740列車 世界最長の吊り橋
2062年6月6日・火曜日(第91日目)天候:雨 西日本旅客鉄道東海道本線守山駅。
通勤時間帯の守山駅は大阪方面行きの新快速、普通列車を待つ人でごった返している。僕たちは「はるか」のグリーン券を買って、新大阪に向かうことにする。相変わらず「はるか」のグリーン車には閑古鳥が鳴いている。
守山8時25分→「はるか13号」→新大阪9時13分
守山→京都間の乗車券使用開始および終了
最長往復切符復路京都駅から使用再開
「はるか」は東海道本線を下る。進行方向の左側には東海道新幹線の高架橋が見える。最長往復切符は京都~新大阪間で東海道本線を使うことになっているが、東海道新幹線も使うことが出来る。しかも、最長にこだわるのであれば東海道本線よりも東海道新幹線の方が0.1キロ程度長い。乗らないけどね・・・。
茨木駅を通過してから、「はるか」は貨物線へと入る。東海道本線を左にはずれ、坂を登ってから右へ曲がる。おおさか東線の線路が上に重なると新大阪駅に入線する。
新大阪駅で新幹線に乗り換え。20番線に止まっている8両編成の「こだま号」に乗車する。8両編成でも0.5両のグリーン車が着いているのだから凄いものだ。
新大阪9時35分→「こだま737号」→西明石9時59分
「まもなく、西明石です。」
いい日旅立ちが流れてから到着アナウンスが流れ始める。
「20分ぐらいしか乗車しないとやっぱり短いねぇ・・・。」
「24分間だけ新幹線グリーン車に乗るとか贅沢すぎるな・・・。」
僕はそう言いながら、席を立った。
「このまま行ったら、私達本当にグリーン席にしか座れない体になるわよ。」
「ハハハ・・・。もう片足突っ込んでるようなもんだろ。」
西明石駅からは山陽本線の電車に乗り換え。
西明石10時06分→舞子10時14分
ロングシートを備える電車に揺られること8分。車窓には大きな吊り橋が見えてくる。それの脇まで来たところで電車は舞子駅に停車する。
最長往復切符復路舞子駅で途中下車
舞子駅で降りた理由は一つである。舞子駅に上には大きな橋が架かっている。この橋は世界最長の吊り橋明石海峡大橋である。舞子から対岸の淡路島の間を結んでいる橋で、道路専用橋である。今日は雨が降っていることもあり、対岸の淡路島は少しかすんでしまっている。
「明石海峡大橋って見たら凄い大きいわよね。普段列車の中からでしか見てないから、大きさとか正直よく分かんないんだけど・・・。」
「そうだよなぁ・・・。大きすぎて実感わかないよなぁ・・・。」
ふと橋のわきにあるものに気がつく。僕はそれに近づいてみた。海の方へ回り込んでみると丸い円形にたくさんのワイヤーがある。これが何の断面なのかはすぐに分かった。
「うわっ、何これ。」
「これ、明石海峡のなんて言うんだっけ。ほら、橋を吊ってる奴・・・。」
「太いなぁ・・・。こんなに太くないとあの橋つれないんだ・・・。」
「この六角形一つで127本ワイヤーが使われてて、六角形のこれが290個・・・。合計36830本のワイヤーが使われてるんだって。キョエエ・・・。凄っ。」
「1本でそれってことは、明石海峡全体で見たら73000本以上使われてるってことか・・・。そう聞くと鉄の塊じゃなくてワイヤーの塊のような気がしてきた。」
「まぁ、吊り橋ってそんなだしなぁ・・・。」
「ねぇ、ちょっと早く建物の中入っちゃおう。でないと靴の中まで水浸しになっちゃう。」
「・・・。」




