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勿忘草  作者: 幸多
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一輪の花

ワスレナグサと言う花を知っているだろうか

ヨーロッパからの外来種で日本に渡来したのは、明治時代だそうだ。主に観賞用として育てられるのだがヨーロッパにおいては肺などの呼吸器疾患(喘息や慢性気管支炎など)に効果があるとされているらしい。

欧米諸国では古来より友愛、誠実の象徴として親しく慕われているらしい。

だがその一方で悲しい話がある。中世ドイツの頃の話だ

むかし騎士のルドルフという青年いた。ルドルフはドナウ川の岸辺に咲く花を恋人のベルタのために摘もうと思い岸を降りたが誤って川の流れに飲まれてしまったらしい

ルドルフは最後の力を振り絞り花を岸に投げ„Vergiss-mein-nicht!“(僕を忘れないで)という言葉を残して死んでしまったそうだ

残されたベルタはルドルフの墓にその花を添え、彼の最期の言葉を花の名前にしたそうだ

花言葉の「真実の愛」「私を忘れないで」もこの伝説に由来する

引用:Wikipedia

なぜ私がワスレナグサの話をするかというと朝起きるとなぜかベットの横に一輪のワスレナグサがあったからだ

言ってしまえばいい迷惑だ。私は花に興味はない

むしろなぜ寝ている間に置いていく。というかどうやって入ってきた不法侵入で訴えるぞ

頭を悩ませているとピピピピピと設定していたアラームが鳴る

ただいまの時刻は午前7時30分

急いで準備をしないと入学式に遅れてしまう。そう思い私は真新しい制服に手を通し身だしなみを整えて家を出た


今日は高校の入学式だ

無事に第一志望の学校に合格し新しい制服を着て新しい靴を履いて今までと少し違った毎日がはじまる

馬鹿ってわけでもなければ頭脳明晰ってわけでもない私は県内でごく普通の偏差値の学校に入る

すごい美人でもなければすごく性格がいいわけでもないし根性が腐ってるわけでもない。それなりに反抗期はあるしそれなりに悪いこともした。特別欠点があるわけでもなければ特別恵まれてるというわけでもない

私は普通なのだ。それはまるで絵に描いたような普通な人間だろう。

隣で母がうきうきしながら私に話しかけてくる

「ねぇあゆちゃん今日ご飯なにがいいかしら?お寿司にする?焼肉にする?」

なぜその二択なんだ

「お母さんねぇお寿司食べたいなー」

「なんでもいいよ」

「もぉ!あゆちゃんたら!今日はあゆちゃんの入学式なんだからあゆちゃんが好きなものにしましょ」

母さんが食べたいって言ったじゃん


私の母は少し天然でお世辞でも賢いとは言えない。でも料理が上手で手先が器用で明るくて優しいちょっと抜けてる人だ

私の父が大学生の頃の話だ。当時父がいつも通っていた喫茶店にたまたまバイトで入っていた母に一目ぼれした父は母に猛アタックしたらしい

正直どうでもいい話だ。そんな馴れ初め話を毎日聞かされるこっちの身にもなってほしい

「お父さん今日早く帰ってこれるかしら?聞いてみましょ」

母さんは綺麗な人だ。多分親子だからっていう補正もかかってるかもしれないけどでも私にとって母は憧れの人である

「よかったわーお父さん早く帰ってこれるって」

「そうだね」

「もう、あゆちゃんったらつれないわぁ」

お母さん寂しい、と嘘泣きをはじめる母に少し呆れつつ足を進めていった


ワスレナグサなどとっとと忘れたほうがいい、どうでもいいし


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