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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Longest Journey Episode:15
743/779

743列車 そびえる橋梁

 2062年6月7日・水曜日(第92日目)天候:雨のち曇り 西日本旅客鉄道(ジェイアールにしにほん)山陰本線(さんいんほんせん)城崎温泉(きのさきおんせん)駅。

 玄武洞(げんぶどう)からタクシーで城崎温泉(きのさきおんせん)駅まで戻る。城崎温泉(きのさきおんせん)駅からは山陰本線(さんいんほんせん)の列車に乗継いだ。山陰本線(さんいんほんせん)はこの先ほとんど電化されておらず乗る車両は自ずとディーゼルカーになる。また、ここまで運行されている特急列車も、普通列車の数も一気に減る。

城崎温泉(きのさきおんせん)11時56分→餘部(あまるべ)12時43分

最長往復切符復路城崎温泉(きのさきおんせん)駅より使用再開

 ホームに蟹の鋏があるか隅駅を通り過ぎ、僕たちは餘部(あまるべ)駅で下車する。駅に到着する手前では高い位置から日本海を見ることが出来る。

最長往復切符復路餘部(あまるべ)駅で途中下車

 ホームへと降り立つと近くに遊歩道が整備されている。その遊歩道を進んでいくと突然線路が現れる。しかし、それは少し進んだところで途切れてしまっている。ここ餘部(あまるべ)を最も有名にした建造物がこれになる。寝台特急「出雲(いずも)」を代表する数多くの列車撮影スポットとなった餘部鉄橋(あまるべてっきょう)だ。餘部鉄橋(あまるべてっきょう)は高さ41メートル、全長310メートルの鉄橋だった。朱色の鉄骨橋は鉄道ファンにとどまらず人気を博していた。しかし、今この場所には赤い鉄骨橋は残っていない。今は餘部(あまるべ)駅側のごく一部に残るのみだ。

「これが本物の餘部鉄橋(あまるべてっきょう)・・・。」

僕たちは途切れたところから下を見た。あまりの高さに思わず足をすくむ。

「これは、本当に怖い場所だな・・・。」

「怖いんなら、無理しなくてもいいだに。」

「別に、無理はしてない。」

ちらりと前方を見る。途切れた先には僕たちが通ってきたトンネルが口を開けている。

「ここに架かってたのね。」

「こうしてみると結構長かったんだね。」

「・・・写真でしか見たことないからなぁ・・・。」

「「出雲(いずも)」がDD51の重連で通ってった時は圧巻だっただろうなぁ・・・。」

「・・・。」

 僕たちは残った橋梁から下に降りることが出来るエレベーターで下へと降りた。エレベーターから降りて、餘部鉄橋(あまるべてっきょう)を見上げてみる。高さも凄いと思うが、これほど高い位置に鉄道を通した先人の苦労も垣間見ることが出来る。これが完成したのは明治の末期。その時でさえ今のようなクレーン車はなかったからなぁ・・・。

 餘部鉄橋(あまるべてっきょう)跡から歩いて近くにある道の駅あまるべに立ち寄った。そこには大きな石像が建っている。ちょうど橋のたもとにあるこの石像は、昔おこった餘部鉄橋(あまるべてっきょう)列車転落事故で死傷した人たちの慰霊碑である。

「あんな所から車両が落ちてきたのよね・・・。」

「そりゃ、あんな所から落ちてきたらひとたまりも無いわな。」

「落ちてくるなんて思わないわよね。」

「そりゃ、落ちてくるなんて想像出来る人間はいないだろうさ・・・。」

コンクリート橋からかすかにディーゼルエンジンの音がする。ちょうど何か列車が通ったらしい。2010年代後半から始まった計画運休など災害にビビりすぎと思うことはあるが、ビビりなのは想像だに出来ない事象の上にあることも忘れてはならない・・・。


一口メモ

山陰本線(さんいんほんせん)餘部鉄橋(あまるべてっきょう)

山陰本線(さんいんほんせん)(よろい)餘部(あまるべ)間に架かる単線鉄道橋。初代の赤い餘部鉄橋(あまるべてっきょう)は鉄道ファンにとどまらず有名である。全長約310メートル、高さ約41メートルある。


餘部鉄橋(あまるべてっきょう)列車転落事故

1986年12月28日、餘部鉄橋(あまるべてっきょう)にさしかかった回送列車が突風に煽られ餘部鉄橋(あまるべてっきょう)中央部から転落した事故。転落した客車はしたの工場、民家を直撃し民間人5名、車掌1名が死亡した。この事故を機に餘部鉄橋(あまるべてっきょう)の強風規制が見直されることにもなった。


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