第4話 異世界
神奈は目を覚まし周りを確認した、どうやらいつの間にか戦機に搭乗していた、そして戦機に備えてあるモニターを確認しようとするが機体を立ち上げて無いため…その際に自分の手が灰色の装甲に覆われているのを確認した、これまたいつの間にか『高機動型重装甲服』を身に纏っていた、戦争を思い出す。
そう思いながら慣れた手付きで機体を立ち上げる、ポーンと言う軽い音と共に緑のバーが五つ現れる。
表示されたバーの全てはこの機体に異常が無い事を知らす、その後にモニターが表示された。
「…真打だ」
ボソリと神奈は呟いた、今神奈が搭乗している機体は『真打』と言い第一世代型戦機『数打』のカスタム機であり、数打型の最終機であり、神奈が終戦まで使用していた機体でもある。
神奈は懐かしく思いながら、モニターを見る其処には森が広がっていた、50m程ある戦機の都合上森を見下ろしてた、空は青く見たことも無い奇妙な鳥が空を飛んでいた。
《神奈!応答をして!》
コックピット内に優理の声が響く、神奈は慌てて通信を立ち上げる。
《もしもし、優理?ごめん寝てた》
それに対し安堵の溜め息が通信越しに聞こえる、機体のサイドカメラに目を通せば優理が搭乗しているであろう戦機『建雷命』があった。
建雷命は第四世代型に該当する最新鋭の戦機であり、第一世代のコンセプトである『重装甲かつ重火力』を引き継いだ機体の一機だ。
《寝過ぎだよ神奈、それで転生したんだね》
《んー…其にしても本当に異世界に来たんだ私達》
シートの背もたれにもたれ掛かりながら、後付けで無理矢理付けたCDプレイヤーを掛ける…直ぐに戦場で良く聞いていた馴染み深い歌が流れる。
《ちょっと…神奈、信じてなかったの?》
優理の少しむくれた声が聞こえる
《別に信用してたけど、聞くのと実際に行くのとじゃ違うでしょ》
《まぁ確かに、其れより神奈コックピット内に変な紙貼ってない?》
《あぁ此ね……転生特典と世界についてね?》
優理の言葉にコックピット内にいつの間にか貼られていたメモを剥ぎ取り、そのタイトルを読み上げる。
《特典は戦機と装甲服として、この世界の事は気になるね》
優理がそう言いながら、二人はメモを見る。
転生特典に付いては、無限の弾薬と自動修復つきの装甲に戦機と装甲服それにこの世界の住人達の言語の理解とそれらを喋れる事と、魔力そして神奈達が居た世界の軍が保有する対異星人決戦兵器『神機』。
そして、この世界に付いては人間やファンタジーの住人達がいる世界で科学よりも魔法が発達していて、魔王と言う存在に脅かされている。
その為、この世界の住人達は別世界から人間を呼び出し魔王の討伐をお願いしている。
呼ばれた異世界の住人達は『勇者』と呼ばれ、この世界の人々よりも遥かに強力とされている……etc.
《つまり…自分で戦わずに関係無い人間に自分の義務を押し付けてるって事だよ……酷い》
勇理がそう呟く、確かに優理の言う通りこの住人達がやっているのは只の責任の押し付けであるが……本当にそうなのかはまだ分からない。
《其れよりそろそろ移動しよう、未知の場所で夜は過ごしたくない……どうやら地図もここの世界の物になってる見たいね》
《………本当だ、なら近くの『エナーシア王国』に行こう、先頭は僕で行くから》
《了解》
そう言い、優理の建雷命を先頭に移動を開始した。




