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怪談竒譚

たとえばの話

作者: 鵜狩三善

 たとえばの話なんだけどさ。

 宇宙人とか異世界人とかそういう(たぐい)の、人間より優れた存在がいたとする。もしそいつらが俺達と遭遇したら、どうすると思う?

 わからないって答えはやめてくれよ。面白味がない。もしお前が向こうの立場だったら。そう考えて答えてみてくれ。

 明らかに自分たちより劣った、でも自分たちそっくりの生き物。それを発見したとして、お前ならどうする?

 ……なるほど、そうか。らしい回答だな。いやいや、茶化してなんかないよ。素直に感心してる。

 ん? 答えさせるだけはズルいって? 俺の回答も聞かせろってか。


 ──そうだな。

 俺ならこっそり、そいつらの日常に潜り込むね。

 そいつらの社会に紛れ込んで、面白おかしく日々を送るよ。

 だって考えてもみろって。俺のスペックは周りより断然上なんだぜ? ひとりだけチート状態だ。

 その気になれば、全部をやりたいように、思うがままにひっくり返せる。

 学校や勤め先程度の話じゃない。天下国家を揺るがすような話だって指先ひとつちょちょいのちょい、だ。

 空想妄想一切抜きで、自分が特別だって実感しながら生きてけるんだぜ。全部を手のひらの上でいいように転がして、もう全能感この上ないね。

 それから後は気に入ったヤツに「たとえばの話なんだけどさ」なん切り出して、真実をほのめかしてみたりするのさ。

 不安を煽って日常を揺らして、最後に「ほんのたとえばの話だよ」なんて言って安心させてやるんだ。

 丁度こんなふうに、な。


 ……おいおい、そんなに引くなよ。これは冗談話なんだからさ。

 そう、仮の話。ただのもしもの話。

 ほんの、たとえばの話だよ。

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