738列車 「あかまつ」
2062年6月4日・日曜日(第89日目)天候:晴れ 京都丹後鉄道宮豊線天橋立駅。
「・・・うーん・・・。」
「・・・うーん・・・。」
僕たちは今日もまた智恩寺に来ていた。知恩寺への参拝は昨日済ませたので、今日、参拝はせず近くにおいてある智恵の輪というものに見入っていた。ただ、どこからどう見てもただの丸く中のくりぬかれた円が乗った石である。智恵の輪と言われると謎解きに使われるあっちを想像してしまうが、これは一体どういう仕掛けがあるのか。気になるものだ。いや、これにはそんな仕掛けなんて無いか・・・。
「これって何なんだろう。円の真ん中はくりぬかれているけど・・・。これって「真ん中から除いたら、何かが見える」とかそんなオチじゃないわよね。」
「さすがにそのオチはないんじゃないかな。何か見えるって言われても向こうの景色しか見えないし・・・。」
「ちょっと調べてみるかな。」
そう言うと萌はスマホを取り出し、智恵の輪について調べだした。
「これ、石灯籠だって。」
「石灯籠。何か、思ってるのと違うなぁ・・・。」
僕の実家の庭にも石灯籠あるからなぁ・・・。その石灯籠はこれよりも太くしっかりとしたつくりにはなっているし、ろうそくを入れる場所は周りもしっかりと囲まれているしなぁ・・・。これってもうただ野ざらしなだけじゃん・・・。
「「輪の中に明かりがともされ、天橋立水路を行き交う船の導にもなったと言われています。」ってかいてあるから、灯台の役割もしてたのね。」
「灯台かぁ・・・。随分頼りない灯台だな・・・。」
「でも、これが出来た頃にはもうこのあたりってこんな感じなんじゃない。だから、こんなに小さくても大丈夫なんじゃ。」
「夜だし、ろうそくの明かりも結構遠くまで見えてたかな・・・。」
「多分・・・。」
「多分かぁ・・・。」
智恵の輪を見てから、天橋立駅へと趣、そこから京都丹後鉄道が運転する「あかまつ号」に乗り込んだ。「あかまつ号」は乗車券の他に乗車整理券を必要とする列車だ。天橋立~西舞鶴間の全ての駅に停車する普通列車だが、内装は他の一般型車両と違い木目が多用されている。車内のデザインなどは九州旅客鉄道を彷彿とさせる。見た目が普通の一般型と変わらないという所も同じだ。
天橋立11時29分→京都丹後鉄道宮舞線「あかまつ2号」→西舞鶴12時49分
天橋立→西舞鶴間の硬券使用開始
「あかまつ」に乗り込むと早速ドリンクサービスがある。メニューの中から一つ選んで飲むことが出来るのだ。僕と萌は緑茶にしておいた。
「あかまつ」は途中、景色の良い場所やアテンダントが案内するところでは徐行して走る。このようなところは東日本旅客鉄道が運行する「乗って楽しい列車」に着想を得ているところがあるだろう。僕たちは「あかまつ」が減速してくれるところではスマホを片手に写真を撮る。
また途中の丹後由良駅では30分もの長時間停車を挟む。その間に北前船の博物館を見てきたりすることが出来るなど、僕たちは「あかまつ」のゆったりとした旅を楽しんだ。
天橋立→西舞鶴間の硬券丹後由良駅にて「あかまつ」乗車客に限る特例利用の上下車
天橋立→西舞鶴間の硬券使用終了
西舞鶴駅からは最長往復切符の利用を再開する。福知山方面へと走る普通列車に乗り込み、綾部からは京都行きの特急「きのさき16号」のグリーン車に乗車し、京都駅に戻る。京都駅からは守山に戻る為新快速に乗車。それで今日の旅は終了だ。
西舞鶴13時27分→綾部13時54分
最長往復切符復路西舞鶴駅より使用再開
綾部13時56分→「きのさき16号」→京都14時07分
最長往復切符復路京都駅で途中下車
京都14時15分→「新快速」→守山14時39分
京都→守山間の乗車券使用開始および終了




