10・今更気づいちゃって、ごめんね
「紅!大丈夫か!!」
「た・・・たけるっ・・・」
紅は慌てて、流れている涙を拭き、もうこれ以上泣かないよう目をギュっとこすった。
「紅・・・」
「・・・なんで来たの!」
紅は猛から目をそらして、ただそう言い放った。
「ほら、言ったじゃないか。なんかあったんだろ、って」
「どうでもいいもん・・・」
「・・・紅、あのさ」
「猛にはわかんないよ!!!」
紅は叫んで、寄ってきた猛を突き飛ばした。
「っ!」
「猛にわかるわけがないよ!お母さんがいなくて、頼れる人がお父さんだけだったのに、そのお父さんもいなくなっちゃって。それで、みんなにバレて、引かれて、その事相談できる人がいなくて、これから帰ってもお帰りただいまって言いあえなくて、ごはんもずっと一人で、それで――――――」
紅は言ってから、今自分がまた泣いているのが分かった。
「それで―――――――・・・お父さんの料理ももう食べられなくて。ユリちゃんも、なぎちゃんも咲穂もみんな紅から離れていっちゃった・・・」
「紅!」
猛はぎゅっと、紅を抱きしめた。
「!?」
「・・・ユリも渚も丸井さんもさ、紅とずっと一緒にいるって言ってるし。それに、もし、3人が離れていっても、俺はいるから」
「・・・」
「俺はいる。俺は、何があっても、大丈夫」
「・・・猛・・・・・」
紅はまた大泣きしだした。
「・・・!?え、猛!腕、赤くなってる!」
「は?え?」
「大丈夫?」
「あのな。これ、お前がさっき突き飛ばしたときにできたやつだぞ」
「え、えぇ!!ごめん・・・紅、また・・・」
「や、やや、謝らなくていいって!あの、だから・・・俺は別に、何も気にしてないし・・・」
「・・・ふふっ」
紅は、いつものふわふわスマイルで笑って、猛の肩にトンっと頭を乗せた。
「わっ!?」
「ふふ。紅、やっぱり猛、好き。あ、友達としてね?・・・ごめん、さっきはあんなこと言ってたくせに、今は・・・」
「いいよ別に」
(ウソだよ。大好き。紅ね、今更だけど気づいたの)
紅は心の中で思った。
(紅はね。魔女ってことを言ったあの日から、猛のこと、ずっと、恋愛感情で、好きだったんだよ・・・)
「「「紅!!!」」」
叫んで入ってきたのは、ユリ、渚、咲穂の3人だった。
そして。
3人は肩に頭を乗せている紅と猛を見て。
「・・・ぁっ・・・!?」
「え?」
「「「・・・ずるいっっっっ!!!!」」」