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モブ女子、大好きなゲームに転生したことに気づきました!

たくさんの素晴らしい異世界転生ものストーリーにはまり、夢中で読みに読んでいたら私も書きたい!となり、勢いで書いてしまいました。


悪役令嬢の異世界転生が大好きなのに、気がついたら私の主人公はモブ女子!

頭の中に降りてきたときには、名前もないクローディアが、ギャーーーーと叫んでおりました。

「・・・じょうぶかい!?しっかりしな!!大丈夫かい?!」




真っ白な意識からようやく思考がハッキリしてきて、聞き覚えのない?声に導かれて目を開けると、そこには見覚えないはずの女性の顔が目に映る。


必死な顔で一生懸命に私に声をかけてくれた私の母親と同じぐらいの、優しそうな目と雰囲気のその人は、目覚めた私と目があうと、息を吐いて安心した表情をしている。




ーーーーーーーーあれ?誰だっけ?




・・・・・・・あぁ!!



私知ってるじゃない!

同じ店で働く、お母さんの友達のハンナさん。何年も一緒に働いてきて今日も朝からずっと一緒にいたはずなのに、何で私今見覚えがないなんて、なんて失礼なことを思ったのかしら??


頭の中が混乱中のフリーズで動けなくっていた私の目の前で、そのハンナさんが私に向けていた優しい笑顔のまま、吐血した。




「グハァッ!!!」




吐いたーーーー!!それも大量に!!




「・・・・ちょ、ちょ、ちょ、

だ、大丈夫ですかぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!」




その瞬間、辺り一年の空に響きわたる私の大絶叫。これが私と、この女神に愛された王国・アルカンダルとの出会いだった。





私の名前は、森山 雫ーーーーだったのを、先ほど急に思い出した。


仕事は保育士、独身彼氏なしの30歳。仕事の為か子どもとお年寄りにはなぜかとても愛される、真面目で優しくて(都合の)いい子ね〜という、同世代からはいい人どまりから抜け出せない、まことに残念な女子でございました。


だった、っていうのは、これが私の前世の記憶だったから。前世ではアラサー女子だけど、今の私はクローディア=シャーロットという名の16歳。アルカンダル王国にある町の小さなレストランで両親と一緒に働き、すごく豊かではなくとも毎日を穏やかに幸せに過ごしてた一般ピーポーです。



でも、でも、でもぉーーーーーー!!



これはきっと!私が前世の小説ですごく流行っていた、転生ものシリーズ!に違いない!!


死んだと思ったら、大好きな恋愛ゲームの中に転生しちゃった☆

っていう、日本人の女子がここ数年でどれだけ転生したかわからない、流行ってすごいよね!!


でも、確か転生ものシリーズの定番で一番人気は、美人で性格は難ありの悪役令嬢。


その悪役令嬢の死亡フラグを折る為に前世の記憶を生かしてより平和により幸せに、ヒロインよりもむしろヒロインで、もはや元々の恋愛フラグをバッキバキ!!におっていきます☆えへっ!・・・・ってな感じだったはず。



今の私はクローディア、今をときめくJKの16歳☆


でも、街のレストランでウェイトレスしてる、ただの町民の1人でーーーーー豊かできらびやかな生活をしている悪役令嬢では決してない。

ついでにいうと胸もない。悪役令嬢は皆なぜかナイスバディー!!と最近なぜかだいたい決まってる。



なぜだ!?



「ゴホゴホッ!!」



「あ!!ハンナおばさん!大丈夫!?」



「ごめんね、クローディアちゃん。わたしはだいじょう・・・・グハッ!!」




ギャーーーーーーー!!!


全然だいじょうぶじゃないーーーーーー!!!




目の前で血をはい・・・じゃなくて、激しく咳き込んでいたのは、私の店で一緒に働いているお母さんの友人であるハンナさん。

今日は2人で隣町に店に必要な食材や備品の買い出しに来ていた帰りだった。


そういえば最近よく陰で咳き込んでたり、顔色も悪いな〜と思って、心配はしてたんだけど、これは一体何が起こったの?!

目の前で広がる血・血・血の海。何このホラー?!

ここは地獄ですか?いやいや、それよりも早く救急車を呼ばないと!!



「ハンナさん!今すぐ携帯で救急車呼ぶからね!!」



そう!とにもかくにも、こういう緊急事態は救急車!!救急車呼べば多分大丈夫だから、携帯で今すぐ110番・・・・はお巡りさんだ!!


私ったらうっかりさん!!

救急車は119番でしょ・・・・・って、あれ??




ちがーーーーーう!!!!




今の時代に救急車も携帯もあるわけないじゃない!

前世の記憶戻ったばかりで、ついうっかりしてた!!



「ど・・・・どうしたんだい??ハァ、ハァ」



ハンナさん!あなたこそどうしたんですか?!

私よりも今血を吐いてやまないあなたの方が、全然大丈夫じゃないですよね?!



「ごめんね!何でもないの!ハンナさんの方こそ大丈夫?!」



血を吐き終えてもまだ苦しそうなハンナさんの姿に、とりあえず突然やってきた前世の記憶は頭の中でぐるぐるさせておき、胸を押さえて丸くなっているハンナさんの背中をさする。




「はぁ〜〜。この世界にも携帯があればな」


「・・・・けい、たい?って、なんだい?」


「え?あ!いや!何でもないわハンナさん!アハハハハ〜〜!!」


「それよりも、背中をさすってくれてありがとうね。なんだかすごく楽になってきたよ」


「それはよかった!」




確かに、さっきまであんなに苦しそうで真っ青だった顔色にピンクの血色が戻ってきていた。



いや、むしろ肌にツヤが出てきて・・・・?

ハリも出て・・・・きて?



んんっ?!

体じゅうなんだか、キラキラしてーーーー?!?!





「ありがとう〜〜クローディアちゃん!!

本当になんだか胸の辺りがすごく楽で・・・・って、あら?本当に全然苦しくないわ!」



「おさまったんですね!」



「えぇ、そうみたい。それに、なんだか体もかる・・・・くて、軽すぎって、あら?あららららら??」


「???」


「なんだか体の中から、みなぎる力が……」



「???」




体の奥から何かが生まれるんですか?




「こ、こ、こんなのって!!

生まれて初めてーーーーーーーー!!!!」



「!!??」





なぜか顔を恍惚とさせながら大興奮で叫んだあと、吐血したばかりのハンナさんはいきなりその場で大空に向かって大きくジャンプしてはしゃぎ続けた。



あれ?ジャンプ力すごくないですか?




「ハンナさん!血だまりのそばは滑るからジャンプすると危ない・・・?!って、本当に危ないから落ち着いてーーーーーー!!」



「身体が軽いって、なんて素晴らしいのーーー!!まるで翼が生えたみたいよ!!!」





それは噂のレッド◯ルですか?!

翼をさずかったんですか?!

叶うならぜひ私にも翼をください!!



そのあと、しばらく飛び続ける大興奮のハンナさんをなんとか落ち着かせた頃には、真上にあった太陽が横に見え、オレンジの光を放ち始めていた。




街に2人で戻り、レストランでいつものように働きながら、なせだか絶好調のハンナさんは鼻歌まじりにクルクルおどりながら、歌いながら接客してて。


むしろ途中からお客さんと一緒に手をつないで店の中で歌って踊って、この小さな店の中でブロードウェイミュージカルが行われていた。


ノリのいいお客さんばかりで本当によかったです。



そんなハンナさんのザ・今夜のミュージカルショー!を横目で見ながらも真面目に働きつつ、突然やってきた前世の記憶と今の環境の生活を考えた結果!



ここがようやく自分が流行りの転生ものと同じく、当時大好きだった恋愛ゲーム『 リベラトゥール』の世界であることが分かりました!!!



やったーーーーー!!!


パチパチパチパチパチ!!



ずっと待ってましたよ異世界トリップ!!

念願の、剣と魔法の国へようこそ〜〜!!!






なのに!!なのに、なんでなの?!?!


せっかく!



前世の私が時間もエネルギーも愛もお金も女子力も全てを一身に捧げた、大好き!愛してる!

リベラトゥールの世界に転生したのに、どうして私は!!




ヒロイン・ローズで生まれてこなかったのーーーーーーー!?!?




いや、むしろ今の流行りにのるなら、今転生すべきはローズのライバル役の悪役美人令嬢のエリザベートでしょーーーーー!!?!




なんでそこは流行りにのらない?!

遠慮なんか、頼むからしないでくれ!!

私に愛をくれーーーーーーーーー!!




・・・・・・悲しい。




何で私、ヒロイン達が攻略者達と一緒にたまにデートでやってくるカフェの、顔もどんなだか記憶に全くない。


セリフはいつも同じく「いらっしゃいませ!」


ヒロインにもヒーローにも、ライバルにすら個人的には関わることのできない、もはや景色というなの背景といっても過言ではない!!





モブ店員、Aなのよーーーーーーーーー!!??


私は初の1人暮らしが決まった際に、あまりにワクワク興奮したために、鼻血でトイレの便器を血の海に染めたことがありますが、あれを他人が見たらホラーだろうな〜と。


これからよろしくお願いします!

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