第二話
「出会いは突然」
「綾さん」
彼女が声をかけてくる。
「昨日はごめんなさい。綾さんを1人にして」
「大丈夫よ。私なら」
「でも」
「昨日はどうだったの?彼とのデートは?」
「綾さんのお陰で楽しかったよ」
「そう、良かった。」
恵美は嘘は言わないからきっと楽しいデートだったんだろうな。
ちょっと羨ましい。
「綾さん。今日は時間ある?」
「あるけど」
「昨日言っていた喫茶店に行かない?おごるから」
喫茶店かぁー そういえば最近行ってないかも
恵美がおごってくれるなら行こうかな!
「いいよ」
「有り難う。デザートが有名なんだ」
そう言って講義が始まるまで喫茶店について話をしていた。
講義が終わり、外は夕日で輝いている。
私と恵美は喫茶店に向かう為、短い距離を歩いていた。
歩きながら話す話題は色々あり、あっという間に喫茶店についた。
「いらっしゃいませ」
店員の明るい声で迎えられる。
私と恵美は店員に案内され、奥の夕日の見える席に座った。
早速メニューを開くと丁寧にデザートと料理の詳細が書かれていた。
おすすめは・・・・桜と抹茶のモンブランとゆずのケーキ。
どっちにしようかとなやんでいる私に。
「綾さん。おすすめの2つ食べていいよ」
「でも」
「それにサイズは小さめに出来るからさ」
確かにそう書かれている。
「そうだね。有り難う。2つ頼むよ。食べきれなかったら恵美も食べてくれる?」
「いいよ。私は桜の紅茶にしようかな」
恵美はそういうところがいいんだよね。
店員がやってきてオーダーをとり、席を離れる
ここの喫茶店は木が使われているから落ち着く
それに静かめなクラシックもかかっていていい
「この曲はリストの愛の夢だね」
「そうなんだ。恵美はクラシックが好き?」
「好きだよ」
そういって注文したものを待ちながら恵美と話をする。
「おまたせしました。桜と抹茶のモンブランとゆずのケーキと桜の紅茶です。」
店員に運ばれてきた2つのケーキは美味しそうだった。
「ごゆっくりおくつろぎ下さい」
店員がそう言って席を離れる。
「いただきます」
そう言ってまずは桜と抹茶のモンブランを食べる。
「上品な味」
次にゆずのケーキを食べる
「爽やかな味」
そう言って味を楽しんでいると
「あれ?恵美ちゃん」
一人の男性が声をかけてくる。
「白重さん、こんにちは」
誰だろ?
「綾さん、こちらは白重幸人さん。私の彼の親友で幼馴染みなの」
白重幸人さん?
す、素敵な人だな。
私は思わず見とれてしまう。
「綾さん?」
恵美の言葉ではっとなる。
「こんにちは。はじめまして。恵美の友達の丘浦綾といいます」
「こんにちは。丘浦さん」
彼はニコッと笑って挨拶してくれる。
「ごめんね。楽しんでいる最中なのに」
彼が申し訳なさそうに謝ってくる。
私は慌てて口を確認する。クリームついてないかなぁ。
「今日はどうしたんですか?」
恵美が白重さんに質問する。
「今日は有給休暇でね。ここの店がデザートで有名だから来てみたんだよ」
「そうだったんですか」
私は緊張のあまり、二人の間に入れない。
仲がいいんだ
「丘浦さん。そのデザート、美味しい?」
彼が声をかけてくる。
「は、はい!とても美味しいですよ」
「俺も頼もうかな!隣いいかな?」
「どうぞ」
彼が隣の席に座ってくる。緊張しちゃうよ。
「丘浦さんって恵美ちゃんと同じ年?」
「は、はい。そうです」
「そうか!ごめんね。綾さんって言ってるから年上なのかなと思ったよ。なんか大人っぽいから」
「良く言われます。本当は綾って呼んでもらいたいんですけどね」
「だって恵美ちゃん」
「ごめんなさい。つい敬語に」
3人で楽しく会話をする。
良かった。話に入れて。
白重さんって優しい人だな
なんか話しやすい。
そういって話をしていると時間を早く感じる。
もう外はすっかり真っ黒。
建物の光がイルミネーションのように輝いている。
「もうこんな時間かぁー。二人とも大丈夫?
よかったら二人とも車で送っていくけど」
「私は大丈夫です。さっきクロードさんに連絡したら迎えに来るって言ってくれたんで。綾さんはどうする?家遠いでしょ?送ろうか?」
これはチャンスかもしれない。
白重さんと話が出来る。
恵美には申し訳ないけどチャンスを無駄にしたくない。
「恵美、ごめんね。白重さんに送ってもらうから」
「そう?わかった。白重さん、お願いします」
「任せておいて。大切な友達はちゃんと送っていくから」
「じゃあ、綾さん。白重さん。また」
「またね」
そういって恵美を見送るのだった。
「じゃあ、行こうか!」
「なんだかすみません。あつかしくて」
「いやいや。むしろ嬉しいよ。断れたらどうしようかと思っていたから」
「どうぞ」
「し、失礼します」
彼の車に乗りこむのだった。
彼の車の中はすごく綺麗にそうじされている。
私がキョロキョロしていると
「大丈夫?居心地悪くない?」
「大丈夫です。なんだか緊張してしまって」
「じゃあ、出すよ」
「お願いします。」
そういって彼の運転する車が夜の街を疾走するのだった。
「丘浦さんって大学で何を専攻してるの?」
「経済学を学んでいます。」
「じゃあ、いずれかはそっち方面に?」
「いいえ、将来はホテルで働きたいと思っていて」
「そうなんだ。俺も経済学だったけど鷹文が社長秘書をやっている会社で社員として働いているよ」
「そうなんですか」
白重さんは私に気を遣って話をしてくれる。
そういう居心地の良さを私は知っている。
恵美といるときの同じ感覚だ。
もうどのくらい経ったのか
もうすぐ家についてしまう。
「白重さんって今、お付き合いしている方っているんですか?」
しまった。変な事を聞いてしまった。
私の質問に白重さんは苦笑いする。
「今はいない。前に彼女はいたんだけどね。つまらない男って言われて別れたんだよな」
「すみません。変なこと思い出させてしまって」
「別にいいよ。終わった事だし。丘浦さんはいるの?」
「私もいません。私もいたんですけど白重さんと同じです。」
「お互いに苦労するね」
そういって2人とも笑うのだった。
「はい。到着」
気がつくと家についていた。
楽しい時間が終わってしまった。
「どうぞ」
彼が車の扉を開けてくれる。
「今日はありがとうございました。楽しかったです。」
「こちらこそ。たのしいドライブになったよ」
もうお別れか。寂しいな。
「じゃあ。また」
彼が車に乗り込もうとする。
私は勇気をふりしぼって言った。
「また会ってくれますか?」
彼は驚いた顔で私を見つめる。
駄目かな?私じゃ。
すると何かを紙に書き、私に渡してくる。
「ずるいな。俺から言おうとしたのに先越された。喜んで。これ、俺の電話番号とメールアドレス。よかったらどうぞ」
「ありがとうごさいます。メールと電話しますね」
「ありがとう」
「じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
そういって彼は車に乗り込み、手を振りながら行ってしまった。
私は彼の車が見えなくなるまで見送った。
白重幸人さん
かっこいいし、素敵な人だったなぁ。
私はすっかり彼に夢中になってしまった。
彼の内面や外見に惹かれてしまった。
今までこんなことなかったのに。
私は熱を冷ます為、しばらくその場にたたずむのだった。




