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モブ女子、あなたの為に生きることを決めました!

強くてコンテニューできるゲームって、最強に素晴らしいですよね!☆

『ジークフリート!!しっかり!!しっかりするんだ!!』



『・・・アルベルト様、ご無事で、何・・よりです』




アルベルト王子に抱えられ、足を投げ出した形で地面に座り込んでいるジークフリートの腹からは、ドクドクと血が止まらずにいた。




『ああ!俺は無事だ!お前のおかげで、俺の命は助かった!!』



『よかった・・・それならば、俺は安心していけます』



次期王位継承者として、常に暗殺の危険にある王子の身を守るのも、王国を守る騎士団の役割の1つ。


先ほど、民の暮らしが見たいと街に見学をしに来ていたアルベルト王子に、どこの手の者か分からないが刺客が異様なほど大勢向けられ、その刺客の刃からジークフリートはアルベルトを身を以て助けた。




『ジークフリート!!死ぬな!!こんなところで死んではダメだ!!俺を置いて死ぬなんて絶対に許さないぞ!!』



映像の中に映る、これまた絵画のように美しいスチルの中では、真剣な面持ちで必死にジークフリートに死んではダメだ!と叫ぶアルベルト王子と、そんな王子に穏やかな笑みを浮かべるジークフリートが見つめ合っている。



・・・・・・ええと、これ一応女性向けの男女の恋愛のゲームですよね??


何で、ヒロインそっちのけで王子と団長が絆を深め会っちゃってるんですか?


スチルの中で主人公はすみの小さなところで心配げに2人を見ている。




君が主人公だよね?




モブじゃなくて、君がヒロインだよね?


これって誰が誰を攻略するゲームなんですかぁぁーーーーーーー?!?!





『・・・ローズ、様』


『ジ、ジークフリート様!!』





おぉーーーーようやくヒロインのターンがきた!!待ってましたよ!ジークフリート様!





『・・・あなたは本当に、すばらしい、人だ』


『ジークフリート様!』


『もう……俺には、あなたに教えることは何もない』





え??





『今日からあなたが・・・・この国一番の騎士だ!!俺の分まで、この国の柱となって、守っていってくれ!!』




へ??




『ジークフリート!!そうだな!このローズがこれからはこのアルカンダルの守護騎士だ!!』



『この国と、アルベルト陛下を・・・頼んだぞ、ロー…………ず』



『ジークフリート!!!』



『ジークフリート様ーーーーーーーッ!!!』







こうして、聖女候補として自分を磨きに磨き上げてたくましく成長したローズは、アルカンダル王国の英雄の意思と心を継ぎ、女性ながらも女勇者として死ぬまで国のより繁栄と平和の為に尽くし新たな伝説を作った!!



〜〜END〜〜











・・・・・ENDじゃねぇぇぇーーーーーー!!!!




何で?!何でまた死んだの、団長〜〜〜??!!



しかも、なんか要らぬフラグを立ててってたよ!!私もまた嫌いじゃないし、物によっては大好物だが!!団長にそのフラグはいらん!!


何でそんなに死にたがり!?!?

ゲーム始めてから何回死んだと思ってんの?!


今回で団長が死んだのトータル150回目だよ!?

また涙のお祝いしちゃう?!?

もういい加減涙も枯れ、枯れ果てろ!


いい加減ーーーー!!!


ウワーーーン!

何でまた死んじゃったの〜〜〜〜〜!!!!






団長に一目惚れしてから一週間、私は仕事が終わってから直帰で家に帰り、家での仕事とあとは寝るだけ!の支度をマッハでやりきり、あとは団長とのラブラブ??タイムを毎日楽しんでいた。


なのに、どこで道を毎回間違えるのか!フラグという死のフラグを折ればおるほど、何でこんなに死のフラグが前にそびえ立つ!!


あまりに魅力的すぎて、ついには死神ですらも魅了して愛されてしまったのか!!!




私はけっこう、こういう育成ゲーム得意な方でコツさえつかめば最強な逆ハーレムを作って、ステータスもカンスト!MAX!な最強主人公を作っきた!


難易度が高ければ高いほど、普段はなりを潜めて出てこない、負けず嫌い根性でやりきることになんともいえない感動を覚える!





今回のゲーム、最初はステータス上げが上手くいかずに、他国の敵にローズが捕まり、そのローズを守る為にーーーーー死亡。


それならば!とステータスをとにかく上げまくっていると好感度が足りなくて、ライバルであるエリザベートを守ってーーーー死亡。


ならば、ステータス&好感度をあげてみせよう!!と張り切れば、ステータスが高すぎて先ほどの英雄エンドに向かい、アルベルト王子を守ってーーーー死亡。


そして団長の好感度の為に、あまりにデートに連れ出し過ぎると、休めなくて疲労困ぱいになったジークフリートの隙だらけのところを族に襲われてーーーーー死亡。






・・・・・・ジークフリートさん、一応ゲームの仕様とはいえ、国一番の実力を持つ英雄なんですよね?



他にももう、いろいろあって色々なシチュエーションで多種多様に命をちらすジークフリート様の姿に、製作陣は彼をどこまで憎んでこんな仕様にしたのか!!と、講義のメールを感情のままに送ってみたが、結果は何も変わらない。


ジークフリートを助ける為だけに、もはや意地と執念でもってありとあらゆるルートを周回したおかげさまで、もはや私の分身たるローズはステータスもカンスト状態。


守ってあげたくなる!が魅力の1つだったローズは、そんな面影はどこにもなくなってしまった。




なんで?!




どこにハッピーエンディングは存在するの?!

もはや、ハッピーエンディングそのものがないんじゃないか!?!?


っていうくらい、本当にひどすぎる難易度だった!!!



ちなみに、普通の人達は難易度の高いジークフリート様を後回しにして、先に他の攻略対象のルートで恋愛でエンディングをゲットして能力を上げてから、挑戦するのが攻略情報の一般的なアドバイスだってことを知ったのは、ジークフリート様が祝☆100回目の死亡更新を迎えて、涙・涙のお祝いをしたあとだった。





だって、しょうがないじゃないですか。



これまでの、ありとあらゆるゲームの中でも私的にはナンバー1の最強にして最萌キャラが目の前にいるのに、何でそこを後回しにして他の攻略対象にルンルンと向かえるというんですか!!



しかも、ジークフリート様。



主人公への好感度が上がってきてから、死亡ルート回避の為に他の攻略対象のところへ情報もらいにいったり、アイテムもらったりして通っていると、他のキャラとの未来の方が主人公の為になると勝手に身をひき、私と相手と国の為に!と戦でその命を散らしてしまうのだ。




なんでだ?!?!?!




それでもなんとか、攻略情報と私の時間と体力を大量に犠牲にしてなんとか、もはやエベレストという名のジークフリートハッピーエンディングにたどり着いた!!



長かった!!!


本当に、長かった!!!




あの時の全身から湧き上がってきた、感動という名の衝動と震えと涙と鼻水が、大量に止まらなくなったのは仕方がないではないか!!

夜中なのに、




いよっっっっっっしゃぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!




涙と鼻水で顔面ぐしゃぐしゃとぐしょぐしょの体で天井を仰ぎながら、私は言葉にならない幸運に神に女神様に、すべての生きとし生けるものに感謝の気持ちが溢れ出て、何時間もそのまま止まらなかった。


明日はお祝いのホールケーキを買って来よう!

そんでもって花束も用意して、ジークフリート様の祝☆長生き&幸せ!!をお祝いしよう!!


ひとしきり泣いて叫んで、隣の住人にうるせーーー!!!と叫ばれて、それでも室内でバンザイ合唱をすること数時間。


朝日が昇る瞬間ですらもその感動とともに迎えて、

いよいよローズとジークフリート様のラブエンドの内容を見る為に、ワックワク!!な気持ちで画面を進めた私の目に入ってきたエンディングは





ーーーーーーーーあっけなかった。





キスもハグもなし!


甘いセリフもイチャイチャも、一応の告白はあったけど何でこんなにあっさり???


まだ死亡エンドの方が思いが伝わってきた気がする。

いや、不器用で真面目でジークフリート様だから、恋愛も器用でないのは分かります。


でも、そこはゲーム仕様で甘く糖分過多の胃もたれするぐらいの愛を伝えるのは、

無理だったのでしょうか・・・・・・・???






※※※※※※※※




拝啓



ジークフリート様


あなたが自分を大事にできない犠牲的な精神で、恋愛にも積極的でないのも仕方がない。そんなあなたが私は大好きだからです。


だからこそ、わたくしクローディア=シャーロットは決めました。

何の因果かハッピーか、私の転生先のこの生まれ変わった世界・リベラトォールにも、あなた様はいるのだと、街の噂で知りました。


まだ直接お会い出来てはいませんが、耳に入ってくる噂と評判から、この世界でもあなたがどれだけ素晴らしい人なのか、自分のことよりも国や相手の為にと!尽くしてきていることも耳タコなぐらいに聞いています。



さすがはジークフリート様です!!



そして恋愛にも奥手で、10年連続抱かれたい、恋人にしたい、旦那にしたいランキングナンバー1なのにもかかわらず、ここ数年は恋人らしい存在はいないだろうことも聞きました。



これには心がはしゃぎました!!!




他の女性とイチャイチャする姿なんてみた日には、わたくしあんなに折り続けた死亡フラグを自ら作ってしまいそうですから。


あと、今がゲームの世界からだいたい1年ほど前の世界だということもわかりました。


ローズが王都に来るのは、アルカンダル王国創設より1000年目になる聖誕祭において。


その日までに、あなたの前に立つだろう多数の死亡フラグは根こそぎおってやります!!



1年後にローズと出会い、あなたが今度こそあんなあっさりエンドではなく、心から幸せになれるエンドに導いていきますとも!!!!



それが、ここまで意地と根性であなた様を生かす道を探し続けた私の役目だと、この世界にモブキャラとして生まれたことに理由を見つけました。



道ははるか彼方のエベレスト。




それでも一回は登れたんですから、また登ってやりますよ!


しかも今回はコンテニューが一回もない、あなた様の命は一回きり。


でも、それが私のジークフリート様にできる、モブキャラとして今世生まれた私にできる愛の証です。



敬具







『あなたをけっして、死なせはしない!!!』





根性入れて、守ってやらぁーーーーーーー!!!!

ここまでで、とりあえず前置き話は終りです。

次回からは本編に入ろうかと。

エンディングがあっさりしてるなら、妄想で補完するしかないんですが、やっぱり苦労した分エンディングには期待してしまう自分がいます。


できぬなら、作ってしまえ!ホトトギスですね!

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