないわ。私だって紅と同じで、ずっとみんなにウソつき続けてたのよ。それなら私も謝らなくちゃいけないから」
「え、え・・・」
「ウソついていてごめんなさい」
あっさりユリがそう言うと、みんなはシーンと静まり返った。
「い、いや、神田さんは別に、謝らなくてもいいのよ?あなたは・・・」
「何が違うのかよくわからないわ。私と紅と、何が違うのかしら」
「え、や、あの・・・」
「そういうのイジメっていうのよね?」
キッとユリは姫香を睨みつけた。
「イジメは許さないわ。神田ユリとしても、学級委員としてもね」
「・・・」
姫香が黙ると、とりまきたちが声を上げた。
「な、なんなのよ、急に入ってきたかと思えば。友達救うためにウソつくのね?」
「は?何のことかしら?」
「魔女ってことよ。嘘なんて言っても・・・どうしようも・・・ない・・・でしょ」
上から下まで眺めて、とりまきはどんどん声が小さくなっていく。
「そこまで言うなら、証明してあげるわ。見ててね?」
ユリがステッキの先の半球状の穴から水を出すと、みんなきゃあきゃあと騒ぎ出した。
「あいつら、さっきまであんな怖い表情してたくせに。何なのかしらね?」
ユリが独り言でそう言って肩をすくめると、後ろからとんとんと背中をたたかれた。
「あの・・・」
「紅」
「ありがとう。助けてくれたんだよね・・・紅、ほんとに、感謝してる・・・」
「・・・私は、当然のことをしただけよ」
「それで・・・あの、ユリちゃん魔女だったんだね!?紅、ほんっとにびっくりしたの。紅ね・・・ずっと魔女一人で、独りぼっちだと思ってたから・・・」
紅はあのふわふわスマイルをして見せた。
「ユリちゃん、いろいろありがとう!!」
「紅・・・」
「それで、お願いがあるんだけどね。いいかな?」
「・・・何?」
ごくんと息をのむユリに、紅は言った。
「トイレついてきてくれる?もうすぐ限界きちゃうよぉ・・・あはは」
「・・・もう!紅って、ほんとのんきよね」
ユリがそう言って、「あはは、そーお?」と紅も笑った。
「・・・紅、よかったな。俺も、お前が残ってくれて、うれしいよ」
後ろで猛がボソッとつぶやいた。
それを見た渚と咲穂が、ちょっと残念そうな顔をした・・・。