724列車 奈良ならではの観光
2062年5月26日・金曜日(第80日目)天候:曇り時々雨 西日本旅客鉄道関西本線奈良駅。
ホテルから出て、僕たちはタクシーで東大寺に向かうことにした。奈良と言えば奈良の大仏だからという理由だけで行くことにしたのだ。
東大寺に到着し、参道を歩くとどこからともなく鹿がやって来る。放し飼いにされた鹿達は僕らの生活にずかずかと踏み込み、信号無視さえ許される。人間様とは違い交通法規を超越した存在なのだ。と言うのも、東大寺に生息する鹿は神の使いという扱い。神の使いが方を上回るのは至極当然なことであろう。まさか、神の使いに向かって「おい、法律を守らないとダメですよ。」とだめ出しするのは恐れ多いことだろう。
「ナガシィ。鹿さん来たよ。」
鹿は悠然とこちらに近づいてくる。僕は近づいてくる鹿から一歩引く。
「逃げなくても良いじゃん。」
「・・・いや、スーツ汚れたらダメでしょ。」
「怖いからって認めろ。」
「・・・。」
鹿のいる山道を抜けて、入場料を払って大仏殿のある場所へと入場する。
「相変わらず大きいなぁ・・・。」
「大きすぎよね。」
大仏殿に入り大仏とご対面。大仏様をさっさと見てから、大仏の後ろの方へとまわる。すると模型が見えてくるようになる。
「これは・・・。」
「大仏殿の模型だな・・・。」
「ええ。大きすぎない。」
「今でも十分大きいけどな。」
「これだけの大きさの木造建築なんて出来るのかな。」
「さぁ・・・。でも、資料でこれぐらいの大きさが合ったって分かってるんでしょ。だったらあるんじゃない。日本人って何か残す時に嘘書き残しそうにないしさ。」
「・・・ああ、それは言える。」
「・・・。」
ちょっとの間その模型をつぶさに見て、
「・・・うーん、でもこの大きさだと自壊するって言うのもあり得るかな。」
「エンドフェイズ時に自壊。」
「それは萌の得意なゲーム・・・。まぁ、冗談はさておき・・・。これで自壊しなかったとなると凄いねぇ。どうやって作ったんだろう。」
「大きい木でも切り出してきたのかな。」
「それをどうやってこの場所まで運ぶ。モアイみたいに下に木を敷いて、転がす。考えづらいなぁ・・・。」
「・・・何か、出雲大社の昔の模型と同じよねぇ・・・。」
「・・・日本って別の宇宙とかっていわれる言説ネットであるじゃん。」
「有るっけ。」
「まぁ、有ることにしといて。それと同じで本当に宇宙人だったりして。」
「ないない。」
「有ったら面白いって話。」




