最終話
「数年後」
数年後の未来になにがある?
それはきっと愛だから。
風の噂でブライダルの撮影はうまくいき、あの白いタワーマンションにはカップルが集まって来てる。そしてそこで式を挙げたカップルもいるらしい。
私達の写真は雑誌にも取り上げられ、ブームになった。
大学の友達にはバレたけどみんな、良い写真だと誉めてくれた。
恵美も嬉しそうに笑う。
私達はいよいよ卒業を迎える年になった。
私は4月から恵美が経営することになるホテルに勤めることになった。
恵美とは立場は違うが一緒に働ける事が嬉しい。
もうすぐ卒業かぁー。
そういって感傷的になる。
幸人さんとはデートを重ね、今は・・・。
「ちょっと幸人さん!」
私はお風呂上がりの幸人さんの姿に声を上げる。
「どうした?」
幸人さんがなに食わない顔で私は見る。
「お風呂に入るのは良いですけど上半身裸で動き回るのはやめてくださいって何回も言いましたよね!」
「大丈夫だよ。風邪なんて引かないし」
「それも一理ありますけど恥ずかしいので服を着てください」
「俺の裸なんて見慣れているだろ?」
「ぜんぜん見慣れてません」
そういって彼に反論するのだった。
そう。今は彼と一緒に暮らしている。
ちゃんと両方の親から許可をもらっている。
まだまだ彼との生活は慣れていないけど幸せに溢れている。
彼の行動や言動が全ていとおしく思える。
「綾」
「今日は外で食事とろうか!」
「え?もう作っちゃったんですけど」
「じゃあ、夜は空けといて。連れていきたいお店があるから」
「はーい」
そう答えると彼は自分の部屋に引っ込む。
幸人さんは今は教育係というポジションにいる。
社長のお墨付きらしい。
4月になったらお互いに忙しくなるな。
そう言いながらも私達は大丈夫と変な核心がある。
だって私の左手には指輪がついている。
あのときもらった指輪を私はずっとはめている。
男避けにもなるし。
幸人さんも着けてくれている。
私がクリスマスに送った指輪を。
まだまだ結婚は先だけどきっと大丈夫。
そういって恋人である彼との時間を楽しむのだった。
辺りが暗くなり、夜になる。
私と幸人さんは食事をとるため、お洒落をしてレストランに向かう。
久し振りの外食。
私はウキウキしながらレストランを目指す。
「いらっしゃいませ。白重様」
レストランに着くと支配人が迎えてくれる。
支配人に案内され、夜景の綺麗な席に着く。
支配人にメニューを渡され、支配人が幸人さんに話しかける。
何の話をしているんだろ?
私は気になって仕方なかった。
話が終わると支配人が私に向かってニコッと笑い、席を離れる。
「なんだったの?」
「いや、なんでもないよ」
彼はそういってメニューの方に目を向ける。
「料理はどうする?おすすめのを頼もうか?」
「幸人さんに任せます」
そういうと彼は支配人を呼び、おすすめのを聞き出す。
支配人はいくつかおすすめのを言うと幸人さんはじゃあそれでと即決するのだった。
「このレストランに来たことあるの?」
「いや、俺の同僚が来たことがあるから教えてもらったんだ」
「そうなんだ」
そうか。納得。
私は料理を待ちながら昔の事を思い出す。
今となっては昔の思い出。
幸人さんと出会ったのは喫茶店。
たしか欲張って二つのケーキを頼んだっけ?
それを幸人さんに見られて。
恥ずかしかったぁー。あれは。
デザートはさすがに控えよう。
私がクスクス笑っていると
幸人さんが「どうしたの?」と聞いてくる。
「いや、昔の事を思い出したらおかしくなっちゃって」と答えた。
すると彼は「昔かぁー」と言うのだった。
料理が運ばれ、食事をとる。
どれも美味しそうなものばかり。
一口食べると「美味しい」という言葉が出てくる。
そうやって食べ続ける。
「幸人さん、食べてる?」
「食べてるよ」
「なんだか私だけ食べてみたいだから」
「俺は大丈夫。それにこうやって料理を食べてる綾が好きだから」
「幸、幸人さん・・・もう。キザなんだから」
そう言いながらも嬉しく感じるのだった。
料理もすっかり終わり、満足になる。
デザートはどうしようかな?
私がメニューをみて考えこんでいると
「綾は昔食べたデザートを覚えているかな?」
「えっ?」
「俺と出会った時の」
「覚えているよ。たしか抹茶と桜のモンブランとゆずのケーキだったよね」
「それがどうしたの?」
「食べたくない?」
彼がそう言うと支配人がそれらしきものを持ってくる。
うそ?あのときの抹茶と桜のモンブランとゆずのケーキだ。
「ど、どうして?」
「実は無理を言って作って貰ったんだ。」
「ここにいる支配人にね」
「そうだったんですか!ありがとうございます」
「いえいえ。喜んでもらえて何よりです。作った甲斐がありました。」
「どうぞ。ごゆっくり」
そう言って支配人が席を離れる。
「幸人さん。ありがとう。」
「お礼をいうのはまだ早いよ」
そう言うとスーツから箱を取り出す。
「開けてみて」
そう言われて箱を開くと素敵なネックレスが
入っていた。
リングが飾ってあるネックレスだった。
リングにはwill you marry me?と彫られていた。
「これって?」
「そのままの意味だよ。俺と結婚してください。」
嬉しさのあまり、涙が出てくる。
私、この時を密かに待ってたんだ。
「綾」
「はい。幸人さん」
「私と結婚してください」
「幸せにするよ」
そうして時が経ち、私は大学を卒業した。
そして私は明日、彼氏である白重幸人さんと結婚する。
長かったなぁー
本当に。
でも長かった分、良い思い出がある。
彼に出会えたこと
彼に恋をしたこと
彼に辛く当たってしまったこと
彼と結ばれたこと
彼と結婚式の写真のモデルになったこと
どれも私には素敵な思い出だ。
この思いを乗せて彼と一生添い遂げよう。
君に夢中になって本当に良かった。




