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写真と僕と、あの子の一生

作者: 立花 馨

 あの子は写真が好きだった。

 自分でカメラを構えて撮るのも、自ら被写体になって撮られるのも。

 近場や旅行先でお互いに撮った写真を見せ合ったり、適当に街歩きをしてみたり。


【なのに突然、あの子は居なくなった......】


 ある日の夕時、近くの海岸に〝写真を撮りに行ってくる〟と言い残したまま...帰って来なかった。

 途中で何か思いついて別のどこかに移動して一人旅をしているとばかり思っていた。


 ...でも、自宅に入った一本の電話からは、あの子の悲報を聞かされた...。



 悲報を聞かされた時、僕が何を思ったのか。

 あの子が居なくなった事が悲しいというよりも、何故だか僕はあの子らしい最後だと思った。

 

 僕がいつもあの子に感じていた雰囲気は、猫のそれだった。

 思えば、あの子はいつも好きな事だけをして、好きな時に寝て、好きな時間に食事をする。

 不規則な生活をしているのにも関わらず、あの子が太ったりということは一切無かった。

 本人曰く『太りにくい体質だから』らしい。



 あれから三ヶ月。アルバムを見て泣くことも無くなった。

 何故なら、あの子は現実には居なくなってしまったけれど、

 僕がこの世界に生きている限り、心の内に存在し続けるのだから...。


「いつも綺麗で元気だったな。...今度の旅行は一緒に行こうね...」


 あの子の写真は青い写真立てに入れて保管している。

 青はあの子が一番好きな色だったから。


 写真に両手を合わせて

「そのうち僕も行くから...そっち(あの世)で待っててね...」



 僕があの子に対して少しでも恋心を抱かなかったと云えば嘘になる。

 しかしながら、その気持ちを誰かに話したところで何にもならない。

 写真を前に遅すぎる告白をしたところで、あの子は帰って来ないのだから...。


 だからせめて、〝向こう(あの世)で会えたら、その時は素直に告白するよ...そしてまた、一緒に撮影旅行に行こう〟と考えつつ、仕事に行こうと部屋を後にした。




                          完

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