表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染が勇者を好きすぎてヤバいんだが  作者: nau
第一章『鐘の音は高く』
1/37

1 勇者の背中


 その背中を見たのは二度目だった。

 地が震え、煙が立ち上り、轟音が響く戦場で、その人だけが笑っていた。尻餅を付き、ただ震えていることしか出来ない自分に笑顔を投げ掛ける。

 不安と恐怖に沈んだ心を引き上げるように、彼は手を差し伸べる。


「もう心配はいらない」


 優しく発する声は、負の念など微塵も抱かず、聞いた者に安心を与えてくれる。彼が戦場に立つだけで、そこにまるで希望の光が降り注いでいるかのようだった。

 人々はそんな彼をこう呼ぶ。


「勇者……」


 立ち上がった俺の肩にそっと手を乗せ、彼は言う。


「よく頑張った。後は任せろ」


 肩の感触が消えたと同時に、彼の姿もその場から消え失せる。目にも止まらぬ速さで戦場を駆け抜け、森を荒らす魔獣を両断する。俺が振り返った時には、縦一線に断たれた魔獣の屍が戦火に焼け果てた地面に横たわる瞬間だった。

 今回の魔獣討伐における負傷者は六名。後日、王都オーリフェルの王国軍病院にて、その内一名の死亡が確認された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ