9・紅の家にて、猛と二人
放課後。
結局、紅は病院に行ってから、学校に帰ってこなかった。
「紅、大丈夫なのかしら」
後ろから声が聞こえて、猛は振り向いた。
「紅魔女だったなんてね。猛は知ってたの?」
「・・・ああ。俺は、知ってた」
「・・・やっぱり・・・大切な存在だからなの?」
ユリはそう言うと、自分で言ったことに顔を赤くした。
「へ?」
「・・・猛うう・・・」
渚と咲穂がやってきて、猛に話しかけた。
「どうしたんだよ。紅が魔女だったのが、そんなにショックか」
「ううん!」
あわてて、渚は首を振った。
「うち、紅が魔女だろうと、紅ほどいい子はいないから、友達でい続けるで。咲穂も、ね!」
「もちろん!」
咲穂も大きくうなずいて、ユリも「そうね」と言った。
「よかった・・・紅、今多分相当傷ついてるぞ・・・」
「そりゃ、そうですよ。あんなに、責められたら・・・」
咲穂が言って、猛は小さく首を振った。
「違う・・・いや、それもあるけど・・・」
「え?」
「多分、紅、お父さんが亡くなっちゃったかも・・・」
3人は息をのんだ。
晴田家。
紅が家に帰ると、テーブルには置手紙があった。
お父さんからの・・・。
『紅へ
紅、これ読んでいるってことは、お父さんは・・・死んじゃったのかな。
もう少し生きたかったのになぁ。
まあ、そんな話は置いておいて。
お父さんは・・・実は、魔王の呪いがかかっているんだ。だから、多分、死因は、それ・・・』
「ええ?!!!?」
紅は叫んでしまった。あわてて、続きを読み始める。
『お母さんがまだいるときに、お母さんは散歩によく行っていただろ?
あの散歩で、何回か魔王に会って、呪いをかけられていたらしい。
呪いは伝染するから、私から離れて・・・お母さんはそう言ったんだ。それで、ちょっと、離れて生活をしていたんだ』
「・・・それが原因で・・・」
紅は、急に二人が離れだした頃を思い出した。
『それでもお母さんは死んでしまった。
お父さんも死ぬかもしれなかった。
それで怖くて、人間界に連れてって、魔女一人だけっていう辛い環境にして・・・すまなかった。
ありがとう・・・
さようなら。大好きだよ。紅。』
「お父さん・・・!!!!」
紅は思わず声を出した。
さっきも出したはずなのに、また涙が出てきて・・・。
「うぅ・・・ふぅっ・・・・う、う・・・」
その時。
「紅!!!」
ドアが開いて、入ってきたのは――――――――
「猛!?」