756列車 撮影スポット
2062年6月13日・火曜日(第98日目)天候:晴れ 西日本旅客鉄道山陰本線長門市駅。
長門市から山陰本線に乗って益田方面へと走る。14時34分発の列車は東萩を越えて、途中の木与駅まで向かう。
長門市14時34分→木与15時36分
長門市→木与間の乗車券使用開始
長門市~益田間の山陰本線の列車は偏在している。9時10分に東萩行きの定期列車が出発すると次は14時34分の定期列車まで設定されていない。その間に臨時列車が2本設定されているが、今日はそのどちらも運行されない。それだけこの列車を利用する人が少ないんだろう。それを裏付けるように車内に人はまばらだ。学生が乗り込んでくればまだまだ違うのかな・・・。
長門市→木与間の乗車券使用終了
1時間ほどで木与駅に到着する。こういう所にはありふれた大きさの駅だな。
僕たちは駅前にタクシーを回して貰い、それで宇田郷の方面へと進む。時折山陰本線と併走する道路を駆け抜け、海岸線に鉄道が近づいたところで橋梁が見えてくる。その橋梁が見えたところで、タクシーを止めて貰った。
「ほう・・・これがねぇ・・・。」
僕たちはその橋梁を見た。コンクリートで作られた高架橋は海岸線に沿って弧を描くように架けられている。これは惣郷川橋梁というものらしく、鉄道ファンの間ではとても有名な撮影スポットである。「瑞風」をはじめとしてこの辺りを走る山陰本線の列車が数多く撮影されている。
「本当に海の近くを通ってるんだな。」
「こんな所通そうなんてね・・・。よく考えたものね。」
「ああ・・・。」
海面からかなりでている基礎部分に、独特な形の高架橋・・・。弧を描きながら走っていく列車に鉄道ファンはひかれるのだろうか。僕と萌も撮り鉄ではないからな。それに関してはよく分からない・・・。
「ところでさぁ、萌。ここ通る列車とかあるかな。」
「えっ・・・。どうだろう。ちょっと待ってて。」
上り列車があと2時間やってこないのは分かっている。通るとしたら下り列車ぐらいか。と言っても、下り列車は僕たちが乗って戻らなきゃ行けない列車だからなぁ・・・。
「17時30分くらいまで列車なんてこないわ。」
「えっ、そんなに列車無い。」
「無いわね。宇田郷を通る列車は上りが17時27分で、下りは18時29分までないわ。」
「何だよ。それ・・・。下りは一本もやってこないのか。」
「それはそれで困るわねぇ・・・。私達ここで何してれば良いかな。」
萌はそう言ってから、顔の前で手を払う。
「虫がよってくる・・・。ヤダ、もう。」
「鞄の中にムヒとか無かった。」
「あるけど・・・。嫌なのは嫌なの。」
「・・・それにしてもどうする。」
「どうしようか・・・。」
考えても、何もない場所で考えなど浮かぶわけもない。
結局、僕たちは2時間列車を待って、この橋梁を通過する上り列車を見た。その頃には空が綺麗に赤く染まっていた為、ステンレスの車両は結構映えた。その列車の通過を待ってから、歩いて宇田郷駅に戻り、宇田郷駅からは列車に乗って長門市駅に戻ることにした。
「これ、あの場所からタクシーで帰ってもよかったんじゃない。」
列車に乗ってから萌はボソッと言った。
宇田郷18時29分→長門市19時36分
宇田郷→長門市間長門市で下車時運賃精算の上乗車




