第3話 そろそろ探します。
結局、兄が落ち着くまで、かなりの時間がかかり、今現在の時刻は午後の1時である。朝食の時間が7時だったから、かなり無駄な時間を過ごしてしまった。
取り敢えず、今は隣町に来ている。エルフィー村という、仲間意識が高いものの、友好的なエルフが多く住み、自然豊かな村だ。
仕事柄、静かで癒しのある場所が目的のため、ここは良い環境だと思う。奥に進めば、近場に火山があるため、金属類も豊富にあるらしい。そして、上手く温泉が涌き出てくれる場所が見つかれば、最高である。
取り敢えず、丁度良さそうな場所を探す。
”父親の小遣い”という名の軍資金もあるし。
え?兄はあんななのに、私は如何なのって?金は使ってこそなんぼでしょう?生きてくのにお金は必要ですよ。
取り敢えず、村に着いてはや数分。丁度良さそうな売り物件を見つけると、早速店に向かう。
「あの、すみません。ここに住みたいのですが。」
店員さんぽいエルフに、先ほどの売り物件の詳細を話し、交渉を進める。
最初は、子供の私を見て、胡散臭そうな顔をしていたエルフも、私の持ってきた、お金を見れば態度を変え、寧ろ早く買ってくれとばかりに、交渉を進め始める。
子供だと逆に嘗められると思って、切り札も用意してきていたから、拍子抜けである。
まあ、あっさり購入できたので、良しとする。
今にして思うけれど、前の世界だと子供が土地を購入したい。と言っても、お父さんとお母さんは?と聞かれるだろう。もうどうでもいいことだけれど。
購入した物件の土地の証明書と、その所有者が私だというサインの書いてある紙を無くさないように、ポーチに入れる。
空間魔法も習得済みだけれど、流石に人前で使えない。
取り敢えず、今の姿では1人で暮らせないので、まずは周りの住人の好感度をあげようと思う。
家を建てるのも、それからかな。
家に帰ろうと歩き出すと、エルフらしき子供が1人、怪我をしている様子だったので、治癒魔法で治すことにした。
ちなみにこの世界では、治癒魔法を使える者は、王族や、神父などの聖職者や王族のみが使える魔法である。
因みに、基本男ばかりが治癒魔法を使えるというわけです。女の子が使えるとしたら、王族か、またはシスターくらいである。
目の前のエルフの子供も、それは知っているらしく、驚いた表情で私を見ていた。
何も知らない子供なら、普通にありがとう、とか言ってくるだろし。
私は微笑みを浮かべると、口元に指を当てる。
「秘密だよ?」
そう言うと、目の前の少年エルフは、にっこりと笑みを浮かべた。
「秘密だよ?とか笑える。ぶりっこみてえだな。」
見た目は、緑色の目と髪、見た感じ同い年っぽい、そして男だと思うけど、三つ編みだ。
助けてやったのに、何て言い草だろう。凄くイラっとする。
周りを見て、他に誰もいないことを確認すると、目の前の少年を締め上げた。
「初対面で、助けてもらった命の恩人のこと笑うとか、そこんところ如何なのかしら?」
「す、すいません、ギブっす。」
取り敢えず謝って来たから、手は離してやる。王女の癖にそんな態度でいいのか?そんなこと言われても、ムカつくものはムカつく。
ていうかぶりっこって、思いっきり現代語__
そこまで考えてハッとする。
そして、更にこの少年エルフを締め上げる。
「ねえ、貴方は誰?」
「俺?俺はカルム。ここに住んでる、いたいけなエルフの少年でっす。」
「日本に住んでいた時に使っていた名前がもう1つあるでしょう。」
ノンブレスで問いかけると、固まった。少年が固まるとビンゴと、私の予想が当たったことを意味する。
後ろに後ずさりする少年を逃さないように、捕まえる。手を捕まえ、押し倒す。
「君は、誰?如何してここに転生したの?」
聞くのはこれで最後だ。といえ意味を込めて、グッと手に力を入れる。
少年は苦笑いした。
「いや、俺もわかんねえ。」
「いや、何て言うか、取り敢えず人生経験聞かせて。」
結構力いっぱい締め上げて、思いの外、普通の返事が帰ってきたので、取り敢えず私の口から出てきたのは意味不明な返しだった。